どういったプレゼン資料を使って有名スタートアップは起業後にお金を集めたのか
by University of the Fraser Valley
ウェブサービスなどを趣味の範囲で作っているうちはいいのですが、新規に会社を設立し、事業としてやっていくことになると、お金のことを考える必要が出てきます。YouTubeや宿泊施設の賃貸サービス・Airbnbなど、今や世界で名の知られているサービスであっても、かつては必死に投資会社にアピールしてお金を出してもらっていた時期があります。その時期に、どういったプレゼン資料を用いていたのかを見ると、これからのビジネスのヒントが見つかるかもしれません。
Lessons From The Early Pitch Decks Of Airbnb, BuzzFeed, And YouTube | Fast Company | Business + Innovation
http://www.fastcompany.com/3050985/lessons-learned/lessons-from-the-early-pitch-decks-of-airbnb-buzzfeed-and-youtube
・Airbnb
Airbnbは、自分の部屋を宿泊先として貸し出したり、別のユーザーが貸し出している部屋に泊まったりできる宿泊賃貸サービスです。スタートアップの中でも非常に成功している事例で、評価額は255億ドル(約3兆円)。これは、同種のサービスを展開しているHomeAwayやホテルチェーンのマリオット、旅行のオンライン予約サイト・エクスペディアといった旅行大手の公開市場での評価額を上回るものです。
AirBnB Pitch Deck
Airbnbは「AirBed&Breakfast」の略で、ホテルではない地元の宿を取るためのサービスとして作られました。
まず挙げられているのは旅行の問題点。宿をオンライン予約しようとした時に気になるのは価格。また、ホテルに泊まることは、その町の文化から切り離されてしまうことにもつながります。かといって、地元の宿を取るのは難しく、宿を貸すための方法もないのが現実。
そこで、旅をする時にはお金を節約でき、ホストになればお金を生み出すことができ、地元と町とをつなげることで文化の共有にも繋がるウェブプラットフォームがあれば……と生み出されたのがAirbnbです。
市場規模は「旅行」全体で19億ドル(約2280億円)以上、そのうちオンラインの割合は5億3200万ドル(約640億円)。実際のAirbnbのビジネス規模は1060万ドル(約12億7000万円)ほど。
Airbnbでは手数料として10%を取っています。おおむね、1泊70ドル(約8400円)で3泊の利用があり、平均して手数料収入は1件で20ドル(約2400円)ほど。これで、2008年から2011年までに、2億ドル(約240億円)の収益を上げています。
これは競合サービスとの比較。横軸は左がオフライン寄り、右がオンライン寄り。縦軸は費用で、上が安く、下は高価。Airbnbはオンライン寄りで安い宿を見つけられるサービスという立ち位置にあることがわかります。
・AppNexus
続いては、オンライン広告プラットフォームを提供しているAppNexusです。評価額は12億ドル(約1440億円)で、このプレゼンテーションは2007年から2008年初頭にかけて行われたものなので、この当時の事業計画は現在の事業とは異なる部分があります。
AppNexus' First Pitch Deck
「『コネクテッド・ワールド』のためのインフラストラクチャー」と題がついています。
創業者のブライアン・オケリーCEOは、もともとは同じくオンライン広告で知られるRight MediaのCTOを務めていて、その環境をサーバー10台から1500台まで拡大した人物。また、製品部門副社長のマイケル・ノレット氏はRight Mediaの解析部門にいました。
オケリーCEOらがRight Mediaで感じた問題は「規模」「国際化」「インテグレーション(統合)」の3つ。たとえば、MySpaceでは毎日10億インプレッションをさばく必要があったり、Yahoo!Japanはサーバーが日本にしかなかったり、6つのデータセンターで文脈解析プラットフォームを統合しなければならなかったり……。
AppNexusでは、クラウドを用いることで解決。必要な時に必要なだけのサーバーを利用すればよく、新しいサービスが必要になってもクラウドでやればOK。
しかし、単にクラウドを用いるだけではなく、もっと確実で信頼がおけて、使いやすいものでなければならない……ということで、アプリケーションとしての「Nexus」につながっていきます。
1つのNexusだけでは十分ではないため、同じサービス・同じアプリケーションを提供する世界中の複数のNexus、「Nexuses」によって十分なサービスの提供を実現。
収益は1コアあたり1日10ドル(約1200円)というインフラ賃貸料と、アクセス数に応じた手数料で得ます。
・BuzzFeed
バイラルメディアのBuzzFeedは、NBCユニバーサルから2億ドルの出資を受けていて、評価額は15億ドル(約1800億円)。1ヶ月に約2億ページビューがありますが、2008年の時点ではわずかに1ヶ月250万ページビューでした。
Buzzfeed investor deck 2008
「BuzzFeed、ネット上では何が流行っているのか?」
2008年の資料なので、月間250万PV・70万ユニークビューでした。
目標は人を増やすこと、そして自前の広告プラットフォームを作って収益モデルを確立すること。
当時考えられていた、新しいBuzzFeedのスタイル。
サイトに対しての出稿や、ウィジェットと広告によるプロモーションなどでの収益化が考えられています。
「媒体(メディア)」と「広告」とのいいとこ取りを目指しています。
・Linkedin
その人が過去にどういった企業でどんな役職に就いていたのか、今はどこに勤めているのかがわかる、ビジネス特化型SNSのLinkedIn。当初は「プロフェッショナルな人たち検索 2.0」を標榜していました。
Linkedin Series B Pitch Deck
資料は2004年8月のもの。
検索・プロフィール画面でのターゲット広告、仕事のリスティング広告、プロフェッショナルのネットワークに加わるためのサブスクリプション広告という3つの軸を最初から打ち出しています。
従来は人と仕事とを結びつける有効かつ信頼できるサービスがありませんでした。
いわば、辞書から求人・求職していたようなもの。それを、インターネットを活用することでなんとか解決できるのではないか、と考えたのがLinkedInです。
たとえば、欲しいものが見つかるオンラインリスティングの「ウェブ2.0版」がeBay。
オンライン支払いサービスならPayPal。
検索といえばGoogle。
それらと同じように「LinkedInがすべてを変える」というわけです。
2004年2月時点で、オンライン求人市場の54%を占めていたLinkedIn。
2004年8月には74%にまで成長。
この図の横軸は左側がソーシャル寄り、右側がプロフェッショナル寄り。縦軸の上がインターネットサービスモデル、下がエンタープライズソフトウェアモデル。80万人以上のユーザーがいて、週2万9000人ペースで増加中のLinkedInがマーケットリーダーです。
・YouTube
もはや知らないものはいないというほど普及した映像配信サービスのYouTubeも、当初はユーザーが1万人足らずで、1日に10万PV以下という日々がありました。そこから、1日に70億本のビデオが再生されるサービスに成長し、2006年にGoogleが16億5000万ドル(当時のレートで約1950億円)で買収。
下記に資料がありますが、ここまで4社のものが、図やイラストを交えたプレゼン資料だったのに対して、YouTubeのものはテキストベースの資料です。
Botha on YouTube
数多くのスタートアップを見てきたというTrinity VenturesのGus Tai氏は、自分たちが他とどう違うのかを投資家にわかりやすく伝えることができなければ忘れ去られてしまう、と忠告しています。
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