取材

本物のわなを作成できてジビエ料理も食べられる「わなフェスティバル」取材レポ


「ハンターを目指して狩猟免許を取得したものの、その後どうしていいかわからない!」という人などに正しいわな猟の知識・スキルを伝授する「わなフェスティバル」が2015年10月27日(火)に大阪猟友会の主催で行われました。実際にわな猟に使えるわな作り体験、獣の解体体験、シカ・イノシシのジビエ料理、クレー射撃の模範射撃など、さまざまな狩猟体験ができるとのことだったので、一体どんなイベントなのか、現地に行って取材してきました。

公益社団法人 大阪府猟友会 - お知らせ
http://www.ryoyu-kai.or.jp/news/20151027wanafes.html

会場となる高槻国際射撃場に到着。


以下の場所にあり、公共交通機関のルートもありますが、バスの本数は多くないので車で行くのがベター。


高槻国際射撃場がまるまる会場として使われています。左手に見える壁の向こう側が射撃場で、よく見ると右手の切り立った斜面には使用済みのクレー(素焼きの皿)が積もっているのがわかります。


会場には巨大な箱わなも置かれており、周りにいる猟友会の人に聞くとフタが閉まる様子を見せてもらえることも。


◆わな猟のイロハ
というわけで、9時30分になると開会式が始まりました。これまで、猟師社会では各人が持つ狩猟スキルなどを見せない(教えない)風潮があったのですが、猟師数の減少・高齢化に伴い、シカ・イノシシなどの農作物を荒らす野生動物の数が激増していることから、大阪猟友会は「プロの猟師が持つ熟練のスキルは余すところなく次の世代へ公開していこう」という考え方になりつつあるとのこと。


わな猟について、実際に使われるわなを用いて説明が行われました。


使用するわなを全て自作しているという講師の男性も登場。


「くくりわな」では穴を掘ってベニヤ板を張り、動物が歩くと割れる落とし穴を作る必要があります。その際に使うベニヤ板の厚みを変えることで耐荷重を調整できるため、以下のように実際に何kgの重みでベニヤ板が割れるかテストすれば耐荷重がわかるそうです。


以下の写真に写っているのは、実際にイノシシがかかったものの、引きちぎられたというワイヤー。命の危機を感じた動物は思いがけない力を発揮するため、わなで捕らえた動物に近づく時には用心が必要とのこと。


もしイノシシに突進されると非常に危険なため、猟に出る時は以下のような盾を持ち歩くそうです。


足をワイヤーで捕らえるわなの場合、イノシシはワイヤーの伸びる範囲を移動できるため、先にワイヤーの輪をつけた棒を鼻に引っかけて移動できなくして……


「とめさし」と呼ばれるトドメを刺す槍を急所に突き立てるとのこと。


わな猟のハンターはワイヤーを切断するペンチや、穴を掘る道具など、実に大量の道具を持ち歩いており、実際に使う道具を見せて説明していました。


続いて、プロジェクターにいくつかの写真を写しながら説明が始まりました。


以下は実際にくくりわなにかかったシカ。


こっちはイノシシで、どう猛な目つきをしています。


◆シカの解体体験
会場の一部では、解体のプロによって一日中イノシシやシカの解体が行われていました。大阪猟友会の中でも「一滴の血も皿に残らないさばき方」を可能にする達人唯一の解体術は、現役のプロの猟師も見学に来るほど。


解体した肉は焼肉にして参加者に振る舞われるとのことで、バーベキュー台も用意されています。


また、参加者向けにシカが数頭用意されていました。希望者は指示を受けながらナイフで実際に皮を剥いだり、肉を切る体験ができ、わな猟で捕らえた動物を処理する方法まで学ぶことができるようになっています。


◆本当に使えるわな作り体験
なお、「わなフェスティバル」の参加費用は3000円で、受付で費用を支払うと以下のようなわな作りセットがもらえます。


作り方を記載した説明書もついていますが……


よくわからなくても、周りにいるプロの猟師たちが作り方を指導してくれるので安心。


というわけで、ワイヤーにストッパーやスリーブをつけたり、ペンチで固定したりすると15分ほどで「バネ式くくりわな」が完成。ただし、バネが伸びている2つの筒を1つにまとめなければ使用できない状態ですが、筒の2倍近くの長さのバネを収納するため、手動では不可能です。


