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「10年後には検索ボックスが消える?」2017年と2027年のIT分野の展望についてMicrosoftの研究者が語る


人工知能(AI)や仮想現実(VR)など、テクノロジーは日々驚くべきスピードで発展していきます。そんなコンピューターサイエンス分野を支えるMicrosoftの女性研究者たちが、自身が研究する分野の2017年および2027年の展望を語っています。

17 for '17: Microsoft researchers on what to expect in 2017 and 2027 - Next at Microsoft
http://blogs.microsoft.com/next/2016/12/05/17-17-microsoft-researchers-expect-2017-2027/


◆自然言語処理の研究者


・2017年の展望
Microsoftが開発する言語関連のアプリケーションは、2017年にますます多言語化していくそうです。これはMicrosoftがより多くの言語を追加していくというだけでなく、「イギリス人の話すスペイン語」や「フランス人の話すアラビア語」など、より高度な言語の翻訳に挑戦していくということでもあるそうです。

・2027年の展望
2027年には「人工知能(AI)システムが推論し、人間と簡単にコミュニケーションをとれるような言語モデルが確立されているだろう」と、女性研究者のカリカさんは語っています。

◆機械学習アルゴリズムの開発者

By Jiuguang Wang

・2017年の展望
「ディープラーニングは我々の技術の多くに姿を変えていることでしょう」と語るのは機械学習アルゴリズムの開発者であるジェニファーさん。しかし、今日のディープラーニングアルゴリズムの大部分はまだヒューリスティックなものであり、同研究分野の先駆者たちによる経験と直観に基づいたものであるとも付け加えています。そして2017年は、ディープラーニングとそれが生み出す多くのアルゴリズムが、より理にかなった理解を得ていくことになるだろう、と語っています。加えて、ディープラーニングに関する理解はコンピューターサイエンス分野だけでなく、さまざまな分野からの知見により進歩していくだろうともコメントしています。

・2027年の展望
ジェニファーさんは2027年には機械学習アルゴリズムの進化により「人間の生活レベルは、AIや機械学習アルゴリズムにより驚くべきレベルで強化されているでしょう」と語ります。そして、今後10年での最も大きな進歩は、現在の不平等かつ不明瞭なアルゴリズムが、公平で明瞭なものになっていることかもしれない、としています。

◆情報検索の研究者


・2017年の展望
「検索や情報検索分野におけるディープラーニング技術がめざましい進歩を見せることは明らかでしょう」と、情報検索の研究者であるスーザンさんは語ります。過去数年にわたり、Microsoftでは音声認識や画像認識、自然言語処理などさまざまな分野で新しいディープラーニングのアーキテクチャーと、データやコンピューターパワーの融合を果たしてきました。2017年もディープラーニングモデルの進化は続き、ウェブ検索のクオリティは向上し、より一般的な文章の理解などが進むとのこと。

・2027年の展望
2027年の情報検索についてスーザンさんは、「10年後には検索ボックスが消えるでしょう」と大胆な展望を語ります。スーザンさんは検索ボックスがより機能性が高く、普遍的なものに置き換わるだろう、と予測。さらに、「検索ボックスの変化」の始まりは、モバイル端末やスマートホーム関連デバイスなどの音声認識アシスタントなどでも見てとれる、と語っています。こういったトレンドが今後も加速を続け、音・画像・映像や位置情報など、さまざまな情報からより洗練された答えを導き出す検索機能が生まれるとのこと。

◆VRの開発者

By Samantha Cristoforetti

・2017年の展望
「2017年、我々はボディトラッキングを特徴としたVRデバイスをリリースします」と語るのは、VR関連技術の開発者であるゴンザレスさん。彼女によれば、一人称視点からバーチャル上のアバターを実現できるのが、Microsoftがリリース予定のVRデバイスの優れた点だそうです。

・2027年の展望
2027年までに複数の感覚を疑似体験できるような優れたVRシステムを構築しているでしょう、とゴンザレスさん。既存のVRデバイスは視聴覚を刺激するだけのデバイスですが、将来的に視覚や聴覚以外の感覚も刺激できる進化したVRデバイスの登場が予想されているというわけです。

◆社会学の研究者

By Kevin Dooley

・2017年の展望
Microsoftの社会学者であるマリーさんによれば、社会学者やコンピューターサイエンティストが協力して、文化・経済・政治などの「フィルターバブル」を測定する新しい方法を開発しているとのこと。

・2027年の展望
「2027年までにアメリカの約30%の成人が、AIを使った製品やサービスを用いる職業に就くことになるでしょう」とマリーさん。AIを駆使する労働力は開発途中の技術や公共政策のための社会的セーフティーネットとなり、社会学はこういったAIを駆使する製品やサービスが社会に溶け込むための重要な役割を担うことになるだろうとのこと。

ということで、複数分野の研究者がディープラーニングやAIをキーワードとして挙げており、その注目度の高さがうかがえます。

By Dick Thomas Johnson

なお、なぜMicrosoftが「女性の研究者」だけに今後の展望を聞いたのかというと、今後より多くの女性がコンピューターサイエンスの分野で活躍することを願っているから、とのこと。

Microsoftが女性に「コンピューターサイエンスを学ぶべき」と推奨するひとつ目の理由は、アメリカ労働統計局が「2020年までに140万のコンピューター関連の働き口が生まれ、その中でコンピューターサイエンスを学び仕事に活かすことができる学生の数が40万人もいる」と予測していることにあります。つまり、コンピューターサイエンスを学んでおけば将来的な働き口に困る可能性は少なくなる、とMicrosoftは考えているわけです。

2つ目は、National Association of Colleges and Employersが「コンピューターサイエンスは最もお金のかかる学位のひとつであるものの、プログラミング職はアメリカの全国平均の2倍も雇用数が増えている職業である」という調査結果を公表したから。つまり、2つ目の理由は「現在もコンピューターサイエンス分野には多くの働き口があるから」というもの。

そして3つ目の理由は、大学で学士号を得る57%は女性であるものの、主な研究大学で女性がコンピューターサイエンスの学位を取得する割合はわずか12%しかないことがNational Center for Women&Information Technologyの調査で明らかになっているから。つまり、Microsoftは「より多くの女性がコンピューターサイエンス分野に進出すべき」と考えているのです。


問題は、コンピューター分野で女性がどのように成功を収めているのかがわからないという点ですが、それを埋めるべく、Microsoftが自社の研究組織で働く女性研究者に、それぞれの研究分野における2017年の展望と10年後の展望を聞いていたというわけです。

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in メモ, Posted by logu_ii

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