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ネット広告の訴求力をPV数ではなく注目度合いで決める「Attention Web」という考え方

By Tim Franklin Photography

インターネット広告では閲覧者がそのページをクリックして開いた回数である「閲覧回数(ページビュー:PV)」こそが広告の訴求力を測る上で重要であるという考え方が支配的で、広告出稿料金がPVを基準に決められるということも多いものです。しかし、ネット広告の効果はPVではなく「どれだけ注視されるか」で決まるとする「Attention Web」という考え方が新たに提案されています。

Chartbeat CEO Tony Haile: What You Get Wrong about the Internet - TIME
http://time.com/12933/what-you-think-you-know-about-the-web-is-wrong/

タイム誌などを含む4000以上のメディアに対してデータを提供しているデータ解析・コンサルティング会社Chartbeatのトニー・ハイリCEOは、2000サイト・58万ページの総計20億PVを解析した結果、ネット広告の世界で信じ込まれている「神話」の多くは、効果的な広告というものを正しく捉えることができていないという衝撃的な発表を行っています。

ハイリCEOは、ページ滞在時間や再びユーザーがそのページに戻ってきた回数などを基本にする「どれだけページが注視されているか?」という観点から広告の訴求力を推し量る「Attention Web」という考え方を新たに提唱しており、Attention Webの考え方は、ネット広告の世界にある4つの神話の信ぴょう性に疑問を投げかけています。

1:「クリックされた回数=読まれた回数」という神話

By Francisco Javier Argel

Attention Webの考え方によると、たとえクリックされたとしても閲覧者の興味を引くことなく切り捨てられるページは「注目されていないページ」なので訴求力が高くないと考えられます。このため、訴求力を推し測るためにページ滞在時間という指標が採用されています。

PV信仰には、「クリックされた回数はページを読んでもらえた回数である」という前提条件があります。しかし、この前提条件が根本的に間違いであるとハイリCEOは考えています。データ解析による統計からは、PV数が多く一般的には「広告媒体として優秀な訴求力の高いページ」と呼ばれるものの55%は、閲覧者の滞在時間が15秒未満であることが明らかになったとのこと。閲覧者が15秒未満しか滞在しないようなページは先ほど出てきた「注目されていないページ」だということです。


さらにデータ解析結果から、平均滞在時間が3分のページを読者が再び読んでくれる割合は、平均滞在時間1分のページの2倍だったとのこと。これらのことから、PV数が多い=訴求力が高いとは必ずしも言えない、とハイリCEOは述べています。

2:「より多くシェアされるページほど、より多く読まれる」という神話

By Thomas Hawk

多くの人はFacebookで「いいね」をクリックされたりTwitterでツイートされたりとより多くシェアされるページはより多く閲覧されやすいと考えています。

データ解析の結果、100回のページ閲覧に対してFacebookの「いいね」がクリックされるのは平均8回、Twitterでツイートされるのは平均1回でした。しかし、「いいね」を100回集めたページは、「いいね」50回のページよりも滞在時間が短いことが判明。また、最も平均滞在時間の長いページは、最もツイートが多かったページに比べて平均滞在時間が5倍も長かったことが明らかになっています。


ハイリCEOは、シェアされる回数の多さとページの注目度合いとの間に相関関係はないと結論づけています。

3:「記事広告は効果的」という神話

By Mary Anne Enriquez

インターネット広告の1つに、一見通常の記事のような体裁をとりつつ宣伝を行う「記事広告」があります。人の集まるサイトに記事広告を掲載することは露出効果・訴求力が高いと考えられていて、数ある広告の中でも人気がありますが、ハイリCEOはAttention Webの考え方に基づき、記事広告の訴求力に疑問を呈しています。

データ解析からは、約3分の2の通常記事は滞在時間が15秒以上あるのに対して、記事広告だと滞在時間が15秒以上のものは3分の1しかないことが明らかになっています。

また、Attention Webでは、ページスクロールの量という指標があり、最後までスクロールしてもらえるページが閲覧者に注目されているページであるという考え方があります。このページスクロール量についてデータを調べると、最後までスクロールされる記事の割合は通常記事だと71%あったのに対して、記事広告だと24%にとどまったとのこと。


ただし、ハイリCEOは訴求対象のサービスや商品の露出のために記事広告が有効で訴求力を持っているということ自体は否定しておらず、メディアは記事広告が閲覧者に「広告だ」と気づかれないような統一した体裁をとるよう努力することが求められており、また、広告を出すスポンサーも、有名なメディアであるというだけで記事広告の訴求力が高いはずという安易な考えを捨てるべきだと警鐘を鳴らしています。

4:「バナー広告は効果が低い」という神話

By lane becker

サイトにリンクする形で行うバナー広告は、平均して0.1%未満しかクリックされないというデータから、インターネット広告としての訴求力が低いという考え方が一般的になりつつあります。しかし、この考え方は見直されるべきだとハイリCEOは考えています。

ハイリCEOは、まず第一に、バナー広告はクリックされなくても表示されているだけで訴求力があると述べています。そのブランドやサービスの名前やロゴが知られていること自体が広告として意味があり、この知られる度合いはページで表示される時間に比例することが分かっています。ある研究によると、バナー広告が表示されたページを20秒間見た人は、その広告を20%~30%思い出しやすくなったとのこと。つまり、バナー広告はクリックされなくても表示されているだけで訴求力があるとハイリCEOは考えています。

さらに、「バナー広告の位置」についてももっと注意を払うべきだとハイリCEOは語ります。データ分析の結果、閲覧者はページの最上部ではなく約3分の1ほど進んだところで最も多くの時間を費やしていることが判明しています。こうしたデータをもとに、バナー広告を効果的に長時間露出するためにはどの場所に出せばいいのか、より慎重に検討する必要があるとのことです。


結論
以上の通り、ハイリCEOは、従来のインターネット広告で主流となってきたPV頼りの手法では訴求力の高い広告は生み出せないため、広告を掲載するメディア・広告を出稿するスポンサーともに、ページ滞在時間や再訪問率などの指標を重要視するべきであると結論づけています。

「時は金なり」という格言の通り、時間というのは何もしなくても減っていく限られた資源なので、人はネット上にあるコンテンツで時間を消費するとしてもより良質な物にこそより多くの時間を割くはず。であれば、素晴らしいコンテンツを生み出しているサイトやサービスに人が集まることでそのサイト・サービスの価値が高まって訴求力の高い広告媒体となり、広告が集まることでサイトやサービスにお金が入ってさらに多くの優良コンテンツが登場することにつながっていくのではないか、とハイリCEOは述べています。

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in メモ, Posted by darkhorse_log

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