木目の美しい「寄せ木細工」のようなまな板ができるまで
木の美しさを活かした「まな板」は料理の道具にこだわる人にも人気のあるツールですが、カナダのメーカー「Larch Wood」が製作するまな板は、木が持つ年輪の模様が表面に浮き出るように加工された芸術品とも呼べる製品となっています。
Cutting Boards, Cutting Board, Chopping Blocks, Chef Blocks, Cheese Boards | Larch Wood Enterprises Inc, Cape Breton, Nova Scotia, Canada
http://www.larchwoodcanada.com/
Larch Woodが作るまな板は、以下のように木目が表面に現れたデザインが特徴となっています。このような長方形のまな板や……
大小のサイズがそろった円形のボードなど。
さらに、木目の組み合わせかたを工夫した「トラ目(Tiger Stripe)」と呼ばれるデザインのボードなどがラインナップされています。
このように、Larch Woodのまな板は木の年輪を活かしたデザインが特徴的な製品となっています。以下のムービーでは、そんなまな板の製作風景が紹介されています。
How to Make End Grain Cutting Boards | Où se trouve: Larch Wood - YouTube
貯木場に積まれたたくさんの丸太。Larch Woodのまな板は、全てこのような丸太を切り出すところから始まります。
丸太を巨大な機械にセットし、余分な部分をカット。
すると、四角い角材ができあがりました。
さらにこの機械で角材を数枚の板にスライス。この板をカットしてまな板を作るのかと思うと、実はそうではありません。
スライスされた板は巨大な乾燥炉に入れられ、16~20時間かけて余分な水分を飛ばします。
うず高く積まれた板と板の間には角材が挟みこまれ、まんべんなく乾燥するための工夫が施されています。
乾燥が終わったら、加工工程の始まり。
まずは所定の長さにカット。
次に、「プレーナー」と呼ばれる電動カンナで表面を平らに仕上げます。
表面を仕上げたら、今度は板状の木材を3本の細い棒材に切り分け。
1枚の板が、細い角材にカットされました。
この角材の寸法がポイント。辺の長さは最もバランスがよいとされる「黄金比率」になるようにカットされています。
カットされた角材を積み上げる作業員。ただ単に木を積み上げているわけではありません。
木目のバランスを考えつつ、もっとも美しい見た目になるように計算しながら積み上げているようです。
積み方が決まったら、接着剤を塗って木材を貼り合わせていく工程に入ります。
専用の機械に、接着剤を塗った角材をセット。
所定の数を積んだら、上に鉄の枠をセットし……
電動工具を使って、上下から挟みこむように木材を圧縮しながら接着します。
機械の全体像はこんな感じ。放射状に伸び、回転するアームの一つ一つに組み合わせた木材がセットされ、連続して接着工程を行えるようになっています。
接着が完了した木材を機械から取り外すと……
このように、細い角材を組み合わせた板状の「集成材」が完成。
せっかくできあがった集成材ですが、再び細くカット。今度は木目と90度の角度にカットされます。
カットした木材は接着剤が塗られ、再び台の上に並べて接着。先ほどと違うのは木目の向きで、今回は年輪が表面に現れるようにセットされます。
鉄の枠とクランプを用い、木材をしっかりと接着。
このような1枚の板が完成しました。表面には接着剤が残ったままなので、ここから最終の仕上げ工程に入ります。
ベルトの上に木材をセットし、表面を平らに加工して……
板の角をキレイに丸く整える「面取り」を行います。
研磨が完了した木材に、熱く加熱された鉄の焼き印を押しつけ。
メーカー名の入った焼き印が刻まれました。
そしてさらに表面が磨き上げられ……
ボードの周囲に溝が掘られます。
加工が完了したら、最後に塗装工程を行います。このメーカーでは、木目の美しさを活かすためにオイルを使ったナチュラル仕上げを行っています。
1度目の塗装を1日かけて乾燥させたら、さらに2度目のコーティングを行います。木の組織が表面に現れるように加工されているので、オイルが木に染みこむことで表面が強く仕上がるそうです。
最後に、ボード裏面にゴム製の脚を4つ取り付け……
梱包用のラップフィルムで包めば完成。
美しくラッピングされた状態で、販売店へと出荷されてゆきます。
完成したまな板の表面はこんな感じ。木目が整然と並んでいますが、よくみるとどれも少しずつ違う模様になっているのは天然材を使っている証し。
お手入れは、このようにクロスにつけたワックスを塗り込みます。
「木の繊維が表面に出ているので、ナイフが当たったときには刃が繊維の間に入るのよ。だから表面はずっと傷がつかない状態なの」と説明する女性。
このように、ナイフによる痕が表面に残っても……
指で数回なでるとほとんど目立たない状態となりました。
このように、Larch Woodでは木材の特徴を活かしたまな板の製作が行われているというわけです。
まるで日本の「寄せ木細工」のように、手間をかけて1枚の板を作り上げる工程は見事の一言です。Larch Woodの製品は北米を中心に販売されているようですが、アメリカのAmazonで販売されているほか、日本のamazonでも並行輸入品を購入できるようになっていました。
Amazon.co.jp: Larchwood sm Small Original Cutting Board by Larch Wood [並行輸入品]: ホーム&キッチン
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