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いよいよ普及期に突入しそうな「仮想通貨」について知っておくべきことまとめ


Bitcoin(ビットコイン)に代表される「cryptocurrency(仮想通貨)」は、今後、ますます普及が進み重要性が増すとみられてます。知っているようで知らない仮想通貨について、まずはこれだけは押さえておくべきという「仮想通貨とは何か?」を、Blockgeeksが簡単にまとめています。

What is Cryptocurrency: Everything You Need To Know [Ultimate Guide]
http://blockgeeks.com/guides/what-is-cryptocurrency/

2016年にはビットコインの時価総額が史上最高を記録するなど、仮想通貨は世界的なトレンドになりつつあります。しかし、依然として理解が進んでいない仮想通貨は多くの人にとって薄気味悪い存在であり、2016年末の時点で、仮想通貨を現実世界で使う機会は限定的で、大半は論文で発表されるプロジェクトに過ぎないのが現状です。Blockgeeksに言わせれば、銀行家、コンサルタント、科学者、はてはソフトウェア開発者でさえも仮想通貨についの知識が足りておらず、中には基本的な概念さえ理解できていない人も多いとのこと。このような現状において、来るべき仮想通貨時代の到来に備えて、仮想通貨を理解するために知っておくべき基礎知識は以下の通りです。

◆仮想通貨の誕生の歴史
ビットコインなどの仮想通貨は別の発明の副産物として誕生したことはあまり知られてません。ビットコインの生みの親としていまだに最大の功績をたたえられる中本哲史は、仮想通貨自体を発明したわけではありません。しかし、中本のアイデアは仮想通貨のシステム全体を支えています。

1990年代に地方自治体で使う、デジタル世界の送金システムの開発が進められましたが、すべての試みは失敗に終わりました。それらはすべて、一つの核となるサーバーが中央集権的に通貨決済システムを管理するという仕組みで、最高レベルの信頼性が求められる通貨サービスでは、決して破られないシステムを構築することは不可能であり、必然、デジタル通貨システムの構築は実現できませんでした。


中央集権的なシステムが失敗するのを見た中本は、中央サーバーを使わないデジタル通貨システムを構築しようとしました。そして、非中央集権的なシステム(分散型システム)を作るのにファイル共有システムで用いられていたピア・ツー・ピア(P2P)を使いました。この決定は技術的な複雑性を伴うものでしたが、デジタル通貨の実現にとってそれまで欠けていた「哲学」が見いだされることになりました。

デジタル通貨の決済システムで要求される最たるものは、「二重支払いの防止」です。現実世界の通貨と違って物理的な媒体を持たないデジタル通貨は容易に複製できるため、通貨の二重利用の防止をどうやって技術的に担保するかは大きな課題の一つです。中本が発案した分散型システムでは核となるサーバーは存在しません。それ故に、改ざんが不可能な鉄壁の信頼性を実現することができました。

◆仮想通貨システム
中本のアイデアでは、仮想通貨システムで用いる暗号化はすべてピアネットワークで構成されています。そして、すべてのピアはすべての取引の完全な履歴(すべての口座の残高記録)を持っています。この履歴は、例えば「Bobは○○BTCをAliceに与えました」というような「トランザクション」と呼ばれるファイルの集合体ですが、すべてが公開鍵暗号システムで暗号化されています。公開鍵で署名(暗号化)されたトランザクションがピアネットワーク内で配信されるということ自体は、P2Pとしては何ら特別な点はない普通の形態と言えます。

トランザクションはネットワーク全体でほぼ瞬時に把握されますが、一定の時間が経過して初めて「確認」されることになります。この確認作業が仮想通貨の信頼性を担保する重要な概念となっています。この確認作業は、トランザクションが改ざんされていないこと、すなわち取引が正当に行われ二重決済されていないことを確認する作業であり、確認されると「Blockchain(ブロックチェーン)」という元帳に記録され、固定化され、もはや変更不能になります。


この仮想通貨システムで重要な「取引の確認作業」は、miner(マイナー)と呼ばれる者のみが行えます。マイナーが正当な取引を確認しスタンプを押してネットワーク全体に広めます。トランザクションがマイナーによって確認されると、すべてのノードはデータベースに追加され、これはブロックチェーンの一部となります。このマイナーによる確認作業が仮想通貨システムを支えており、マイナーは確認作業の対価としてトークン(一般的には仮想通貨の分配)を受け取る、というのがすべての仮想通貨で取り入れられる仕組みです。

マシンパワーを提供して見返りにトークンを受け取るマイナーには参入制限はありません。誰もがマシンパワーを提供してマイナーになることが可能です。しかし、分散ネットワーク自体にはマイナーに確認作業を委託する権限がないため、暗号の乱読による乱用を防ぐメカニズムが必要となります。そこで、中本は確認作業をするマイナーに、取引と取引をつなぎ合わせる暗号化されたハッシュを見つけるという「Proof-of-Work(作業証明)」という役割を課しました。例えば、ビットコインではSHA-256ハッシュアルゴリズムによるハッシュ発掘作業が採用されています。マイナーが仮想通貨システムの暗号解読作業を完了させて暗号パズルを解いたときに、ビットコインが生み出されます。この発掘作業はコンピューターの性能が高まるにつれて難度が上がる仕組みで、このおかげでネットワーク内のピアが壊れることが予防されています。


