蚊は血を吸うときに6本の針を差し込んでいる
by Laurel F
人間を最も多く殺している生き物として知られる「蚊」は、血を吸うときに「6本の針」を使っています。高解像度の科学・生物映像を作っているDeep Lookが、はたから見ると1本にしか見えないあの口がどういう仕組みになっているのかという映像を公開しました。
※なお「イラストやインフォグラフィックで見せる」というタイプではなく、吸血中の蚊の画像などがばんばん出てくるので要注意です。
How Mosquitoes Use Six Needles to Suck Your Blood | Deep Look - YouTube
「蚊」は毎年数十万人を死に至らしめている、とても危険な生き物です。熊やサメのように、人間に「襲いかかってくる」わけではありませんが、蚊は病気を媒介するためです。たとえば、ガンビエハマダラカ(Anopheles gambiae)はマラリアを、ネッタイシマカ(Aedas aegypti)はデング熱や黄熱などを、イエカ(Culex pipiens)は西ナイル熱などを、それぞれ運んできます。
蚊が血を吸うのは、卵のためにタンパク質を必要とするから。そのため、血を吸いに来るのはすべてメスで、オスが血を吸うことはありません。
蚊は水たまりなどに卵を産み付けます。卵からかえった幼虫は「ボウフラ」と呼ばれます。
多くのボウフラは流れのある水には生息できず、水たまりや池などに生息しています。
血を吸うにあたって、蚊は長く伸びた口吻(こうふん)部で肌を切り開いていきます。
ぱっと見ると口吻は1本の針のようなのですが、実際にはここで見えているものは他の針を保護する下唇。鞘のような役割を果たしています。
蚊の頭部を解剖すると、下唇の中に他の針が隠されていることがわかります。
針は合計で6本。
そのうち2本には、小さな刃がついています。これをノコギリのように使い、肌を切り開いていきます。
別の2本は、肌を切り開いた状態で支える役割を果たします。
そしてメインがちょっと太めに描かれた針。
この針で毛細血管を探り当て、血を吸い上げます。
前述のように、蚊が必要とするのはタンパク質のみ。そのため、不要な水分は分離して、お尻の先から排出します。
別の針は吸血の補助のために、唾液を流し込みます。唾液に血液が凝固しづらくなる成分が含まれているので、滑らかに吸血できるようになります。また、肌を切り開くときの痛みで気付かれないように、麻酔成分も含まれています。ただ、この唾液はアレルギー反応を引き起こすため、蚊に刺されるとかゆくなってしまいます。
吸血が終わると、ある程度の唾液は体内に吸い戻されるようですが、すでに血液中に広がった分については回収されません。そのため「血を吸い終わるまで待った方がかゆみが少なくて済む」ということはあるかもしれませんが、「かゆみがなくなる」とまでは行かないようです。なお、もし蚊を倒すなら、吸血中に上から叩きつぶすと唾液を体の中に押し込むことになってしまうので、横から弾くのがベターです。
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