オフィスのタイプ別に見るワーカーがストレスを感じるポイント

By Brian Herzog

「デスクが汚い」「周りがうるさい」「室温が高すぎる・低すぎる」「空気がこもって気分が悪い」といった、オフィスで過ごす際に感じるストレスや不満を、オフィスのタイプ別に調査した結果が、シドニー大学のJungsoo Kim氏とRichard de Dear氏の研究で明らかになっており、これをHarvard Business Reviewが公開しています。

Research: Cubicles Are the Absolute Worst - Sarah Green - Harvard Business Review
http://blogs.hbr.org/2013/11/research-cubicles-are-the-absolute-worst/

オフィスのデスクの使い方は人それぞれです。きれいに整頓していなければ作業が進まないという人もいれば、ところ構わず自分の物を置きまくり自分だけの砦を作り上げてしまう人もいます。そんなオフィスの作業スペースのどこに不満を持つのかを、オフィスのタイプ別に集計したグラフが以下のもの。

オフィスのタイプは大まかに5種類に分類されています。

◆Enclosed private(個室)

By Ed Hunsinger

◆Enclosed shared(共有の個室)

By Jake Khuon

◆Cubicles with high partitions(高いパーティションで区切られたオフィス)

By slworking2

◆Cubicles with low partitions(低いパーティションで区切られたオフィス)

By Dave MacFarlane

◆Open office with no/limited partitions(パーティションのない、オープンなオフィス)

By Phil Whitehouse

グラフを見ると、パーティションのないオフィスで働く人たちは、壁の少ないオフィスの中で散らかったデスクを見てイライラするというよりは、周囲の騒がしさにフラストレーションを感じている人の方が多いようです。また、パーティションで区切られたオフィスで仕事をこなす人の30％や、オープンオフィスで過ごす約25％の人たちが騒音レベルに強い不満を持っていることも分かります。

そして多くのオフィスタイプで最もフラストレーションの元になっているのが、音に関するプライバシーの欠如です。オープンオフィスやパーティションで区切られたオフィス空間で働く人々は、周りの音を遮る壁が個室のオフィスよりも圧倒的に少ないので、耳に入ってくる音をコントロールすることはほとんど不可能です。調査によると、パーティションで区切られたスペースで働く約60％と、オープンオフィスで働く約50％の人々にとって、この音に関するプライバシーの欠如が最もストレスの溜まる問題となっているとのこと。さらに研究者によると、オープンオフィスで働く人々の方がパーティションで区切られたスペースで仕事をこなす人たちよりも音の問題に悩む割合が少ないのは、パーティションがないのでどこから音が発せられるのか分かるため、と言います。

By Ben Husmann

その他のフラストレーションの元となっているのは、視覚におけるプライバシー問題や温度の問題。意外にも臭いに関してフラストレーションを抱えるオフィスワーカーはそれほどいませんでした。

Kim氏とDear氏の研究で引用された従来の研究では、「オープンオフィスでは雑音による生産性の損失が、個室のオフィスよりも2倍高まる」ことが既に明らかにされており、この生産性の損失はオープンオフィスになることでアップする共同作業の効率アップなどでは相殺できないものであると判明しています。どの種類のオフィスで働く人たちにとっても、「共同作業の容易さ(Ease of interaction)」はたいした問題ではないようで、実際に個室のオフィスで働いく人の方がオープンオフィスで働く人よりも共同作業を苦にしていないことがグラフからも分かります。

また、研究者がデータに回帰を用いて、何が最もフラストレーションになっていたかだけではなく、それらのフラストレーションが全体的な満足感に対してどれ程重要であるかを調べたそうです。その結果、独身の人にとって最も重要な問題は、作業スペースの狭さであったとのことです。

複数のオフィスタイプの中でも、個室タイプのオフィスを使っている人は周囲や仕事環境に対して不満が少ない、という点もかなり印象的。他のオフィスタイプにはつきものの周囲からの音も個室ならば大幅にカットできますが、問題は社員の数だけ個室を確保できるのかという部分になってくるわけですが……。