そこで以下のような道具を使って、グイグイ引っぱると……


こんな感じで、設置すれば使えるわなになるというわけです。


机を地面に見立てると、バネを収納した筒を地中に埋め、ワイヤーの輪を落とし穴の上に置くという設置方法になります。動物がうっかり輪に足を踏み入れると、内部のバネが作動してスゴイ勢いで足を捕らえるという仕組み。


◆ジビエ料理の試食
12時頃からは解体されたシカ・イノシシや、北海道の猟師から取り寄せたというエゾシカの肉を使ったジビエ料理の配布が始まります。エゾシカ肉のバーベキューをフランスパンに挟んだサンドイッチや……


豚汁ならぬ「シシ汁」が振る舞われました。


まずは「エゾシカサンドイッチ」から。


食べてみると、甘い焼肉のタレで味付けされたエゾシカの焼肉は、ほどよく柔らか。フランスパンの方がかたいくらいで、臭みなどは全くなく、豚でも牛でもないあっさりした肉質です。


こっちはシシ汁。


ブツ切りのイノシシ肉はどこをかんでもとろける柔らかさで、やはり臭みなどは全くナシ。ねっとりと口の中で脂がとろけ、味噌との相性も抜群でした。


◆クレー射撃はこんな感じ
13時からはクレー射撃のプロたちによる模範射撃がスタート。


射撃手の合図で前方の緑色のラインからクレーが飛ぶのですが、1枚に2発を命中するスゴ腕の人まで射撃スキルを披露していました。


なお、クレー射撃の様子は以下のムービーから見ることができます。

わなフェスティバルの「模範射撃」の様子はこんな感じ - YouTube


◆何度でも使えるくくりわな「わな造君」
数人の猟師が集まっていた場所に行ってみると、高知県のわなである「わな造君」のブースが出展されていました。


高知県モデル発注制度に認定されたわなとのこと。踏み板に荷重がかかるとワイヤーが上に跳ね上がる仕組みのため、従来の地中深くに埋め込むわなとは異なり、平地に置くだけでもわなとしての効果を発揮するそうです。


これがわな造君の実物で、アルミの板を踏むと真ん中が半分に折れ、周囲についたワイヤーが板を踏み抜いた脚をくくりつけるわけです。


実際に「わな造君」に棒を挿し込んで作動させたところは以下のムービーから見ることができます。

「わな造君」 - YouTube


◆山でわなを仕掛けるにはこうする
最後のイベントは、会場から通じている山に入って実際にわなの設置を見学。


木の根や石などを避けて歩く動物の習性を利用して、わなは木の根の手前か奥に仕掛けるのがベストとのこと。設置場所が決まったらペグを地面に打ち込んで……


バネをつけたひもをつなげます。木の上には滑車となる金具がついたひもが取り付けられています。


木から通したバネとひもは、後ろの木まで伸ばして固定。


ここでくくりわなを木の根元から巻き、踏み板とともに設置します。動物が踏み板を踏むと「ハの字」になった部分を留めている輪っかが落下し、木の上に貼ったバネが伸びてくくりわなが作動するという仕組み。なお、白いひもにくくりわなを直接つけると違法猟具の「つり上げ式くくりわな」になってしまうため、木の根から作動するようにしているとのことです。


わなの上には大きな葉をかぶせて……


さらに周囲の土や葉っぱをかけてカモフラージュ。一見するとどこにわながあるのかわかりません。


白いひもは落ちている小枝などに沿わせて見えづらくすればOKとのこと。


ちなみに、わな作り体験で作ったくくりわなも似た仕組みで設置しますが、バネを内蔵しているため、木の上にひもを伸ばさなくても作動できるということです。


というわけで、わなフェスティバルのプログラムは全て終了。最後はさばいたシカ肉が50名先着でプレゼントされていました。

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