Googleが全画面表示の広告設置ページを「モバイルフレンドリーではない」と判断する施策を実施へ、検索ランクを下落させる可能性も

モバイル端末でネットを閲覧している際に、目的のページ内容とは別にフルスクリーンで表示されるインタースティシャル広告に遭遇してもどかしい思いをした事がある人も多いはず。Googleは、そんなモバイル端末向けのインターステイシャル広告の一部に対して「モバイルフレンドリーではない」とみなし、2015年11月1日からは一定の基準を超える場合にページランクを下げる対策を実施する可能性が明らかになりました。

Official Google Webmaster Central Blog: Mobile-friendly web pages using app banners
http://googlewebmastercentral.blogspot.jp/2015/09/mobile-friendly-web-pages-using-app.html

Googleによると、2015年11月1日以降に「モバイルフレンドリーではない」と判断するインターステイシャルの要件は、「検索結果から移動した先のページにおいて、アプリのインストールを促すインターステイシャル広告が、ページ内のコンテンツを著しく隠してしまう規模で表示されること」となっています。これにあてはまらないインターステイシャルについては特に判断に対する影響が及ぶことはないとのこと。また、ブラウザに実装されているアプリ広告機能については「よりユーザーフレンドリーである」と説明されています。

Googleが例示している「モバイルフレンドリーではないインターステイシャル」と「モバイルフレンドリーなインターステイシャル」の表示例がこちら。左の悪い例では画面の大部分を青いインターステイシャルが覆うことでユーザーエクスペリエンスを阻害しているのに対し、右の良い例ではページの上部にバナーを表示するにとどめられていることがわかります。

上記の例からもわかるように、Googleではインタースティシャルの仕組みを使って画面に大きく広告を表示させる方法そのものを否定しているわけではなく、情報を求めてページを訪れたユーザーに対し、インターステイシャル広告を強制的に表示することによってユーザーエクスペリエンスに悪い影響を与えることを問題視しているわけです。そのため、ゲーム中に表示される広告や、検索結果からたどりついた画面以外で表示されるインターステイシャル広告については問題なしと判断されるものとみられます。

Googleではこの施策に対する対策案を提示しており、ブラウザ「Safari」に搭載されているSmart App Bannersや、ChromeのWeb App install bannersといった機能を用いる方法を紹介しています。

今回の方針は、2015年7月に公表されたGoogleによるインターステイシャル広告に関する調査の結果とは無関係ではなさそうです。Googleの調査によると、アプリをダウンロードさせようとするインターステイシャル広告が表示されるページでは、広告を見たユーザーの9％が「アプリをダウンロードする」と書かれたボタンをタップしたのに対し、69％のユーザーはボタンをタップしなかっただけでなく、そのままページを閉じてページのコンテンツを見に行くこと自体も放棄したことが判明しています。

Official Google Webmaster Central Blog: Google+: A case study on App Download Interstitials

今回の施策の背景には、上記のように不適切なタイミングでのインターステイシャル広告を嫌うユーザーの志向はもちろん、検索サービスをマネタイズしているGoogleがその結果を重大視したことも十分に考えられます。いずれにせよ、ユーザーにとってはネット閲覧環境が快適な方向に向かうことは間違いないといえそうです。