ビットコインを例に、仮想通貨の暗号化システムとブロックチェーンの仕組みについては、以下の記事で詳しく説明しています。

仮想通貨「Bitcoin」を完璧に理解するために知っておきたいことまとめ - GIGAZINE


つまるところ、仮想通貨システムの信頼性は強力な暗号化によって保護されています。つまり、人間によってではなく数学によってのみ、システムの信頼性が担保されているということ。理論的には、仮想通貨システムが改ざんされる確率は小惑星が自宅に落下する確率よりも低いというほどの、強固なセキュリティを保っています。

◆トランザクションの特徴
仮想通貨の取引の履歴であるトランザクションには以下の5つの特徴があります。これらはすべて仮想通貨の決済システムの安全性・利便性を支える根拠になっています。


1:不可逆性
確認されてブロックチェーンに記録されたトランザクションは、決して戻すことができません。仮に、詐欺師に対して送金したり、ハッカーによってコンピューターから仮想通貨を盗み出された場合でも、誰も助けられません。つまり、仮想通貨の世界にはクレジットカードのような手厚いセーフティネットはない、ということです。

2:匿名性
すべての仮想通貨口座や取引が、現実世界の誰かにつながっています。しかし、仮想通貨の利用シーンにおいては、約30文字のランダムな英数字のアドレスの形でビットコインなどの仮想通貨を取り扱います。トランザクションの流れ自体を分析することは可能ですが、その先にあるユーザーにつなげることは不可能です。つまり、取引の匿名性は完璧に保証されています。

3:高速かつ全世界的
トランザクションはピアネットワーク内に瞬時に伝播し、数分後には確認作業が完了します。仮想通貨の取引はネットワーク内で起こるのであって、仮想通貨の取引主体が世界のどこに実在するのかについては無関心です。目の前の人に送金するのも、地球の裏側にいる人に送金するのもまったく同じ。つまり、高速な取引が全世界規模で可能なのが仮想通貨であり、国や地域といった物理的な制限とは無縁です。

4:安全性
仮想通貨は公開鍵暗号システムで暗号化されています。つまり、秘密鍵の所有者だけが暗号を解読でき、送金処理を行って仮想通貨を使用することが可能です。強力な暗号システムととてつもなく大きな数字という強固なシステムを破ることは不可能です。

5:自己完結性
仮想通貨を使うのに、誰かに許可を仰いだり、手続きを依頼したりする必要はありません。誰もが無料でダウンロードできるソフトウェアを使って、自分だけで暗号化通信を送受信して仮想通貨決済が可能。つまり、仮想通貨の利用を誰かが阻止することは不可能とも言い換えられます。

◆新しい経済の夜明け
前述の5つの特徴を併せ持つ仮想通貨システムでは、誰の許可も必要とせず、世界中どこでもいつでも誰でも仮想通貨を使用することができ、取引を元に戻すこともできません。通貨発行権限を持つ機関が存在しないことから、インフレ・デフレをコントロールするなどの為替操作も不可能で、取引価格は純然たる需要と供給のバランスによって決定されるため、仮想通貨は「デジタル世界の金(ゴールド)」という表現がぴったりの存在です。世界的にスタンダードな金に比べると、仮想通貨はまだ新しく不安定ですが、仮想通貨は確かな牽引力を発揮しており、今後数年間のうちに仮想通貨を使うための標準化が増えると予想されています。

既存の金融システムと似て非なる革命的なシステムである仮想通貨は、その革新性ゆえに成功しています。例えば、ビットコインは熱狂的な支持を集め、技術よりも宗教に近いという評価もあるほどです。デジタル・ゴールドである仮想通貨は政治的な影響を受けない安全な金融資産として、イギリスのEU離脱問題(Brixit)ドナルド・トランプ次期アメリカ大統領の選出など、世界的な政治のうねりのなかでもより人々を惹きつける存在となっています。

存在感を増す仮想通貨は、投機の対象としても魅力を増しています。わずか1日の間に市場価値が2倍になったり、半減したりということが仮想通貨では起こり得ます。仮想通貨の代表格であるビットコイン以外にも、雨後の筍のように誕生した数々の仮想通貨が、着実に支持を集めて取引量を増やしています。


2016年末時点での主要な仮想通貨を取引量順に並べると以下の通り。2位以下を10倍以上ひきはなすダントツなのがビットコイン。市場価値がゼロの状態からスタートしたビットコインは7年後には1BTCが650ドル(約7万6000円)まで上昇し、1日当たりのトランザクション量は20万件を超える規模にまで成長しています。


ビットコインの他にも、銀行で採用が増えるRipple、「ゴールド」のビットコインに対して「シルバー」と表されるビットコインをベースにした兄弟仮想通貨Litecoin、プライバシー性をより高めるためのcryptoniteアルゴリズムを取り入れたMoneroなど、現在のスタンダードのビットコイン以外にも数多くの仮想通貨が誕生しています。

仮想通貨の市場はまだまだ始まったばかりで、その動きは想像以上に速く、毎日のように新しい仮想通貨が誕生しては淘汰されています。仮想通貨が誕生した初期からの投資家は、仮にその仮想通貨が発展した場合には巨万の富を得られる可能性があるため有望な仮想通貨には多くの人が群がりますが、数カ月たったときに生き残っている仮想通貨はほとんどなく、見放されたゾンビ仮想通貨の屍が広がっているという魑魅魍魎の世界です。現時点でのスタンダードの地位を占めるビットコインですら今後の成長が保証されているわけではなく、新たな仮想通貨に取って代わられる可能性は十分あります。いずれにせよ、2017年以降も仮想通貨の成長は続いていくことだけは確実だと予想されています。

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in メモ,   ソフトウェア, Posted by darkhorse_log

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