サイエンス

人類を救う未来の食べ物「人工肉」のメリットと作り方解説ムービー


地球の人口は年々増え続けており、2050年には90億人に到達すると予想されていて、「90億人分の食料をどのように供給するのか」が問題となっていますが、そんな食糧問題を解決する方法の一つとして未来の肉となる可能性を秘めた「人工肉」の作り方をまとめたムービーが「The Meat of the Future: How Lab-Grown Meat Is Made」です。

The Meat of the Future: How Lab-Grown Meat Is Made - YouTube


未来では、「肉」は一体どのように作られるのでしょうか?


研究室で人工的に作られた肉が今よりも普及することでしょう。


牛を解体して売るお肉屋さんは、将来的にいなくなるかもしれません。


2013年には初めて人工肉を使ったバーガーの試食会が行われました。


人工肉の製造と生きた牛の飼育を比べると、人工肉は草や水などの資源が少なくて済み、食肉解体の作業も不要。


牛の飼育コストを他の動物と比べると……


28倍の敷地が必要。


水は11倍必要です。


WWFの調査によれば、地球全体で25%もの地表が牛を飼育するための土地として使われているそうです。


近い将来、人工肉は普通の肉よりも安く、成長が早く、環境に優しい食べ物となるでしょう。


ところで、一体どのようにして人工肉を「育てる」のでしょうか?


最近の研究では「牛の幹細胞を採取して培養する」方法が最も成功しやすいといわれています。


採取した幹細胞を培養液に入れて育てていきます。


幹細胞とは、分裂して自分と同じ細胞を作り出す能力と、別の細胞に分化する能力を持つ細胞のこと。


どんな細胞でも作り出すことができるため……


筋肉から内臓器官まで、何でも作ることが可能。


幹細胞組織は、生きている牛から痛みの少ない方法で採取されます。


幹細胞の組織は、筋細胞と脂肪細胞から成っていますが、人工肉の生成に必要な筋細胞だけを取り出します。


取り出した筋細胞を解剖して培養します。


「細胞培養」とは、植物や動物の細胞を取り出して人工的に作られた環境下で育てること。


アミノ酸や炭水化物などの必要な栄養素が入った培養液に浸した状態で、細胞を育てていきます。


たった1個の筋細胞から……


1兆個もの細胞を作り出すことが可能。


新しく誕生した筋細胞は、自然と互いに集まって約0.3mmの小さな筋管を形成します。


筋管をゲルで作られたリングの上に置くと、小さな筋肉の組織へと育ちます。


実際に透明なリングの上に筋管を置いている様子は以下のような感じ。


いくつものリングを重ねるとハンバーガー用の肉などを作ることが可能。


人工肉は、普通の肉よりも色が薄く、味はサッパリと淡泊だそうです。


「人工肉の淡泊な味はタンパク質を多く含み、世界的な食糧不足を補うことができる」と科学者たちは期待をよせています。


人工肉の価格は当初、ハンバーガー用のパティサイズで32万5000ドル(約3900万円)とかなり高額でしたが、研究が進んだことで1枚11ドル(約1300円)程度にまで価格が低下。


ただし、マクドナルドのビッグマックが1個4.79ドル(約570円)であることに比べると、人工肉はまだまだ高級食材といえます。


将来的には、人工肉の生成方法がより簡単になり、価格がより安くなると見られています。


「夕食に人工肉のステーキを食べる」という日も近いかもしれません。

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in サイエンス,   動画,   , Posted by darkhorse_log

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