世界初の人工培養「肉」のレシピ本の発売決定、恐竜の骨付き肉もメニューにあり


野菜を工場で人工栽培することは一般的になりましたが、「食肉」を工場で培養する研究が進んでいます。そんな中、世界初となる「人工培養肉のレシピ本」が発売されることが決定しました。

The MEAT THE FUTURE cookbook
http://www.bistro-invitro.com/

世界初、培養肉の料理本発表 恐竜脚のローストなどレシピ多数 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News
http://www.afpbb.com/articles/-/3022404

地球の人口は2050年に90億人を突破すると予想されており、食料不足が深刻な問題になると懸念されています。中でも、牛・豚・鶏などの食肉の不足は、家畜を育てるのに多くの穀物が必要であることから、野菜や果物に比べてはるかに深刻な問題になると考えられています。

このような食肉不足に対応するために、オランダのマーストリヒト大学のマーク・ポスト教授の研究チームが牛の筋肉から採取した幹細胞を培養することで、牛肉を人工的に作り出すことに成功しました。


なお、オクスフォード大学とアムステルダム大学の研究者によると、肉牛を育てるのに比べて研究室で人工培養で食肉を作り出す方が45%もエネルギー消費を減らし、最大96%も温室効果ガスの排出を削減できるとのこと。また、家畜を放牧する必要がないので広大な土地を必要とせず、現在家畜の生産に必要な水の4%しか必要としないため、水不足の問題も解決できるとしています。

研究室で培養された人工培養肉は安全性が確認されていて、実際に、2013年8月にポスト博士は人工培養肉で作ったハンバーガーの試食会をロンドンで開催しています。なお、試食した人によると「パテには肉のような質感やジューシーさはあるが牛肉特有の味はしなかった」とのこと。

By Chris

このような流れの中、未来の食糧危機問題の解決策になる人工培養肉を通じて、深刻さを増していく食糧不足の現実についてより理解を深めるという目的で、世界初の人工培養肉のレシピ本「In Vitro Meat Cookbook」が作製され、クラウドファンディングサイトIndiegogoで立ち上げられたプロジェクトで見事、目標金額の出資をゲットすることに成功していました。

なお、このレシピ本には人工培養肉に関する科学的な解説だけでなく、食料危機問題についての哲学的なエッセイなどが含まれており、食糧危機問題に関する会話のきっかけを与えてくれる内容となっています。


そして、同レシピ本が、いよいよ2014年秋にも一般向けに発売されることが決定し、誰もが人工培養肉で作る料理を知ることができるようになったというわけです。なお、レシピ本には、3Dプリンターで作った「恐竜の骨」のまわりに鶏肉を培養して作る「肉食恐竜のロースト」や、オクスフォード大学に保管されているドードーのサンプルからドードー肉を再現するレシピまであるとのこと。


省エネルギーで生産できる人工培養肉はエネルギー問題をクリアするという利点だけでなく、屠殺が不要なため動物愛護の観点でも優れていそうですが、人工培養肉が広く普及するには、それらを受け入れる消費者の意識改革が大きな問題と言えそうです。しかし、さらに大きな問題は、その製造コストの高さで、前述の人工培養肉ハンバーガー150gのパテの培養にかかった費用は25万ポンド(約4300万円)とされています。

なお、すでにレシピ本は英語版とオランダ語版がいずれも24ユーロ(約3300円)で予約販売がスタートしています。

The In Vitro Meat Cookbook « NextNature.net
http://www.nextnature.net/product/the-in-vitro-meat-cookbook/

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in サイエンス,   , Posted by logv_to