仮想通貨「Bitcoin」を完璧に理解するために知っておきたいことまとめ

By Jason Benjamin

仮想通貨「Bitcoin(ビットコイン)」の概念についてはすでにまとめていますが、概念を理解するだけではビットコインの革新性や真の価値をイメージしにくいのは事実です。「ビットコインとは何か?」についてもう一歩深く理解するためには「Blockchain(ブロックチェーン)」についての理解は欠かせません。「ブロックチェーンこそがビットコイン」ということを理解すれば、ビットコインを理解したも同然です。「ビットコインを理解できるまとめ」第二弾は以下から。

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ブロックチェーン
ビットコインはP2Pという仕組みでシステムが維持されており、ビットコインシステムを運営する中央組織は存在しません。中央組織の代わりに「Bitcoin-Qt(ビットコインクライアント)」と呼ばれるソフトウェアをインストールする世界中の人たちのコンピュータ・リソースによってビットコインネットワークは維持されています。ビットコインクライアントをインストールしているコンピュータは、ネットワークを通じて相互に通信することで、常にあるデータを更新し続けています。そのデータは「ブロックチェーン」と呼ばれるもので、これこそがビットコインそのものといっても過言ではないものです。

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ブロックチェーンは、すでにマイニング(採掘)されて世に存在するビットコインのやりとりのすべてを記録した「ビットコインの取引記録」です。ビットコインはマイニングによって誕生するとブロックチェーンに登録され、その後、取引によって送信され所有者が変わる度にその履歴がブロックチェーンに記録される仕組みになっています。つまり、ブロックチェーンを見れば、ビットコインが誰から誰へと送信されたのかがすべて分かるというわけです。この履歴をたどれることが、ビットコインの信頼性を支えています。ビットコインが増える度に、取引が行われる度にブロックチェーンの内容は書き換えられ、現在、そのデータサイズは約9GBとなっています。

これは、ブロックチェーンに記録されたビットコイン取引のイメージを表したもの。上から「RossさんはGarethさんにビットコイン3枚(3BTC)を渡しました」「JohnさんはGarethさんに1BTC渡しました」「GarethさんはRossさんに2BTC渡しました」というやりとりが記録されています。


この取引以前にGarethさんがビットコインを保有していない場合には、「現在、Garethさんは3+1-2=2BTCを所持している」ことになり、この内容がブロックチェーンに記録されているということです。そして、このブロックチェーンを誰もが見ることができるならば、現在、誰がどれくらいのビットコインを所有しているのか、ビットコインは誰から誰に移動してきたのかという履歴が確認できるということを意味します。そして、ビットコインのブロックチェーンは世界中の誰でも簡単に見ることができるように公開されています。

もちろんここで挙げているGarethさん・Rossさん・Johnさんというのはたとえに過ぎず、実際のブロックチェーンでは固有の文字列(例えば、「1tinKeRXU3Um35ar884RqRaepQeuxX9R6」というような感じ)で表されているため、ビットコインの所有者が誰であるかを特定することは不可能です。ただ、1tinKeRXU3Um35ar884RqRaepQeuxX9R6というビットコインアドレスの持ち主として他者とは区別できるというだけ。これが、「ビットコインの匿名性」という意味です。

このようなビットコインを支えるブロックチェーンの仕組みを理解すると、「このビットコイン」「そのビットコイン」というような概念が意味を持たないことがよく分かります。ビットコインには固有の「コイン」はなく、ブロックチェーンにあるのはビットコインの総量だけ。そして、誰がどれくらいの分け前を保有しているのかのパワーバランスと、そのパワーバランスの変化の経緯がブロックチェーンに記録されるだけです。ビットコインを保有するということは、ブロックチェーンに固有のビットコインアドレスと自分の保有率を記録するということなのです。

秘密鍵「署名」による暗号化
ビットコイン=ブロックチェーンということが理解できると、「ブロックチェーンを偽造してビットコイン長者になれないのか?」と考えるのは当然です。しかし、これは不可能です。ブロックチェーンは改竄できません。これこそが、ビットコインの生みの親「中本哲史」の革新的な発明です。

