爆速で3Dプリントを可能にする革新的技術「連続液界面3Dプリント」とは?
3Dプリンターの活躍の場は広がり続け、小さなオブジェクトを出力するのにとどまらず、大きなアパートを建築したり、複雑な形状のチョコレートを作ったり、宇宙にデータを送信して宇宙船で必要な部品を作り出したりとさまざまな形で活用されています。しかし、3Dプリンターの大きな欠点は「立体物を出力するスピード」が遅いということ。この3Dプリンターの弱点を解消して、爆速で3Dプリントする全く新しい技術「連続液界面3Dプリント」が研究されています。
Continuous liquid interface production of 3D objects
http://www.sciencemag.org/content/347/6228/1349
New nonstop 3D printing process takes only minutes instead of hours | Ars Technica
http://arstechnica.com/science/2015/03/new-nonstop-3d-printing-process-takes-only-minutes-instead-of-hours/
「連続液界面3Dプリント」がどのように立体物を出力するのか、どれだけ爆速なのかは以下のムービーを見れば一発で理解できます。
tumbleston2 - YouTube
金属製の容器に液体が入っています。
液体に漬かっていた金属の物体がゆっくりと上昇を開始。
金属の物体と液体の間に何やら立体物が見えます。
金属が上昇すると界面で立体物が生成され、にょきにょきと立体が伸びる様子が確認できます。
立体物が徐々に姿を現してきました。
どうやらエッフェル塔を3Dプリントしている模様。
塔の先端(画像では下部)が細くなるにつれて出力速度はアップ。
こうしてエッフェル塔を逆さまに出力完了。
このムービーは連続液界面3Dプリント技術を使って約5センチメートルの立体物をわずか6分で出力する様子を早送りしたもの。連続液界面3Dプリントでは1時間に500mmのスピードで立体物を出力できるそうで、これはUV硬化型樹脂を使う既存の下面照射タイプの光学式3Dプリンターを圧倒する速度です。
連続液界面3Dプリントを開発したのはカリフォルニア大学のジョン・タンブルストン氏らの研究チームで、研究成果は科学誌Scienceに論文として投稿されています。従来のUV硬化型樹脂を使った3Dプリンターでは樹脂が固まる際に造形物と造形槽が固着するという問題がありました。これに対して連続液界面3Dプリントではラジカル重合型のUV硬化型樹脂が酸素との境界面で硬化しにくい性質を逆手に取った技術で、液体と造形物との間に酸素で硬化が妨げられた薄い層ができ固着がなくなるため連続的に出力が可能になり、プリント速度を上昇させるのに成功したとのことです。
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