モバイル

SIMカードにシールを貼るだけで電波の届かないところでもモバイル決済が可能になる「DigiTally」

By Jason Howie

Apple PayAndroid Payなどモバイル決済サービスはさまざまなものが存在する中で、インターネットに接続できない場所でも使えるモバイル決済システム「DigiTally」をケンブリッジ大学が発表しました。

DigiTally - Computer Laboratory
https://www.cl.cam.ac.uk/~kabhb2/DigiTally/

モバイル決済は多くの発展途上国でも利用できるサービスです。世界中には200以上のモバイル決済サービスが存在しているわけですが、こういったサービスの中には地域の支払いに活用されていたり、移住者が本国に送金するのに使用していたり、マイクロクレジットのような金融サービスをサポートしていたりと、さまざまなユーザーの使い方にマッチした便利なサービスが展開されています。

2015年、Microsoftの元会長であるビル・ゲイツ氏が創設した慈善団体のビル&メリンダ・ゲイツ財団は、貧しい国々や通信環境の悪い地域に住む人々でも使用できるモバイル決済システムの必要性を訴えました。この提案を受けてケンブリッジ大学が開発を進めていたのが「DigiTally」です。

By Steven Depolo

DigiTallyは携帯電話を使った支払いシステムをインターネット通信環境が悪い場所でも使えるようにして、さらに取引にかかる手数料も縮小することを目指した新しい支払いシステム。DigiTallyを使って何かしらの支払い処理を行うと、8桁の文字列を携帯電話間でやり取りすることで支払い処理を記録することができます。このやり取りに必要なものはSIMカードのみなので、DigiTallyはスマートフォンでなくても利用可能です。ネットワークに接続していなくても取引処理ができるので、途上国などのインターネット環境がまだ整備しきれていない地域での利用も想定されているわけです。

DigiTallyがインターネットに接続していなくても利用可能となるのは、SIMカードに専用のシールを貼り付けて使用するから。専用シールを貼り付けることで、SIMのモバイルネットワークをバイパスして端末間での通信が可能になる模様。


支払時はユーザーが支払金額を入力すると以下のような8桁の数字が表示されます。次に、支払いを受ける側が金額と8桁の数字を入力することで決済完了です。


ただし、端末がネットワーク接続を「まったく必要としていない」というわけではありません。取引を行った2つの携帯電話のうちどちらかがネットワークに接続すると、取引処理がインターネット上にアップロードされるようになっているわけです。つまり、DigiTallyは「インターネット環境がない場所で使用することを想定されている」というよりは、「インターネット環境が悪い場所で使用することを想定されている」モバイル決済システムになっています。

DigiTally開発プロジェクトの目標は、誰もが使えるようにパブリックドメインなモバイル決済システムを開発することです。

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in モバイル, Posted by logu_ii

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