世界に広まる兆しを見せたハイチュウに立ちはだかった強力な敵
日本を代表するソフトキャンディといえば「ハイチュウ」。皆さんもきっと一度は口にしたことがあるでしょう。その人気は日本だけにとどまらず、海外でも支持されるヒット商品となっています。世界に広がる可能性を秘めたハイチュウですが、順風満帆といった訳でもありません。とある国ではコカ・コーラ、ビッグマックばりの知名度を持つブランドが競合品を販売していました。
こんにちは、自転車世界一周の周藤卓也@チャリダーマンです。ガムでもないしキャラメルでもない独特の食感があるハイチュウは海外でも珍しい存在でした。だからこそ、海外の人にも受け入れられたのかもしれません。
◆アメリカで話題
2014年に、メジャーリーガーの間に「ハイチュウ」が広がっているという記事が出ました。きっかけは、ボストン・レッドソックスに所属する田澤純一投手だったそうです。
MLBで広がる「ハイチュウ」の輪 レッドソックス田沢が伝道師 |MONO TRENDY|NIKKEI STYLE
http://style.nikkei.com/article/DGXNASFK0500B_V00C14A6000000
口を動かす大リーガーを見て、何を食べているのか? と思う人は多いだろう。それは日本のソフトキャンディー、森永製菓「ハイチュウ」かもしれない。最近「ハイチュウ」片手にグラウンドに向かう大リーガーが全米で出没。ニューヨーク・ヤンキース入りした“田中将大効果"といわれたが、火付け役は100年来のライバル、ボストン・レッドソックス。今年からレッドソックス、シカゴ・カブス、ミネソタ・ツインズにプロバスケットボール(NBA)のニューヨーク・ニックスとスポンサー契約。選手の口から口へ、日本のおやつが驚異的な広がりを見せている。
ハイチュウはアメリカで大人気となっているようで、森永製菓も国内に工場を建てて現地生産に乗り出すそうです。それまで流通していたのは台湾からの輸入品でした。
アメリカ版のハイチュウ。
裏面にはMade in Taiwanという記載。
◆ハイチュウの海外展開
森永製菓としても海外での事業展開には積極的で、公式サイトにも以下のような説明が掲載されていました。
グローバルネットワーク|森永製菓について|森永製菓
http://www.morinaga.co.jp/company/about/global.html
森永製菓グループでは規模拡大に向けた取り組みとして、海外での事業展開を加速し、米国・東南アジア・中国を重点エリアに定め、現地生産と販売網の構築を進め市場シェアの拡大に取り組んでいます。
米国、中国では世界に通じる味わいと技術的強みを持つ「ハイチュウ」を販売しており、中国では2004年より製造を開始、米国では2015年夏より現地での生産を予定しています。また、東南アジアエリアでは、2013年インドネシアに合弁会社を設立し、「MORINAGA」ブランド商品の発売に向け、準備を進めています。さらに、創業50年の歴史をもつ台湾森永製菓は、台湾市場に加え、グローバルな製造拠点の役割も担い、「ハイチュウ」だけでなく、日本で新市場を創造した「inゼリー」も、アジアを中心に展開しています。
実際に私も海外でハイチュウを買っていました。これはタイ版のハイチュウ。
台湾版のハイチュウ。
台湾には「生果実軟糖」というハイチュウの派生品が販売されています。2015年末に日本でも話題となった「ハイチュウプレミアム」と同じ商品のようです。
柔らかくてジューシーで、ハイチュウとは全然違うハイチュウでした。
ハイチュウは世界に通用するメイド・イン・ジャパンのお菓子として、各種メディアにも取り上げられています。
メジャーリーガーをとりこにした 森永「ハイチュウ」の魅力に迫る | American Sports Biz の歩き方 | 週刊ダイヤモンド
http://dw.diamond.ne.jp/articles/-/9673
なぜポッキー、ハイチュウは海外で売れる? | 食品業界 | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準
