サイエンス

チームを成功に導くのは潤滑油ではなく高テストステロンと低コルチゾール

By Morgan

家庭や学校、会社などでは、1人で作業をするのではなく複数人でグループを作り、1人1人が別の役割を担いながら1つの目標に向かってまとめあげるグループワークを行う機会が多々あります。異なる性格やスキル持つ人たちが集まり1つの方向に向かってプロジェクトを進めて成功に導くには一体何が必要なのか、その答えを導き出す1つの実験が行われました。

Collective hormonal profiles predict group performance
http://www.pnas.org/content/113/35/9774

Most effective teams have high testosterone and low cortisol | Ars Technica
http://arstechnica.com/science/2016/08/most-effective-teams-have-high-testosterone-and-low-cortisol/

コロンビア大学、トロント大学、オレゴン大学の心理学者らで結成された研究チームは、MBA取得を目指して勉強している370人の学生から唾液を採取し、学生たちを3~6人のグループに分けて意思決定に関するタスクを行ってもらうという実験を行いました。タスクは架空の研究所を7日間にわたって管理して収益を可能な限り増やすというもので、それぞれのグループは収益を増やすための管理スキームを作成するのですが、収益を増やすためにはグループのメンバーたちが相互に助け合うことが必須となっています。

By Kozminski University

研究チームは、各グループの管理タスクに対するパフォーマンスがグループメンバーのテストステロン(男性ホルモンの一種で筋肉増大や骨格の発達を司る)とコルチゾール(副腎皮質から放出されるステロイドホルモンでストレス負荷が高まると増加し、免疫系、中枢神経系、代謝系などに対してさまざまな作用を及ぼし、長期にわたって過剰に分泌されると記憶を司る海馬を萎縮させる)というホルモンの分泌量によって異なると事前に予想しており、実験前に採取した唾液を分析して各グループのタスクの達成度と照らし合わせると、実験で好成績を収めたチームはテストステロンの平均分泌量が多く、コルチゾールの平均分泌量が少ないという傾向があることが判明しました。

これまでに行われた研究ではホルモンの分泌量が個人パフォーパンスに影響を与えることがわかっていますが、同じことがグループワークでも起こりうることが証明されたのは初めてのこと。研究チームは「テストステロンの分泌量が多くコルチゾールの分泌量が少ないと、グループのメンバーがお互いに信頼し合う関係性を構築しやすく、結果的に効率的な意思決定を行うことができているのではないか」と考察しています。

ただし、IT関連メディアのArs Technicaは、テストステロンの分泌量が著しく多い、もしくはコルチゾールの分泌量が著しく少ない人をグループに加えることでタスク結果にどのような影響が現れるのか、個人のさまざまな種類のホルモンがグループ内での協調性にどのような影響を与えるのかを調べるなど、多面的な実験を今後行う必要があるとしています。

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in サイエンス, Posted by darkhorse_log

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