ソフトウェア

「OS/2」がBlue Lionではなく「ArcaOS」として復活へ

By RD_Elsie

IBMとMicrosoftがDOSの後継として共同開発し、1987年4月1日にバージョン1.0がリリースされたPC用OSが「OS/2」です。MicrosoftのWindows NTの前身でもあるOS/2は、Microsoftが開発から離脱したあとも、IBMにより1996年のOS/2 Warp 4までは積極的な開発が進められてきました。そんなOS/2の最新ディストリビューションとなる「ArcaOS」が、2016年の第4四半期に登場すると報じられています。

OS/2 resurrected: Blue Lion becomes ArcaOS, details emerge for upcoming release - TechRepublic
http://www.techrepublic.com/article/os2-resurrected-blue-lion-becomes-arcaos-details-emerge-for-upcoming-release/


「OS/2」の正式名称は「IBM Operating System/2」および「Microsoft Operating System/2」です。元々はIBM PS/2用のOSとして開発されたものですが、国産PCにも多く移植されました。また、IBMが1990年代前半にエンタープライズ市場で大きな成功を収めたため、OS/2は現在も多くのITシステムのエコシステムの一部に組み込まれたまま残っているそうです。

「MicrosoftとIBMが共同で開発をスタートさせたものの、Microsoftに離脱され、それでもIBMにより開発を進められていった」というOS/2の誕生から衰退までのおおまかな流れは以下にまとめられています。

OS/2の歩みを振り返る
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2007/0111/hot464.htm


「なぜMicrosoftが開発から離脱したのか?」は以下の通り。

'90年にリリースされたWindows 3.0は、大ヒットしたことでOS/2の開発パートナーであったMicrosoftとIBMの仲を引き裂く。それまでWindows 3.xの次はOS/2と言い続けてきたMicrosoftは、Windows 3.0のヒットを受けてWindows路線の継続へと舵を切る。一時的にOS/2 1.xと32bit化された「OS/2 2.x」の開発をIBMが、新規開発されるカーネル(マイクロカーネルのアイデアを取り入れたもの)を利用した「OS/2 3.x」の開発をMicrosoftが行なうという妥協も図られたものの、結局MicrosoftはOS/2 3.xをWindowsに作り替えること(後のWindows NT)を決断、両社は完全に決別した。


そんなOS/2のOEMライセンスをIBMから受けて作られたOS「eComStation」なども存在します。さらに、2015年に開かれたOS/2ユーザー向けの年次イベント「Warpstock」の中では、OS/2の新しいディストリビューションを販売するためのライセンスをArca Noaeが取得したことが明かされました。

「OS/2」が「Blue Lion」として復活へ、その新機能や歴史など--誕生から28年 - ZDNet Japan
http://japan.zdnet.com/article/35073322/

OS/2エコシステムのベテランたちが運営する組織Arca Noaeは、IBMからOS/2の新たなディストリビューションを販売するライセンスを取得した。このディストリビューションには、現在「Blue Lion」というコードネームが与えられている。


OS/2の新しいディストリビューション開発プロジェクトとして始動した「Blue Lion」ですが、これが「ArcaOS」として2016年の第4四半期にヨーロッパで開催されるWarpStockのあとに正式リリースされる、とIT系ニュースメディアのTechRepublicが報じています。

OS/2の復活を目指す「Blue Lion」は、2015年10月に開催されたWarpstockの中でその詳細が明らかになりました。そして、プロジェクトメンバーのひとりであるルイス・ローゼンタール氏が、最新のインタービューの中でOS/2の新しいディストリビューションの名前が「ArcaOS 5.0」になることを明かしています。この「5.0」という数字は、2001年にIBMからリリースされたOS/2の最新バージョンが「4.52」であったことから来ているものと思われます。

また、ArcaOSの将来的なリリース内容が書かれたロードマップによると、バージョン5.1ではサポート言語を追加するようで、フランス語・スペイン語・イタリア語・ドイツ語・オランダ語のサポートが優先される模様。

By Ian Hughes

さらに、ArcaOSは商用版と個人版の2つのバージョンが販売されることになるようです。商用版はミッションクリティカルな環境下での使用が想定されたもので、12か月のアップデートと優先サポートがついてきます。個人版はアップデートとサポート期間が6か月と短い代わりに、商用版よりも低価格で入手できるようになっています。なお、2つのバージョンはソフトウェア的に見れば完全に同一のものとのこと。また、ArcaOSはArca Noaeが既存のOS/2向けに販売しているソフトウェアとも互換性を持っている模様。

その他、ArcaOSは最新のACPIやUSB 1.1および2.0、Serial ATAディスクを使用するのに必要なAHCIサポート、ネットワークカード用のMultimacドライバスイート、ALSA互換サウンドドライバであるUniaud、ALSA互換のサウンドドライバーなどをサポートします。加えて、CUPSケルベロス認証もサポートしているようです。

さらに、最新のプロセッサー上で同OSを動作させるために、SMPカーネルも可能になっています。もちろん、従来のWarpカーネルにも対応しており、ユニカーネル設計にはなっていないとのことです。

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
開発に54年間もかかったソフトウェア「Xanadu」がついにリリース、その秘めたる野望とは? - GIGAZINE

Windowsのスタートメニューはどうやって誕生したのか? - GIGAZINE

Windows 10に至るまで「スタートメニュー」はどのように進化してきたのか? - GIGAZINE

MS-DOS 6.22からWindows 8 Proまで順にアップグレードしていくとどうなるのか? - GIGAZINE

Windows95をウェブブラウザだけで動かせる「Windows 95 in your browser」 - GIGAZINE

in ソフトウェア, Posted by logu_ii

You can read the machine translated English article here.