http://toyokeizai.net/articles/-/64687
◆メントスチュウという競合品
海外に広まりつつある日本のハイチュウですが、その前途は必ずしも安泰とも言えません。シンガポールのスーパーでハイチュウの隣に「メントスチュウ」という類似品が並んでいました。世界で一番の知名度を誇るソフトキャンディといっても過言ではないメントスの派生品で、台湾産のハイチュウとベトナム産のメントスチュウが熱い火花を散らしています。
シンガポールにあったハイチュウ(7粒)とメントスチュウ(9粒)。
マンゴー味のハイチュウ。
中身。
青りんご味のメントスチュウ。
中身。
食感はほぼ一緒ですが、ハイチュウの方がジューシーな味わい。
シンガポールだけでなく、タイもハイチュウとメントスチュウが競合していました。タイ国内で9000店を超えるセブンイレブンにも置いてあったりと、激しいシェア争いが繰り広げられています。
タイにあったハイチュウ(12粒)とメントスチュウ(9粒)。
タイ産のハイチュウは中国製造という記載。
オーストラリアでも競合しているようです。
Hi-Chew Australia - A Little Piece of Heaven
http://www.hi-chew.com.au/
オーストラリアのメントスチュウ。(http://www.mentos.com.au/products)
Mentos | Stay Fresh!
http://www.mentos.com.au/
◆メントスとは?
メントスはヨーロッパの企業であるペルフェティ・ファン・メレが手掛けるソフトキャンディです。飴玉のように硬い粒は外側をコーティングされているだけなので、口に入れると簡単に噛み砕けます。殻が破けると閉じ込められていたソフトキャンディのフレーバーの甘さで口の中がいっぱいになります。
コカ・コーラのようにどこにでも置いてある海外の定番品で、国によって値段が変わるので物価を計る物差しの一つでした。日本でも販売されているサイズが標準。ただし途上国ではミニサイズとかもあります。インドではミニサイズが8ルピー(約15円)で販売されていました。世界中の人にとって身近な存在であるメントス。そのブランド価値は計り知ることができません。
ケニアにあったミニサイズのメントス。
ちょっと珍しかったスイカフレーバー。
湿度の高い国のメントスは包装がビニール製だったりします。
◆中国のハイチュウ
今年5月、モンゴル訪問のために北京と天津を旅をしていました。森永製菓の公式ページでも中国は重点エリアとして記載されいます。そんな期待を胸に幾つものスーパーマーケットで探したのですがありません。あったのは「ぷっちょ(普超)」だけ。中国も広いですから、上海とかにあるのかもしれません。
そんな隙間を縫って現地企業が販売していた「熊博士」という競合品。
とはいっても、ポッキーを擁するグリコは北京、天津でも陳列棚に一定のスペースを確保するくらいの存在感を示していました。ハイチュウを見かけなかったのは事業規模の違いでしょうか。これからの活躍に期待。
◆海外で羽ばたけ
日本のハイチュウ。
このように世界のガリバーともいえるメントスが、ハイチュウの競合品を出していました。今のところ「グリーンアップル」「グレープ」「ストロベリー」という3つのフレーバーしかなく、まだまだこれからという印象は拭えませんが、相当の知名度があるブランドの商品ですから油断はできません。すでに世界中に販路を持っています。
メントスチュウにハイチュウも手をこまねいているわけでなく、タイでは通常品の12粒だけでなく、7粒のミニサイズも販売されるようになっていました。9粒のメントスチュウと対峙するラインナップです。
日本人だからこそ、メイド・イン・ジャパンのハイチュウが世界で活躍して欲しいところ。メントスチュウに負けることなく、ハイチュウの海外進出が進むことを願ってやみません。
(文・写真:周藤卓也@チャリダーマン
自転車世界一周取材中 http://shuutak.com
Twitter @shuutak)
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