3Dプリンターでガラスの出力に成功、ソフトウェア制御で驚異的なガラス作品を作ることが可能に
プラスチックや樹脂製のオブジェクトだけでなく、細胞や食べ物まで出力できるようになってきた3Dプリンターですが、マサチューセッツ工科大学の取り組みによって、今度はガラスまで出力できるようになりました。コンピューターで制御することで、信じられないほど美しい作品を作れるようになっているのですが、その製造の様子や作品の数々がムービーで公開されています。
G3DP Environment |
http://matter.media.mit.edu/environments/details/610
We Can Now 3D-Print Glass And It Is Entrancing
http://www.popsci.com/we-can-now-3d-print-molten-glass-and-it-entrancing
実際に3Dプリンターを使ってグラスを作る様子は以下のムービーから確認が可能です。
Vimeo GLASS
何層にも重ねられたフィラメントは3Dプリンターで物作りを行う時によく見る光景ですが……
よく見ると、プリンターから出力されるフィラメントが赤い輝きを放っていることが分かります。
オブジェクトを出力しているプリンターが、以下の画像の奥に配置されているもの。
手前にはサーモグラフィー。
温度を見てみると、最低温度は13.1度、最高温度は360度を記録しています。3Dプリンターは赤くなっている部分があり、かなり高温になっているようです。
そして中ではガラスが出力されているわけです。出力部分は赤く発熱していますが、フィラメントは透明で美しいです。
かなり複雑な形でも出力できている様子。
設計図はこんな感じ。
数々のオブジェクトがデザインされました。
出力はソフトウェアで制御されるので、かなり緻密なオブジェクトでも製造可能となっています。
3Dプリンターのフタをパカリと外してみるとこんな感じ。
3Dプリンターは2つの構造に分かれており、上部は窯として機能、下部は冷却しながら造形を行うようになっています。窯の部分の温度は1037度あり、材料を入れる時の様子は3Dプリンターとは思えない、ガラス工芸のような光景が広がります。
てろーんと伸びるガラス。
これをカットして、オブジェクト1つ分の材料を3Dプリンターに投入するわけです。
分厚い手袋をした手で取っ手を引っ張ると……
窯の部分の下でオブジェクトが出力されていました。
フィラメントはアルミナ・ジルコン珪酸ノズルを通って出力されています。
これはまっすぐなラインが引かれていますが……
コンピューターで制御しているので、以下のようにフィラメントを複雑な形で重ねていくことも可能。
完成したのがコレ。
この他、さまざまなデザインのオブジェクトを作成しています。
横倒しにした「C」のようなデザイン。
ねじりをいれたもの。
いくつもの輪を重ねたようなデザイン。
グラスとして使えそうなものや……
翻るスカートの裾のように見えるものも。どれも涼しげで美しい外観となっています。
並べて展示されるとアート作品のようです。
ガラスの上部にライトをかざすと、テーブルには複雑な光の模様が描かれます。
ガラスのデザインからは予想できない光の模様を描いています。
これはデザイン事務所のMediated MatterとMIT Department of Mechanical Engineering、MITのGlass Labによって行われたプロジェクト。古代から伝わるガラス作りの技術と最新のテクノロジーを組み合わせたものとなっており、作品は2016年からクーパー・ヒューイット国立デザイン博物館で展示される予定です。
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