日本のお菓子を世界に届ける「Candy Japan」が2015年売上レポートを公開中
By Candy Japan
日本で普通に売られているお菓子を、海外の顧客に定期的に発送するサービスを展開しているCandy Japanが2015年の収支レポートを公開しています。過去数年にわたって順調に売上を伸ばしてきたCandy Japanですが、2015年は思いもよらぬハプニングに遭遇する1年だったようです。
Candy Japan 2015 Year in Review
http://www.candyjapan.com/2015-year-in-review
Candy Japanはフィンランド出身のBemmu Sepponenさんが2011年にスタートした会員制のサービスで、日本国内で販売されているお菓子を詰め合わせにして海外の顧客に毎月2回届けるサービスです。日本に住んでいるとなんと言うこともないお菓子も、海外の人にとっては魅力的に映ることもあるようで、現在では1000人近い顧客がユーザーとして登録している状況だとのこと。
Candy Japan - Japanese Candy Box
そんなCandy Japanが公開している収支のグラフがこちら。全体的には右肩上がりといえる状況でしたが、一番右の2015年後半で上下動が大きくなっているのが気になるところ。
絵文字が語る感情の変化が象徴的な2015年のグラフ。2015年の第3四半期あたりにピークを示したグラフですが、直後に大きく落ち込みを示す動きを見せています。特に、赤色で示されたクレジットカードの落ち込みが顕著で、それに合わせるようにオレンジ色のギフトカードも減少傾向を示しています。一方、緑色のPayPalによる売上は堅調と言える動きを示しているのが興味深いところ。
その内容についてSepponenさんは以下のように説明しています。
◆カードの不正利用問題
2015年の目標として「会員数を1500人にまで増やす」というターゲットを定めたSepponenさんは、途中までは順調に成長を続けていると感じていたとのこと。一時は登録者数が1200人を越えていたほどだったのですが、あることをきっかけにその一部が「幻想(mirage)」だったことに気づいたと言います。
順調に増加していたように見えた会員数でしたが、その実情はなんと犯罪がらみのクレジットカードが関係する登録だったとのこと。盗難に遭ったクレジットカードが使用可能かを確認するために、Candy Japanのサイトを利用するケースが多く発生していたとのことでした。
その事例は次のようなもの。何らかの方法で不正に取得されたカード情報を横流しする際に、Candy Japanでカードを使ってみることで実際にカードが使えるかどうかを確認していたそうです。一連の出来事の詳細は以下のページで詳しく解説されています。
Candy Japan hit with credit card fraud
この一件を受け、Sepponenさんはクレジットカードでの決済を停止してPayPalによる決済だけの体制に戻る決断をしたとのこと。さらに、その影響でクレジットカードで決済されていたギフトカードの売上もなくなったとのことで、その影響がグラフに如実に表れることになったそうです。
また、クレジットカード受付を停止したことで、本当にサービス利用を考えていた真面目なユーザーを失うことになったとのこと。さらに、サイト改善のために実施していたA/Bテストの結果も、不正なカード決済が行われたことで結果が目茶苦茶になったために使い物にならなくなってしまったそうです。
この一件のおかげで、一時は1000人を越えていた利用者も750人レベルに落ち込んでしまったとのことで、まだまだ回復基調に乗ったとはいえない状況であるとしています。
◆税金問題
もう一つの問題といえるのが、新たに判明した税金にまつわる変化だったとのこと。すでに日本に長く住んできたSepponenさんは、本国のフィンランドではなく日本に税金を納めることを1年かけて決断したとのこと。当初は安くなると思っていた税金の額でしたが、実際には複雑な税金の仕組みのために結果として以前よりも多くの税金を払うことになってしまったようです。とはいえ、一方ではこれまでフィンランドに収めていた税金の還付を受けることができたとのことで、それなりのお金が戻って来たようです。
◆実は本も出した
このようなハプニングに見舞われた一年でしたが、Sepponenさんは自身の体験を綴った書籍「How to Start and Grow Your Subscription Box From 0 to 1000 Subscribers」を出版したそうです。
How to Start and Grow Your Subscription Box
当初は1か月程度で完成させるつもりの書籍でしたが、実際には4か月もの執筆期間を要することになったとのこと。執筆中は「絶望的で、このままいつまでも終わらない気がした」と語るほど大変だった執筆作業では、当初の予想よりもはるかに多くのリサーチや確認作業を行うことになったと振り返っています。
なお、この本には2015年最大の出来事と言えるクレジットカード問題の詳細も書かれているとのこと。さまざまな問題をクリアしつつ事業を続けてきたCandy Japanが2016年はどのような動きを見せるのか、気になるところです。
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