ビットコインには、強固なセキュリティを実現するために公開鍵暗号という技術が採用されています。公開鍵暗号では、秘密鍵を持つ者だけが暗号を解読することができますが、ビットコインではブロックチェーンでの「署名」行為に公開鍵暗号技術を取り入れています。

これは、ブロックチェーンでの取引履歴を表したもの。「Transaction 25(第25番目の処理)」の内容の意味は、以下の通りです。


Transaction(第24番目の処理)でビットコインを送ったのはこの「John B」という署名の人物(Johnさん)です。


JohnさんはGarethさんという人にビットコインを送りました。そのGarethさんの署名が「Gareth MacLeod」です。


すなわちTransaction 25には、「JohnさんがGarethさんにビットコインを送信した(JohnさんからGarethさんにビットコインが移動した)」という取引の内容が記録されているということです。

そして、次のTransaction 26でGarethさんがRossさんにビットコインを送信すればこのような記録がなされます。このように、ブロックチェーン上にはビットコイン所有者の「署名」が記録されており、署名が一致する場合だけブロックチェーンが書き換えられる仕組みが採られています。


もしも、誰かがブロックチェーンにウソの署名を使ってウソの取引内容を記録しようとしても、ブロックチェーンにすでにある署名と一致しない場合には、内容は書き換えられません。


そして、このブロックチェーンへの署名行為は、秘密鍵を持つ者だけが行うことができるという仕組みになっているのです。つまり、秘密鍵を持つ者だけがブロックチェーンの書き換えを行えるということ、すなわちビットコインを他人に送信できるということです。さらに言うならば、ビットコインの秘密鍵を持っていることがビットコインを保有するという事を意味しており、秘密鍵を持っているという事実だけがビットコイン所有者であることを証明してくれるというわけです。

なお、ビットコインの秘密鍵はビットコインアドレスと同様の文字列(例えば、「5Kb8kLf9zgWQnogidDA76MzPL6TsZZY36hWXMssSzNydYXYB9KF」というような感じ)になっており、QRコードにすることも可能。しかし、うっかりこの秘密鍵をテレビなどで公開してしまうとビットコインを盗まれるはめになります。

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ビットコインウォレット
ビットコインで取引するためにはビットコインアドレスと秘密鍵が必要なことが分かりました。そして、ビットコインアドレスはブロックチェーンに公開されていることから、ビットコインで取引するために必要なのは秘密鍵だけ、ということも理解できました。そうすると、ビットコインを利用するのに必要なことは「秘密鍵の管理」につきると言えそうです。

「ビットコインが盗まれた」とよく聞きますが、これは「秘密鍵が盗まれた」ということです。破産したビットコインの大手取引所「Mt.Gox」のマルク・カルプレスCEOが記者会見で、「セキュリティに弱いところがあって、ビットコインがいなくなった(原文ママ)」と語りましたが、ビットコインは消滅したわけでも「いなくなった」わけでもなく、ハッキングによって保管していた秘密鍵を手に入れた人物にビットコインの支配権が移行したという事を意味しているのです。

ビットコインの命運は秘密鍵が握っている以上、その管理をする必要がありますが、それを行うのが「ビットコインウォレット」です。

By BTC Trinkets .com

ビットコインウォレットは一番シンプルなものは秘密鍵の文字列を記録するツールであれば事足りますが、多くのビットコインウォレットは、秘密鍵を保管するだけでなくビットコインの決済を行う機能を持っています。すなわち、ブロックチェーンを書き換える命令を出すこともできるということです。

ビットコインウォレットの種類は大きく分けて以下の3種類です。

デスクトップウォレット
自分のローカル・コンピュータで秘密鍵を保管するタイプのものは「デスクトップウォレット」と呼ばれます。「デスクトップ」という名前ですが、デスクトップPCに限らず、スマートフォンなどのモバイル端末なども自分で管理することができます。

