2015年09月12日 15時00分ハードウェア

世界で最も手頃な太陽電池方式のランタン「d.light A1」が発展途上国の生活を変える日は訪れるのか

片手サイズの小型の本体にソーラーパネルとLEDライトを備え、わずか5ドル(約600円)という価格で購入できるソーラーランタンが「d.light A1」です。このランタンは世界でまだ電力網が整備されていない貧しい地域にも電気の光を届けて、健康状態や生命に危険を及ぼすこともある燃料式ランタンに代わるものとして開発されています。

Launching the world’s most affordable solar-powered light — Medium
https://medium.com/@baumgardt/launching-the-world-s-most-affordable-solar-powered-light-9a2398c6c6fa

d.light A1は、アメリカ・スタンフォード大学で開講されている発展途上国のためのデザイン教育プログラム「Design for Extreme Affordability」から誕生したスタートアップ「d.light(ディー・ライト)」が開発したランタンです。本体正面の白い部分がLEDによって光るようになっており、本体には卓上に置いたりヒモやフックでぶら下げるためのハンドルが備わっているので、生活のあらゆる場所に持ち込んで使うことができるようになっています。

A1の本体構造はこんな感じ。LED(1)の背面には小型のソーラーパネル(2)がレイアウトされており、昼間の太陽光で電気を蓄えておくことが可能。ハンドル(3)で好きな場所に固定でき、本体前面の電源スイッチ(4)は防水型で高い耐久性を備えているとのこと。また、写真には写っていませんが充電状況を示すインジケーターランプも備えられているようです。

d.light社は、電力が行き渡っていない発展途上国の人たちに安全で安心なソーラーランタンを安価で届けるために、さまざまな製品を開発しているとのこと。

そんなd.light A1が可能にする生活の様子は以下のムービーから。

d.light A1 - YouTube

日本にいるとほとんど感じることができませんが、世界ではなお20億人ともいわれる人たちが電力の恩恵を受けることができずに生活を送っています。

そんな暮らしの中で、夜間の明かりとして使われているのがケロシン(灯油)を使ったランタンです。燃料を燃やして使うために室内の空気が汚れ、火災が引き起こされるリスクを抱えているほか、定期的に燃料を購入しないといけない経済的負担は、特に貧しい国の人たちにとっては大きな重荷になっているといいます。

そんな問題を解決するために開発されたのが、d.lightのソーラーランタンというわけです。わずかボタン1個だけというこれ以上ないシンプルな装置で、生活の中に安全と安心をもたらすことが可能になるとのこと。

火を扱わなくてすむので、小さな子どもからお年寄りまで誰でも安全に使うことができます。

d.light自ら「ゲームチェンジャー」と語るソーラーランタンはシンプルな機器ながら、世界の暮らしを良くする手段の1つとして開発されています。

d.light社はソーラーエネルギーによるソリューションを提供することで、自由と質の高い生活を可能にすることをビジョンに掲げています。以下のムービーでは、2015年7月にオバマ米大統領がケニアを訪れた際に、d.lightの共同設立者の1人であるサム・ゴールドマン氏がA1を紹介した一幕が収められています。

VimeoU.S. President Obama experiences the d.light A1 Solar Lantern

ソーラーランタンA1は、1度の充電で4時間にわたって使用することが可能。高い防水性と耐久性を備え、簡単に壊れてしまうことがないように設計されているほか、寿命6万時間というLEDを使っているために電球を交換する必要は事実上皆無といえます。