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iPad Proの専用キーボード「Smart Keyboard」をバラバラに分解、思わぬ部分に驚異の技術を発見


巨大な12.9インチディスプレイがあまりにも個性的すぎる「iPad Pro」ですが、専用アクセサリーのApple PencilSmart Keyboardを使えばただのタブレットとしてだけでなくノートPCやペンタブレットに取って代わるポテンシャルを発揮可能になります。そんなiPad Proの専用アクセサリーのうち「Smart Keyboard」をiFixitがバラバラに分解しています。

Smart Keyboard Teardown - iFixit
https://www.ifixit.com/Teardown/Smart+Keyboard+Teardown/53052

これが「Smart Keyboard」。フルサイズのQWERTYキーボードで、キーの数は64個。


iPad ProとSmart Keyboardは「Smart Connector」と呼ばれるコネクタで接続され、電力とデータを双方向に送りあえるようになっています。なので、Bluetoothなどの無線通信でキーボードとiPad Proを接続する必要はありません。また、素材は表面がポリウレタン、裏面がマイクロファイバーを採用しているので、水と汚れに強い仕上げになっています。


設計はカリフォルニア、組み立ては中国。


Smart Keyboardを全て広げるとこんな感じ。iFixitは「最も混乱させられるキーボードとケースの組み合わせ」と、どこをどう組み上げて使うのか分かりづらいと指摘しています。


iPad ProにSmart Keyboardを装着するとこう。キーボード部分が4mmほどの出っ張りになります。


左がiPad ProにSmart Keyboardを装着したもので、右がSurface Pro 4。


2つを横から見るとこう。Smart KeyboardはiPad Proを固定する角度を調節できないのが痛いところ。


「一見、違いはほんの少しに感じる」ものの、最も大きな違いは「トラックパッドを含めたキーレイアウト」とiFixit。Smart Keyboardのグッドな点はキーボードを切替える「地球ボタン」や「キーのエッジが丸みを帯びている」ところだそうです。また、通常のノートPCと同じようにキーの中には「command」「control」「option」などのキーがあるのもポイントとのこと。


また、Smart Keyboardを耐水性に優れた構造にするため、Appleはキーを全てポリウレタンとマイクロファイバーで覆っています。


そういうわけで、カッターナイフを使って裏面のマイクロファイバー生地をカット。


表面のポリウレタン素材もペリペリ。


そして個々のキーをキーボードから取り外していきます。


こんな風に。


さらに分解するには、iOpenerを使ってキーボード裏面のマイクロファイバー生地を温める必要ありと考えたのですが……


マイクロファイバー生地の下にはなにもありませんでした。


というわけで、ここからさらにキーボードの内部にアクセスするにはプラスチック製のピックを使って……


パカリ。


するとパラパラとキーひとつひとつが落ちてきます。iFixitはこの中にどんな基板やパーツが配置されているのか楽しみにしていたそうですが、実際には中にはLEDはおろかバッテリーもファンもなにもありません。


不要になったフレームをポイッ。


ピックを使ってベース部分をさらに分解。ここはかなりしっかりと接着されているようです。


ベリベリベリ


入力関係を制御しているのは赤枠部分にあるSTマイクロエレクトロニクス製の「STM32F103VB」というARM Cortex-M3プロセッサー採用のチップ。72MHzのマイクロコントローラーです。


最後に、カバー部分の生地もはがします。


カバー部分の表面生地をはがすと中にはコンクリート色をした生地が3本貼り付けられていました。この謎の生地に興味を持ったiFixitが調査したところ、これは「導電性の生地」であることが判明。iFixitは「この生地は電線や従来のケーブルよりも丈夫で折りに対する耐性を持っている」とコメントし、この素材と設計思想に興奮しています。なお、Appleはこの導電性の生地を「導電性ファブリック」と公式ページ上で説明しており、「従来のケーブルとは異なり、導電性ファブリックは折りたたみ動作に生涯耐えられる耐久性を持っている」と述べています。


iFixitが見積もった修理難度は10段階中の「0」。0に近ければ近いほど難度が高いことを意味するのですが、ケースをカッターでカットしなければ内部にアクセスできないことを考えれば、難度が最大レベルを振り切った「0」になってしまうのは当然の結果と言えそう。つまり、Smart Keyboardが故障してしまった場合は修理不可能なので、新しいものを購入する必要がありそうです。

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in モバイル,   ハードウェア, Posted by logu_ii

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