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BMW・アウディ・ダイムラーの自動車連合がNokiaの地図事業「HERE」買収を完了させ自動運転開発へ本腰


Nokiaが抱える地図事業「HERE」は、Facebook、Apple、Uber、Amazonなどのハイテク企業などが買収に関心を示していましたが、2015年8月に、BMW、アウディ、ダイムラーが共同で設立したコンソーシアムが28億ユーロ(約3700億円)の巨額で買収することが決定しました。そして、2015年12月7日に買収手続きが完了したと発表されたことで、いよいよヨーロッパの自動車メーカーが自動運転車の開発に向けて動きを活発化させそうな情勢です。

Starting today, it’s a new world for HERE... - HERE 360
http://360.here.com/2015/12/07/new-world-here/

Tesla Building Next Gen Maps through its Autopilot Drivers - TESLARATI.com
http://www.teslarati.com/tesla-building-maps-autopilot-drivers/

当初は2016年第1四半期の買収完了が予定されていたHEREですが、予定を前倒しする形でBMW・アウディ・ダイムラーコンソーシアムは買収手続きを完了させました。買収手続きが完了したことについてHEREは公式ブログで明らかにし、新しい株主を得てさらに世界的な地図事業を加速させると表明しています。

HEREのシーン・フェルンバックCEOは「現実世界を抽象化する試みである地図事業は、技術進化のおかげで刻々と変化するリアルタイムの表現に進化している」と述べ、さまざまなソースからの情報を組み合わせる必要性を説き、BMW・アウディ・ダイムラーコンソーシアムの後ろ盾を得た今後も、地図サービス自体はオープンビジネスとして実行していくことを明らかにしています。


とはいえBMW、アウディ、ダイムラーが巨額の資金を投じてHEREを買収した背景には、3社が開発する自動運転車の技術を高めるという大目標があるのは明確です。自動運転車が安全かつ快適な移動手段になるには、正確な地図情報が必要であるとされており、HEREのサービスは自動運転車開発に最大限、活用される見込みです。また、HEREはBMW、アウディ、ダイムラーの3社が行う膨大な実証実験のデータ提供を受けることで、さらにサービスの品質が高められると見られています。

自動運転車にとって地図データが重要な鍵となることから、自前で地図サービスを抱えるGoogle、Apple、Baiduなどが、自動運転車開発の適正を持つと言えそうです。これに対抗する形で、既存の自動車メーカーであるBMW・アウディ・ダイムラーコンソーシアムはHEREの買収により、既存の自動車開発ノウハウに加えて地図情報をもゲットしたことで、自動運転車の開発競争でも優位に立つ可能性があります。


なお、BMWは中国の検索大手Baiduと提携して、自動運転車の開発を表明していることからも明らかなとおり、地図サービスを自動運転車の開発に活用する試みは、多面的に行われているようです。

中国のバイドゥがBMWと組んでGoogleの自動運転車を追撃の構え - GIGAZINE


一方で、電気自動車の開発競争だけでなく自動運転モードを導入して自動運転車の開発競争でも先行しているテスラモーターズは、地図サービスを持っていません。このため、すでに市販されてユーザーが使っているテスラ車を活用して運転データを収集し、クラウドベースの地図データを集めるという作戦に出ています。ソフトウェアバージョン7.0にアップデートされオートパイロットモードに対応するModel SとModel Xが搭載するレーダー、カメラ、ソナーから得た情報をクラウド技術を応用することで、既存の地図情報をアップデートして自動運転時に活用する計画です。

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in ソフトウェア,   乗り物, Posted by darkhorse_log

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