3Dプリンターで食べ物を印刷へ、既存の食事を置き換える可能性もあり


NASAから12万5000ドル(約1300万円)の資金援助を得て、食べ物を作り出す3Dプリンターの開発が進められています。これはエンジニアのAnjan Contractorさんによるプロジェクトで、今後行われるだろう火星探査など、長期にわたって宇宙を旅する際の食事手段としても利用される予定です。

The audacious plan to end hunger with 3-D printed food – Quartz
http://qz.com/86685/the-audacious-plan-to-end-hunger-with-3-d-printed-food/

3Dプリンターの詳細は以下のムービーからチェックすることができます。

3D Printing: now printing food too - YouTube


3Dプリンターはレイヤーを重ねていくことで複雑な構造物でも作成できる機械。2012年には家庭用にさまざまな3Dプリンターが作られ、現在ではゼネラル・エレクトリックによるジェット・エンジンの製作にも用いられており、産業的にも大きな役割を果たしています。


Contractorさんはどの家庭のキッチンにも1台の3Dプリンターがある未来を頭の中に描いており、未来の地球上に存在する120億人の人々がありふれたスーパーマーケットから購入したオイルや専用のパウダーを使い、それぞれの体にあった栄養価の食事を取れるようにしたいと考えています。例えば、年配の男性なら炭水化物は少なめ。


スポーツマンは反対に炭水化物が大めでカルシウムが少なめ。


妊娠中の女性はオメガ3脂肪酸を十分にとって……ということがパウダーの配合で簡単に調整できるようになります。


現在では「牛肉を食べても昆虫からタンパク質はとらない」といった制限がありますが、パウダーであればそのような制限もなく、あらゆる生き物から栄養を取ることが可能。


食べ物のデザインも変化。


鎖っぽいデザイン。


テクスチャもこれまでの食べ物とは違う、全く新しいものとなります。


食卓に並ぶとこんな感じ。


一味違ったかわいいデザートも作成できます。


3Dプリントの手法は複数のものがミックスされています。以下はレーザーを使って立体像を形成するステレオリソグラフィーという技術。


炭酸ガスレーザーで素材を焼結させる選択的レーザー焼結。


こんな感じの立体物が完成します。


平らに広げた粉末の上に液体を置くことによって凝結させていくP.B.Pという手法。


完成した立体物は選択的レーザー焼結によって作ったものよりもなめらかな表面です。


ABS樹脂を使用したABS樹脂積層造形。


完成したものはこちら。


30年は保存のきくパウダー状の材料から作られるため、食べ物のムダをなくすことが可能。パウダーには砂糖や炭水化物・プロテインといった成分から構成され、それを水や油と混ぜて3Dプリンターで出力する仕様で、未来の食べ物として既存の食事に置き換わる可能性を秘めています。


以下のチョコレートを作成する3DプリンターはNASAの助成金をゲットするために作られたプロトタイプ。

Chocolate Printing Trial1.mp4 - YouTube


Contractorさんは「もしジェットエンジンや美術品を作成する機械と同じものから作られた食べ物に抵抗があるならば、それはあなた食べ物に困っていないからです」と語ります。多くの経済学者が言うように、現在の食料システムは120億人という人口を支えるには不十分であり、私たちが食物と見なすものの認識を変える必要があるとのこと。


この3Dプリンターで作られる食べ物の候補の一つはピザ。ピザは個々のレイヤーに分けてプリントできるため、作りやすいのが理由で、生地はプリントと同時に熱したプレートで焼かれ、その後、トマトのベースの作成に入ります。そして最後にピザのトップに牛乳や動植物から作られた液体を使ったプロテインレイヤーを乗せたら完成。このアイデアは現在構想の段階で、今後2週間以内には実物を作成する予定です。

3Dプリンターはオープンソースなので、ソフトウェアを使ってレシピを入力し、水や油に溶かしたパウダーをセットすれば、好きな料理を作ることも可能になります。なお、現在は完成形のプロトタイプさえ仕上がっていない状態のため、価格など詳細は未定です。

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in ハードウェア,   動画,   , Posted by darkhorse_log

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