世界最大級の恐竜の全身骨格模型が初お披露目、元の化石は大腿骨ひとつで約500kgのビッグサイズ
2016年1月15日、ニューヨーク・マンハッタンにあるアメリカ自然史博物館で、近年発見された恐竜の化石の中でも最も巨大なものを基に作成された、全長約37メートルもある世界最大級の恐竜の全身骨格が公開されました。これはティタノサウルス類の恐竜であることは判明しているものの、これまでに発見されたことのない新種の恐竜の化石であることが明らかになっており、発見されたばかりのものであるため正式名称はまだついていないそうです。
Unveiling the Titanosaur, which may be the world’s largest dinosaur | Ars Technica
http://arstechnica.com/science/2016/01/unveiling-the-titanosaur-which-may-be-the-worlds-largest-dinosaur/
ティタノサウルスの全身骨格は、アルゼンチン人古生物学者のディエゴ・ポル氏(上)が発掘したティタノサウルスの大腿骨(下)を基に復元されたもの。以下の写真はポル氏と大腿骨のツーショット写真で、大腿骨の大きさは約2.4メートル、重量は約500kgとのこと。
この大腿骨が発見されて以降、アルゼンチンにあるMEFという博物館とポル氏は協力して発掘作業を進めた模様。その結果、なんと新種の巨大恐竜の化石を200個以上も発掘することに成功しています。なお、この骨の数は元の骨格の約70%に相当するそうです。
そして、発見された化石の中でも状態の良いものが4つ(それぞれ1メートル以上の大きさ)、全身骨格模型と一緒にアメリカ自然史博物館で展示されています。全身骨格模型の全長はなんと37メートルで、軽量のファイバーグラス・キャストで作られているため、実物の化石を支えるのに十分な強度を持っていいます。
展示されている実物の化石はこれ。
全身骨格の除幕式では大勢のメディアが集い、その巨大さに圧倒された模様。なお、恐竜の全身骨格はとなりの部屋からのぞき込むように首を伸ばしているのですが、これは演出ではなくあまりに巨大過ぎてアメリカ自然史博物館のホールに収まりきらなかったため。
「こんにちはこんにちは」といった具合に首だけひょっこりとなりの部屋にはみ出てしまっています。
また、これだけ巨大な恐竜であるにも関わらず、発見された骨の持ち主である恐竜は成体ではないことも明らかになっています。これは、この種の動物は成体になると特定の骨が融合するそうなのですが、発見された骨は結合していなかったことが確認されているためです。なお、恐竜の元の体重は63トンと推定されています。
除幕式に参加した研究者の1人は、いくつかの骨からどの年代に生息していた恐竜なのか、年齢はどれくらいなのかなどを推定することができるだろうとコメント。同じく除幕式に参加したポル氏は「ティタノサウルス類のような竜脚下目の卵はだいたいバレーボールくらいのサイズ」と語っています
アメリカ自然史博物館の学芸員であるマイク・ノバチェク氏は「発見された種はそのサイズからも分かるように特殊で、長い首にある脊椎骨や太いしっぽなどを持っています。さらに歯が特徴的で、鋭くないのですが草食動物の歯のように尖っています」とコメント。また、ノバチェク氏はこの恐竜の歯を熊手に例えているのですが、その熊手っぽい歯は以下の写真で確認できます。
しっぽは細く見えますが、太いとのこと。
首の長い竜脚下目の恐竜は、首を垂直に伸ばしているイメージ画像などをよく見ることができます。しかし、ノバチェク氏はこれらの恐竜は通常は首を水平方向に伸ばしていたはず、とコメント。また、草を食べる際には首で大きな弧を描きながら少しずつ前進するという動きを繰り返していた、と推測しています。これは、恐竜たちが生息していた時代に大地に生えていた草花が、現在のものよりも栄養価が低く、より効率的に栄養を摂取する手段を身につける必要性があったからかもしれません。
63トンという体重を支えていたというだけあって、足の骨はものすごい太さ。
その他さまざまな角度から撮影された全身骨格はとにかく一見の価値あり。
あまりにも全長が長すぎるので、どこから撮影しても端っこがつぶれてしまったりフレームアウトしてしまったりする模様。
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