取材

1年ぶりに日本へ帰国したチャリダーマンが出会ったやるせない出来事


漏れるかもしれない。短いフライトだというのに、お腹を壊してしまい着陸を待っていました。シートベルトをした後ではトイレも利用できません。窓の外に輝く沖縄の碧い海を楽しむ余裕もなく、放心状態でした。

こんにちは、台湾から1年1ヶ月ぶりに帰国した自転車世界一周の周藤卓也@チャリダーマンです。世界きっての友好国である台湾のことも、いろいろ書きたいのですが、その前にお伝えしたいできごとがありました。

◆日本へのフライト


12月13日に約1ヶ月の台湾滞在は終了。もっとやりたいことがあったので、後ろ髪を引かれる思いでした。それでも、沖縄へのフライトがあるので空港へと移動します。朝早いフライトでしたが、折りたたみ自転車を含めた荷物の重量は超過せず、無事にチェックインを済ませました。搭乗まで時間は十分。台湾のお金も残っているので、空港のコンビニでカップ麺を買って食べました。これが、間違いだったのです。

「窓際の席にしておきました」とチェックイン時に言われるも、この時ばかりは困りました。隣には2人座っています。そもそも2時間30分と短いフライト。それなのに1時間位してから、お腹がキュルキュル鳴り出すとは。かといって、緊急を要する事態でもなく、しばらく葛藤することに。「お前なら、このまま誤魔化すことも可能だろう」という悪魔の声が聞こえる一方「自分に嘘をついていいの」と天使の囁きもありました。結局は、本当にしんどくなる前にすっきりしようと、隣の2人に断りを入れてトイレへ。


ちょっと、お腹を壊したみたいでした。トイレから出て、客室乗務員の方に「お腹の調子が悪いので、すぐにトイレに行けるよう空いてる席に移りたい」と聞いてみたのですが、コミュニケーションが上手くいかず、シートベルト着用のサインとなって、何とかなるだろうと元の席に戻って到着を待ちました。すっきりしたのも束の間、手に汗握る緊張感が再び襲いかかります。陸地が見えて、滑走路に着陸して、ターミナルに移動して、ボーディング・ブリッジが繋がって。建物内に入ると、一目散にトイレを目指しました。

◆トイレに差別ステッカー
間に合った。……と一息ついて視線を扉の張り紙に向けます。「使用済みのトイレットペーパーはゴミ箱ではなく便器の中へ」とあって、そうそう台湾もそのまま流しちゃ駄目でした。「お忘れ物にご注意下さい」と、この気配りがおもてなしですよ。便座(ウォッシュレット)の上で日本に帰ってきたことを実感します。

……ただ、一つだけ腑に落ちないマークがありました。「蝗虫回家」と、蝗のイラストに赤い丸と斜線の引かれた禁止マークの斜線。嫌な予感がしつつも「虫なんていませんよ」というような意味かもと、他の個室トイレの扉をのぞいてみたのですが、私が利用した所にしかありませんでした。これはただの差別ステッカーでした。


「蝗虫」は、昆虫のバッタのように大量に押し寄せる中国人を指したもの。「回」は帰るの意味となるので、「中国人は家に帰れ」ということでしょうか。嫌な気持ちになりました。


誰がやったかは分かりません。でも、「私がやりました」と言えない行為は止めるべきです。

ちなみに、大挙してやって来る中国人をバッタと呼ぶのに、ピンと来なかったのですが、香港では使われている表現のようです。

香港人はなぜ中国人を”バッタ”と呼ぶのか? | グレーターチャイナ縦横無尽 | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準
http://toyokeizai.net/articles/-/13263

香港市民、中国本土の「イナゴ」買い物客に怒り心頭 | JBpress(日本ビジネスプレス)
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/42948

蝗虫論 - Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%9D%97%E8%99%AB%E8%AB%96

