Googleが個人を中傷するサイトへのリンクを表示したとして1000万円の賠償金を支払う判決が下される

By Anthony Ryan

Googleが表示する検索結果ページに、自分を誹謗中傷するサイトへのリンクが表示されていたとしてオーストラリア人女性が起こしていた訴訟で、オーストラリア南部の都市・アデレードにある南オーストラリア最高裁判所はGoogleに対して11万5000オーストラリアドル(約1000万円)の賠償金を支払うことを命じる判決を下しました。

SA court orders Google pay Dr Janice Duffy $115,000 damages for defamatory search engine results | AdelaideNow
http://www.adelaidenow.com.au/news/south-australia/sa-court-orders-google-pay-dr-janice-duffy-115000-damages-for-defamatory-search-engine-results/news-story/6713798257490c7c36c15e393880ea44

Adelaide woman Dr Janice Duffy sues internet giant Google for defamation - ABC News (Australian Broadcasting Corporation)
http://www.abc.net.au/news/2015-10-27/adelaide-woman-sues-internet-giant-google-for-defamation/6890292

この訴訟は、南オーストラリア保健局の研究員であるジャニス・ダフィー博士が起こしていたもの。ダフィー氏は2011年にGoogleを相手に民事訴訟を起こしていました。

事の発端は、ダフィー氏が自身を誹謗中傷する内容を書き込んだRipoff Reportへのリンクとコンテンツの抜粋文がGoogleの検索結果画面に表示されることを知ったことでした。ダフィー氏は2009年9月にGoogleに対してリンクの非表示を申し入れましたが、Googleはこれを拒絶したとのこと。この対処を受け、ダフィー氏は2011年にGoogleを相手取って民事訴訟を起こしていました。

Adelaide woman Dr Janice Duffy sues internet giant Google for defamation - ABC News (Australian Broadcasting Corporation)

Ripoff Reportは、犯罪行為や不誠実な行動を取る人物に関する投稿を誰でも行えるサイトですが、投稿内容の信頼性は一切保証されていません。また、「Non-removal policy(非削除ポリシー)」と呼ばれるコンセプトを掲げていることを特色としているとのこと。

ダフィー氏はまた、Googleの検索画面に検索ワードの候補が表示される「オートコンプリート」機能にも彼女の名前が表示されることについても「名誉を傷つけた」としています。なお、Googleは当初リンクの非表示化を拒絶する対応を取っていましたが、この訴訟が起こされた後に同サイトへのリンクと抜粋文の表示を行わないように変更していたとのこと。

Googleはこの訴えに対し、同社の行動が不誠実であることを否定し、表示内容に悪意はないことや、その正当性を主張していましたが、2015年10月に開かれた法廷で訴えは退けられ、同社がダフィー氏の名誉を損なっていたとする判断が下されていました。

この判断の後、今回の賠償金の支払い命令が下されています。Googleに対して課せられた賠償金は、損害に対する賠償として10万オーストラリアドルに利子としての1万5000オーストラリアドルを加えた11万5000ドル(約1000万円)となっており、Googleは2016年1月11日までに支払うよう命じられています。

ダフィー氏はこの結果に喜びの声を挙げており、「この判決により、私の名誉が傷つけられていたことが認められました。長い戦いでしたが、まだこれで終わりではありません。これから控訴審が行われることになるでしょうが、私はそれに立ち向かいます」とコメントを発表しています。