アメリカ国防総省が作った「未来の暗たんたる巨大都市」を描くムービーは何を目的にしているのか?
アメリカ国防総省(ペンタゴン)が作成した、「未来の巨大都市」の姿を描くムービーをThe Interceptが入手しました。ペンタゴンのJoint Special Operations University(JSOU)の講義で用いられたという約5分のムービーでは、多くの人が集中する未来の巨大都市(メガシティ)で抱えることになる問題が描かれています。
Pentagon Video Warns of “Unavoidable” Dystopian Future for World’s Biggest Cities
https://theintercept.com/2016/10/13/pentagon-video-warns-of-unavoidable-dystopian-future-for-worlds-biggest-cities/
アメリカ国防総省が考える未来の都市は以下のムービーで確認できます。
MUST WATCH - Megacities: Urban Future, the Emerging Complexity - A Pentagon Video - YouTube
ムービーのテーマは「MGACITYES URBAN FUTURE the emerging complexity(未来の巨大都市、浮かび上がる複雑性)」
2030年までに都市空間は14億人を抱えるまでに拡大し、その都市には発展途上国も含まれます。
世界人口の60%と世界のGDPの70%が都会に集中し……
都会の住人の60%が18歳未満の若者で占められます。
これまでになく急速に成長する都市環境は、資源を圧迫し……
不道徳な行為が満ちあふれ、そこには人員過剰と予算不足の政府が横たわっているでしょう。
そして、自然災害のリスクも高まります。
都市の急速な成長は、富める人と……
貧乏人との隔絶を生み出します。
また、宗教的な緊張やあつれきも生まれます。
前例のない停滞状態も存在するでしょう。
技術の進歩を享受する都会の周りには荒廃したスラムが広がります。
これこそが私たちが迎える未来です。
準備不足であることが明らかですが、避けることのできない未来です。
未来の都市のインフラ整備は急進的です。
高速鉄道や……
港や空港
自然エネルギーを利用した発電施設など。
その一方で、環境汚染などの問題もつきまといます。
従来からの生活スタイルと近代的な生活スタイルとの衝突は、犯罪ネットワークを呼び起こす機会になります。
国家を前提としない独立した反政府組織は、国際的なルールの影で機能します。
物理空間と同じくデジタル空間も際限なく広がりを見せます。
メガシティの持つ巨大なスケールと複雑性により、99%の人がサポートを受けられる一方で、1%の人は恐れを抱くことになります。
この世界には二つの根本的な選択肢があります。「都会を避ける」か「非常線を確立すること」
この原則は、イラクやアフガニスタンで磨かれたものです。
私たちは過去の戦争の英雄たちにも予想不可能な環境に直面しています。
直面する脅威は原則や武力を改善し急進的な新しい方法をとることを要求しています。未来の軍隊は、高度に洗練された都会の脅威に向き合うことになるでしょう。
The Interceptによると、このムービーはJSOUで行われた「高度な特殊テロへの対策コース」の講義で一部使用されたものだとのこと。アメリカ軍でも最もエリートな組織と目される特殊部隊向けに作成されたムービーでは、暗い未来が描かれています。なお、陸軍広報担当者のウィリアム・レイヤー氏はThe Interceptに対して、「ムービーは2014年の春に製作されたもので、映像プロデューサーは匿名のままにしてほしいとの希望を持っている」とメールで回答したそうです。
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