実は、前述したビットコインシステムを維持しているソフトウェアのBitcoin-Qtは、ビットコイン公式デスクトップウォレットとしての機能も果たしています。しかし、約9GBのブロックチェーンを一緒に保存しなければならないという欠点を持っており、これを改良したブロックチェーンの保管を必要としないデスクトップウォレットとして「MultiBit」などがあります。

デスクトップウォレットには、ビットコインを自身で完全にコントロールできるというメリットがありますが、ネットワークにつながっているためハッキングによって秘密鍵を失うというリスクが常につきまとっていることには注意が必要です。

オンラインウォレット
ビットコイン秘密鍵の管理を第三者に任せるのが「オンラインウォレット」です。クラウド上にビットコインをアップロードしてその管理を第三者に委ねるというサービスで、インターネットにアクセスできる環境なら場所を問わずビットコインの取引が行えるという利便性を兼ね備えています。Mt.Goxが行っていたサービスはこのオンラインウォレットに該当します。

しかし、オンラインウォレットは大切な秘密鍵を第三者の手に委ねることから、信頼性という大きな問題を抱えています。ビットコインが「いなくなる」リスクは、やはりつきまとうと言えます。

ペーパーウォレット(コールドウォレット)
ハッキング被害のリスクをゼロにするには、ネットワークから遮断した状態でビットコインを保管するしかありません。例えば、「ビットコインの秘密鍵を紙に書いて机の引き出しに保管しておく」という原始的な手法であれば、ハッキングによってビットコインを盗まれる可能性はゼロです。このようなものは、「ペーパーウォレット」と呼ばれています。なお、ネットワークにつながったウォレットを「ホットウォレット」、その対比でペーパーウォレットは「コールドウォレット」と呼ばれることもあります。

このような原始的な保管方法は、ハッキングリスクをなくせる代償として、ビットコインの取引の度に秘密鍵を入力するという手間が必要になります。さらに、ペーパーウォレット自体の物理的な管理の手間も生じます。ネットワークから遮断するためにハードディスク内に秘密鍵データを保管したとしても、そのハードディスクがなくなればビットコインを失うことに違いはないのです。

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ビットコインの今後
最初に、ビットコインはP2Pでシステムが運用されていることを書きました。この事実が、ビットコインの今後を占う上で非常に重要になってきます。

ビットコインのシステムリソースは、ビットコインクライアントを使ってマイニングをするエネルギーでまかなわれており、ビットコインは設定された2100万BTCのすべてが2140年中に掘り尽くされる予定です。


「では、最後のビットコインが掘り出されたその後は、どのようにしてシステムを維持していくのか?」という素朴な疑問は、ビットコインが用意している「transaction fee(取引手数料)」という仕組みが解決してくれます。

ビットコインを送信するときには、その取引が真正な署名によってなされているのか、過去の履歴に間違いがないかなどが計算されるため、実際に取引が成立し決済が完了するまでに時間がかかるのが常です。しかし、transaction feeを支払うことで、その計算を優先的に行ってもらえるという仕組みが採用されており、決済を素早く確実に行いたい人は取引手数料を支払うことができます。なお、このtransaction feeの金額は、ビットコイン取引を行う人が自分で決定することができます。

この取引手数料は、最初に決済に関する計算を実行したビットコインマイナー(採掘者)に支払われるため、この手数料がモチベーションとなって、ビットコインシステムが半永久的に維持され続けると考えられています。

By fdecomite

そして、「ビットコインが政府などの権力機関によってつぶされないのか?」という疑問についても、P2Pと強固な暗号化のおかげで、システムを停止させることは事実上不可能であり、例えばBitTorrentでの著作権侵害行為を取り締まるのが難しいのと同様に、公の取引を法律で禁止することくらいしか対策はないと言えます。

ビットコインシステムが崩壊するときとは、ビットコインシステムを維持するためのリソースを誰も提供しなくなったときですが、それは、ビットコイン以上に魅力的な新たな仮想通貨が現れ主役の座を奪うときなのかもしれません。

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