ホログラフィック対応でグニャグニャ曲げて操作するスマホ「HoloFlex」

自在に折り曲げられる電子ペーパーディスプレイをスマホカバーにした「FlexCase」のように、既存のスマートフォンをより便利なものにするための研究がさまざまな機関で行われています。カナダのクイーンズ大学にあるHuman Media Lab(HML)が開発した、ホログラフィック対応のフレキシブルスマートフォン「HoloFlex」も、スマートフォンの新しい可能性を示す、とても興味深い不思議な端末に仕上がっています。

HoloFlex: Holographic, Flexible Smartphone Projects Princess Leia into the Palm of Your Hand — Human Media Lab
http://www.hml.queensu.ca/blog/holoflex

ホログラフィック＆フレキシブルという未知の要素を掛け合わせたスマートフォン「HoloFlex」がどんな端末なのかは以下のムービーを見ればわかります。

HoloFlex: Holographic, flexible smartphone projects princess Leia into the palm of your hand - YouTube

HoloFlexは、ヘッドトラッキング技術や専用の3Dメガネをかけなくても3D表示を楽しむことができるスマートフォンです。3D表示は運動視差を応用して実現しているそうで、「メガネなしで3Dのビデオや写真見ることができる」と、HMLのRoel Vertegaal博士は語っています。

HoloFlexのディスプレイ解像度は1920×1080。フレキシブル有機LED(FOLED)ディスプレイを搭載しており、もちろんタッチ操作にも対応しています。

HoloFlexのホログラフィックは12ピクセル幅のブロックとしてレンダリングされます。なので、ディスプレイの解像度自体は低くないものの、画面上に表示されるホログラフィックは少し粗めの画像に見えているというわけ。

端末を傾けるとディスプレイ上の写真が立体的に見えることがよくわかります。なお、HoloFlexは同時に異なる視点からディスプレイを見ても映像および写真が3Dに見えるそう。開発者のひとりであるVertegaal博士は、「深度カメラを使用することで、ユーザーはホログラフィックを使ったビデオ通話などが行えるようになる」とコメントしています。

さらに、HoloFlexはHMLが過去に開発した「ReFlex」と同じ屈曲センサーを搭載しているため、端末をぐにゃりと曲げて操作することも可能。

スマートフォンではディスプレイを指でタッチして操作することで「平面的な操作」は直観的に行えますが、立体的な操作は感覚的に行いにくいものです。しかし、屈曲センサーを搭載したHoloFlexならば、これまで面倒だったZ軸方向の動作も端末を曲げることで直感的に行えるようになる、というわけ。

例えば丸で囲まれた部分にある三角形を動かすために……

HoloFlexをぐにっと曲げます。

そして三角形を配置したい場所まで指で動かしたら、端末を曲げることをやめて配置。

さらに、3Dのティーポットに持ち手を取り付ける作業をHoloFlexで行います。

指でティーポットの近くまで持ち手を移動させたら……

端末をぐにっと曲げ、持ち手を奥に移動させます。

これでティーポットに持ち手を取り付けることに成功。といった具合に、曲げ操作をZ軸方向の入力に使用することをHMLは想定している模様。これまでもディスプレイをタッチすることでX・Y軸の操作は直感的に行えましたが、Z軸方向の操作となると、物体を回転させたりせねばならず、直感的に行うことには難しさがありました。しかし、スマートフォンで曲げ操作が行えるようになれば、Z軸方向の操作も端末を曲げることでより直感的に行えるようになるというわけ。

さらに、アングリーバードのようなゲームをHoloFlexでプレイ。

アングリーバードでの「鳥をのせたスリングショットを引っ張る操作」を、端末を曲げることで行えるようになっており……

パッと端末の曲げを解くと……

鳥がピューッと飛んでいきます。

端末に使用されているプロセッサは1.5GHzのQualcomm Snapdragon 810で、搭載メモリは2GB、採用されたOSはAndroid 5.1、GPUはAdreno 430で、OpenGL 3.1.にも対応しています。

なお、HMLは2016年5月9日にカリフォルニアで行われるCHI 2016でHoloFlexに関する発表を行う予定です。