Windows 10のユーザー追跡データ公開で再燃するプライバシー問題
Microsoftは2016年1月4日に同社のOS「Windows 10」が2億台以上のデバイスで稼働していることを発表し、ユーザーの満足度が過去のWindowsバージョンと比較して非常に高くなっていることを明らかにしました。Windows 10の稼働デバイス数以外に、ユーザーの追跡データも合わせて公開されたのですが、ユーザーやセキュリティ識者からプライバシーの問題を懸念する声が挙がっています。
Microsoft reveals details of Windows 10 usage tracking - BBC News
http://www.bbc.com/news/technology-35251484
Microsoftが新年早々に公開したWindows 10のデータには、「音声認識アシスタントのCortanaに寄せられた質問数は25億件」「ブラウザのMicrosoft Edgeで費やされた時間は44億5000万分以上」「Bingサーチの検索件数は以前のバージョンのWindowsと比べて30%増加」「画像ビューアのフォトで見られた画像は820億枚以上」「PCゲームのプレイ時間は40億時間以上」など、稼働デバイス数以外の追跡データが含まれていました。
イギリス国営放送のBBCによると、Microsoftが公開したデータの内容を見たユーザーの中には「公開された追跡データはプライバシーの侵害にあたらないのか?」という疑念を抱いた人が少なくなかったとのこと。Microsoftは、2015年9月に公開したブログで「Windows 10がデータを収集するのは製品向上のためです」と述べている通り、Windows 10を通してユーザーの使用データを収集していることを正式に認めています。しかし、収集されているデータの内容に関して、ユーザーが把握できていることは多くありません。つまり、どんなデータが収集されているのか、ユーザーへの周知が徹底されていないということです。
BBCがMicrosoftのスポークスマンにWindows 10のプライバシーに関して聞いたところ、「Microsoftはお客様のプライバシーを守るために最大限の努力をしています。2016年1月4日に公開された情報は標準的なものであり、Windows 10がお客様に最高の体験をもたらすことを可能にしています。9月に公開したブログの通り、弊社はプライバシー保護に関して業界をリードしていくことに努めています」とコメントしたとのこと。
イギリスのサリー大学コンピューターサイエンス学部のアラン・ウッドワード教授は、Microsoftのデータ追跡に関して「Windows 10の向上のためにデータが収集されているようですが、問題なのは収集されたデータがどれくらいの期間保管されるのか、Microsoftが収集したデータをWindows 10のUX向上以外の何に使っているか、ということです。また、インストール後の初期設定のままだと多くのデータが収集されていることも気がかりです。Windows 10の使用時に何が起こっているか理解できていないユーザーもいるでしょう」と懸念を示しました。
By Bob Mical
Windows 10のリリース時には、インストールの際にデフォルトのまま設定を行うと多くの個人情報をMicrosoftと共有することや、例えプライバシー設定をオフにしたとしてもMicrosoftのサーバと通信しデータを送信していることが判明し、プライバシー問題が懸念されていました。その後Microsoftはデータ収集の正当性と安全性をブログで訴えましたが、今回の発表によりWindows 10のプライバシー問題が再燃する状況になっています。
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