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ドローンによる輸送サービスの本格的テスト開始、医薬品や輸血用血液の輸送も視野に


アメリカで、政府が大きく関わった形でのドローンのテスト飛行が開始されることが発表されました。これまでは主に民間が主導する形での取り組みが進められてきましたが、政府がその一翼を担う形になることで、今後はさらに本格的な動きが見られることになりそうです。

Alphabet’s Project Wing Delivery Drones to Be Tested in U.S. - Bloomberg Politics
http://www.bloomberg.com/politics/articles/2016-08-02/google-s-project-wing-delivery-drones-to-be-tested-at-u-s-site

Alphabet will begin testing its delivery drones inside the US | The Verge
http://www.theverge.com/2016/8/2/12353788/google-autonomous-drone-project-wing-faa-approved-test

アメリカではAmazonやGoogleの親会社であるAlphabetのProject Wing、そしてドローン宅配の実験を成功させているセブン・イレブンなどがドローンによる輸送サービスの研究を進めていますが、これまでFAA(連邦航空局)は「人間のパイロットがいないフライト」または「パイロットの視界を超える範囲に及ぶフライト」を禁止していたため、運用できる範囲には限界が存在していました。

しかし今回、ホワイトハウスがイニシアチブをとる形で進められる取り組みでは、これらの制限が緩和された状態でのテスト飛行が可能になるとのこと。テストにはAlphabetのProject Wingが参加して、宅配ドローンや農業などに使われる無人航空機(UAV)などの開発が進められることになります。なお、飛行が可能なのはFAAが定める専用のエリアに限定されるとのこと。


ホワイトハウスからも、取り組みに関するリリースが発表されています。

FACT SHEET: New Commitments to Accelerate the Safe Integration of Unmanned Aircraft Systems | whitehouse.gov
https://www.whitehouse.gov/the-press-office/2016/08/02/fact-sheet-new-commitments-accelerate-safe-integration-unmanned-aircraft


Project Wingでは実験に用いるドローンに対し、自機の位置を把握して周囲のドローンや地上の管理者に送信する小さな無線発信器を搭載することを求めています。この機器は、一般の航空機に対して2020年までの搭載を義務づけているもので、同じ機能を持つ装置を搭載することで空中での危険な接近や衝突、墜落を防止することが期待できるとのこと。

物品の輸送が可能なドローンに対しては、宅配サービスへの活用の他、農業分野などへの活用も期待されています。広大な農地が広がるアメリカでは、人間が操縦する「クロップ・ダスター」と呼ばれる小型飛行機で農薬散布を行うことが一般的ですが、墜落による死亡事故が後を絶たず、安全面における大きな問題となっていました。

By Roger Smith

しかし、これらの作業をドローンで自動化し、さらにパイロットの目の届かない範囲での運用が可能になると、こういった問題解決が大きく進歩することになるため、期待が集まっています。実用化に至るにはこれから数年にわたる検証が必要になりそうですが、ドローンが多く飛び回る社会が近い将来には現実のものとなる可能性が高くなってきています。

さらに、ドローンを使った輸血用血液や医薬品の輸送も視野に入れられており、同じく現実化に向かって海外では前進中です。

Drones will begin delivering blood and medicine in the US | The Verge
http://www.theverge.com/2016/8/2/12350274/zipline-drone-delivery-us-launch-blood-medicine


カリフォルニアに拠点を置くスタートアップのZiplineはルワンダ政府の協力のもと、血液と医薬品をドローンで輸送するサービスをルワンダ国内の一部で開始しました。以下のような感じで飛び立ちます。

Drones to Deliver Medical Supplies in Rwanda - YouTube


アメリカ同様に広大な土地が広がるルワンダにおける、医療分野でのドローン活用ということになるわけですが、同社では同様の仕組みをアメリカにも投入することを目論んでいます。現時点ではFAAによる安全規制などが存在するため、実現にはまだ時間がかかるようですが、緊急時に対処するドローン活用ということになれば、さらにその利用価値は高いものになりそうです。

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in ハードウェア,   動画, Posted by darkhorse_log

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