MacBook Proのバッテリー持続時間が場合によっては10時間以上異なり一貫しない問題の原因をAppleが解明
2016年10月に満を持して発表された新型MacBook Proですが、製品評価・レビューを公開している非営利の消費者組織であるコンシューマー・レポートが、「最新のMacBook Proはオススメできない」という評価を下して大きな話題を呼びました。オススメできないとされた理由はMacBook Proのバッテリーに問題があるという結果が出たからだったのですが、Appleが公式にバッテリー問題の原因を解明したと発表しています。
Fix to MacBook Pros Released - Consumer Reports' Battery Tests
http://www.consumerreports.org/apple/apple-releases-fix-to-macbook-pros-in-response-to-consumer-reports-battery-test-results/
Apple says a bug caused Consumer Reports’ MacBook Pro battery life issues - The Verge
http://www.theverge.com/2017/1/10/14225716/apple-macbook-pro-consumer-reports-battery-life-issue-update-bug
新インターフェースの「Touch Bar」を搭載して新しく生まれ変わったばかりのMacBook Proですが、コンシューマー・レポートが同端末のバッテリーを複数回テストしたところ、テストの回数を重ねるごとに結果が大きく変わりました。例えば、13インチのTouch Bar搭載MacBook Proの場合、1回目のテストではバッテリーが16時間もちましたが、2回目のテストでは12時間45分、3回目ではなんと3時間45分しかもたなかったそうです。
この結果を受けてコンシューマー・レポートは「最新のMacBook Proはオススメできない」という評価を下したわけですが、Appleのワールドワイドマーケティング担当上級副社長を務めるフィル・シラー氏は「(コンシューマー・レポートのバッテリーテストの結果は)我々が研究所内で行った大規模なテストや現場データと一致しません。我々は現在、コンシューマー・レポートと協議中です」と自身のTwitterアカウントからツイート。他にも「バッテリーテストの環境がおかしかったのでは?」という声も挙がっていました。
コンシューマー・レポートがどのような設定でバッテリーテストを行ったのかなどは、以下の記事に詳細に書かれています。
新型MacBook Proが「オススメできない」と言われる理由はバッテリーにあり - GIGAZINE
Appleのシラー氏が「コンシューマー・レポートと協議中」と語った通り、年末年始にAppleとコンシューマー・レポートはバッテリーテストに関する話し合いの場を設けたそうで、その中でなぜバッテリーの持続時間が約4~16時間と大きく変動してしまったのかを調査した模様。そして、コンシューマー・レポートがバッテリーテストに用いたウェブブラウザのSafariにバグが存在しており、これによりテスト結果に大きなばらつきが生じたであろうことを明かしました。
Appleは、「(コンシューマー・レポートはバッテリーテストの際に)Safariがデベロッパー向けに提供しているブラウザキャッシュをオフにするという隠し設定を使用していた」「一般ユーザーはまず使用しない設定(なので、一般ユーザーはまずバッテリー問題に直面することはないだろう)」と語っています。
なお、コンシューマー・レポートがわざわざブラウザの隠し設定を使ってまでブラウザのキャッシュをオフにしていた理由は、そのテストの方法にあります。コンシューマー・レポートは、「バッテリーテストでは端末のバッテリーがフル充電されている状態で10個のウェブページを連続して開き、ラップトップ(MacBook Pro)の電源が落ちるまでの時間を計測しました。バッテリーテストで開くウェブページは我々の研究所のサーバーに保存されているものを用い、テスト用に特別に設置されたWi-Fiネットワーク経由でウェブページのデータを端末に転送しています。なお、我々はバッテリーテストを端末のデフォルトのブラウザで行っており、MacBook Proの場合はSafariを用いてテストしました」とバッテリーテストの方法について語っており、自サーバーには10個のウェブページしか用意していなかったものの、これらを用いて毎回異なるサイトをブラウズする状況を再現するため、キャッシュをオフにする設定を用いたようです。
Appleは調査の中で明らかになったSafari上のバグを既に修正済で、Apple Beta Software Programに登録しているユーザー向けにパッチを配布しており、近い内にソフトウェアアップデートの中でバグの修正が行われるそうです。
Appleはバグを修正したことからコンシューマー・レポートに再びバッテリーテストを行って欲しいと依頼しており、コンシューマー・レポートからは「MacBook Proのシステムは一貫したバッテリーライフを示すようになった」というコメントが返ってきているとのこと。また、コンシューマー・レポートはソフトウェアアップデート後にもう一度バッテリーテストを行い、問題が解決していれば評価を更新することになるだろう、とコメントしています。
ただし、新型MacBook Proのバッテリー持続時間が一貫しないと主張したのはコンシューマー・レポートだけではなく、多くのエンドユーザーやレビュー、さらには海外ニュースメディアThe Vergeも同じ。そして多くの場合、これらの人々はSafariのデベロッパーモードでキャッシュをオフにする設定を用いていないため、バッテリー問題が本当に解決したのかどうかは続報を待つ必要がありそうです。
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