モントルー・ジャズ・フェスティバルの貴重な名演奏がデジタルアーカイブ化されてオンラインで視聴が可能に
2016年で50周年を迎えるモントルー・ジャズ・フェスティバルは「世界三大ジャズフェスティバル」にも数えられ、過去に名だたるミュージシャンが出演しています。そんなモントルーで繰り広げられた演奏は全て録画・録音されていたのですが、その貴重な記録がスイス連邦工科大学ローザンヌ校の協力でデジタルアーカイブが進められ、オンラインで公開が始まっています。
Montreux Jazz
http://www.montreuxjazz.com/
スイス・レマン湖のほとりで開催されるモントルー・ジャズ・フェスティバル(MJF)は、「ニューポート・ジャズ・フェスティバル」、「モンタレー・ジャズ・フェスティバル」に並ぶ世界三大ジャズフェスティバルの一つに数えられ、1967年の初開催以来50年にわたって名だたるミュージシャンが出演するフェスティバルとして世界的名声を得ています。ジャズはもとよりロック、ヘヴィメタルまでさまざまなジャンルを包括するモントルーの歴史は近代の音楽の歴史をそのまま反映していると言え、過去の名演に触れられるようになる実に意義深いプロジェクトといえます。
Montreux Jazz Festival
そしてその元となる映像・録音資料を保管していたのが、同フェスティバルの生みの親であるクロード・ノブス氏です。ノブス氏は同フェスティバルを衰退傾向にあったモントルーの町おこしとして企画した人物で、いまや世界に名だたるフェスティバルにまで育て上げた人物。ノブス氏は2013年にこの世を去っていますが、ノブス氏が残した「財産」の数々を、スイス連邦工科大学ローザンヌ校によってデジタル化するというプロジェクトが進められてきました。
By Erling Mandelmann
サイトを訪れると、以下のようにページ上部にはイントロダクションムービーが表示されます。
そのムービーがコレ。記事作成時点ではアクセスが集中しているのか表示が重い状態だったので、再生時には注意が必要かも。
ムービーを再生すると、これまでの歴史を振り返るダイジェスト映像が再生されて……
MJFのロゴが表示されました。よく見ると、このロゴは過去のポスターのデザインを組み合わせたコラージュになっており……
ロゴにマウスを乗せると、開催年とその年のポスターが表示されました。
そしてさらにクリックすると、その年の出演者のダイジェスト映像が再生されます。
アーティスト名で検索することも可能。サイト上で画面左上にマウスを動かすと、このようにメニュー画面が表示され、「Search(検索)」「Playlists(プレイリスト)」「Concert Database(コンサートデータベース)」などの項目が表示されます。アーティスト名で絞り込むために「Search」をクリックして……
次の画面でアーティスト名を入力して検索すると、アーティスト情報や演奏ムービー、画像ギャラリー、音声ファイルなどの項目が表示されます。
ムービーをクリックすると、演奏を視聴することができました。ただし、トラフィックが集中しているのかデータの転送が遅いことが多いので、4K Video Downloaderなどでローカルにダウンロードして、後からじっくりと楽しむ方が良さげ。
各アーティストごとに、閲覧できるムービーや写真の数は異なります。名前の横にアイコンと数字が表示されるので、お気に入りのアーティストのアーカイブデータを見逃す心配もなさそう。
「Playlists」では、女性ヴォーカルやギタリスト、伝説的バンドなどのテーマごとのプレイリストを楽しむことも可能。
再生中の画面はこんな感じ。ただ、やはり再生が重たいので、YouTubeのような感覚で演奏を楽しむのは少し無理があるかも。
「Concert Database」は、各アーティストが出演した際の演奏曲順をズラッと並べて見ることが可能。ゲスト参加しているような場合でも検索できるので、ファンにとっては貴重なデータベースとなっていました。
このアーカイブプロジェクトは先述の通りスイス連邦工科大学ローザンヌ校(EPFL)が進めてきたもの。ノブス氏が保管していた4000組のアーティスト・5000時間に及ぶ映像・音声と8万枚もの写真の記録を後世に伝えられる形でアーカイブするという、5年間にわたる壮大なプロジェクトとなっています。
The treasured Montreux Jazz Festival archive is now online
http://actu.epfl.ch/news/the-treasured-montreux-jazz-festival-archive-is-no/
記録が収められたメディアは、18種類のフォーマットでテープ1万本にものぼるというとてつもないもの。EPFLはこれら全てのメディアのクリーニングを行い、再生してデジタル化し、メターデータ化とタグの追加を行ったうえで、データベースとして保存する作業を行ってきたとのこと。デジタルデータは全て非圧縮の状態を保ち、LTO規格の磁気テープ2100本に記録しているほか、4.7PB(ペタバイト)の容量を持つアーカイブサーバーを3台使ってインターネット上で配信する体制を整えているそうです。もちろんデータの冗長化も行われている模様。
以下のムービーでは、生前のノブス氏も登場してアーカイブの意義やデジタル化の様子などを見ることができます。ムービー中にはエラ・フィッツジェラルドやレイ・チャールズ、マイルス・デイヴィスなどの演奏シーンが少しだけ出てくるのでこちらも必見です。
Audemars Piguet - Press Conference MONTREUX SOUNDS DIGITAL Project - YouTube
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