香港でも、公共物にイナゴステッカーが貼られていました。

香港标识:“蝗虫滚回中国去” – 铁血网
http://bbs.tiexue.net/post2_7977011_1.html


◆報告はしたものの
ターンテーブルで荷物を受け取って到着ゲートへ。ただ、今回も税関に睨まれまして「どこへ行ってきたんですか」「どのくらい旅していたんですか」と質問で様子を探ってきます。吹き出すのを堪えつつも回答し、前回のようにノーチェックを期待するも「ちょっと、すいませんが鞄の中身を見せてくださいね」と言われて陥落。思わず笑ってしまいました。「いつも疑われるんですよ」と言いながら承諾。薬物検査でもするのか、綿をポンポンされたけど、あっという間のできごとでした。当然の仕事をしている人たちに反発する理由もありません。


到着ロビーのトイレも覗いてみたのですが、同じようなステッカーは見当たらず。目立つ場所にあったインフォメーションセンターで事情を説明すると、空港管理会社に伝えてくれるという話でした。きっと既にステッカーは剥がされているでしょう。小さなことですが、きちんと捜査はされるのでしょうか?

◆中国人への反感
中国や韓国に対する反感は日増しに強くなっているようで、地元の友人たちとの会話でも話題となったときには、日本社会の変化を肌で感じました。私にだって、中国人のやり方に不満はあります。


中国資本となったラオックスで、私が買物をすることは今後一切無いでしょう。ちょうど一年前ですが、秋葉原にある店舗の路上に観光バスを停めるというやり方で、中国人観光客を集めることに成功していました。彼らが買物を終えると、迎えのバスが来るまで、道路上でたむろし往来の妨げに。確認のために万世橋警察署で聞いてみると「不法行為という認識で、通報があれば駆けつける、努力はしている」という回答しか出ず、やるせない気持ちのままその場を離れました。今も変わらないのでしょうか?何も知らない中国人観光客が不憫でありません。店前で見た「ちょっと、ビックカメラ行ってきた」という無邪気な笑顔だけが救いでした。


今でこそ「爆買い」と中国観光客の方々は日本旅行を満喫されていますが、あなたの国を旅行する外国人は政府が許可した宿にしか泊まれませんよ。それが不満で、私は至る所で衝突を繰り返しました。ウイグル暴動があったとはいえ、1ヶ月以上もインターネットを封鎖するってあんまりでしょう。緊急事態とはいえ、世界でも例のない情報統制が行れました。

確かに日本は中国を侵略しました。歴史問題となれば言葉に詰まってしまうけれど、現在進行形でウイグルやチベットを侵略しているのはあなた方です。本人を目の前にして「小日本」と書くなんて。中国の文革世代のおっちゃんにイラッとしたことも。

◆もしも不満があるなら
だからといって、あのようなステッカーを作って何になるでしょう。納得いかないなら、言論に昇華すればいいだけ。ステッカーを貼ったあなたに不満があったなら、多くの人の支持を得るための行動もあったはず。


そもそも、あのステッカーだと台湾や香港の人たちも不快させます。誰を指しているかは分かるでしょうが、嫌な気持ちとなるのは間違いないでしょう。それは、中国人観光客とて同様です。日本が好きでやって来た人たちですよ。塵ひとつない清潔なトイレに、ウォッシュレットというハイテク便座、盗難がないからできる無造作に積まれたトイレットペーパーと、日本という国を感動させ、更に好きになってもらうべきでしょう。

沖縄県が発表している平成26年度の入域観光客統計の数字はこんな感じ。

【年度】平成26年度入域観光客統計概況(平成27年4月21日発表)/沖縄県
http://www.pref.okinawa.jp/site/bunka-sports/kankoseisaku/kikaku/statistics/tourists/h26-f-tourists.html


今後も中国や韓国と衝突は絶えないでしょうが、卑怯な手は使わず正々堂々とやりましょう。「出て行け」も「仲良くしよう」も、どちらも否定できない表現の自由。いろいろな主張をぶつけ合うことで、社会がより良い方向へ進むことを期待します。今回の記事にあるように公共の建物に差別ステッカーを貼り付ける行為は、誰の支持も得られないので、決して真似してはいけません。

到着後にトイレという偶然が起こした必然。何か意味があるのかと思い、今回は記事にさせて頂きました。

(文・写真:周藤卓也@チャリダーマン
自転車世界一周取材中 http://shuutak.com
Twitter @shuutak
)

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in 取材, Posted by logc_nt

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