最高の肉を焼ける「究極のBBQ燻製器」の開発を課すハーバード大の卒業試験とは?

By Jonathan Reyes

大学の卒業試験では4年間にわたって学んできた集大成を発表する機会となり、大学や学部によって発表するものが異なります。そんな卒業制作の課題として、最新テクノロジーを駆使して最高の肉料理を作り上げる「究極のBBQ燻製器」の開発がハーバード大学科学・工学部で採用され、16人の生徒が試行錯誤の末に装置を完成させています。

Harvard class cooks up the ultimate BBQ smoker - Metro - The Boston Globe
http://www.bostonglobe.com/metro/2015/05/05/harvard-class-cooks-ultimate-bbq-smoker/0O4fLQ0rbt9qMGsllPoTjK/story.html

ハーバード大学科学・技術学部の卒業試験の課題として選ばれたのは、なんと完ぺきなBBQブリスケットを調理する「究極のBBQ燻製器」を作り上げること。「BBQブリスケット」とは、牛の肩バラ肉のカタマリをバーベキューグリルにのせ、ウッドチップでじっくり何時間も燻製してできあがる料理。日本ではあまりなじみがありませんが、アメリカ映画で週末にお父さんが庭でジュージューしている「あの肉のカタマリ」です。

By Becky McCray

この課題を提案したのはハーバード大学のケビン・キット・パーカー教授。BBQブリスケットは失敗すると外側が真っ黒に焦げたり、内部に赤身が残らず加熱しすぎてしまいます。そこでパーカー教授は食感・味わい・見た目の全てにおいて完ぺきなBBQブリスケットを何度も繰り返し簡単に調理できる燻製器の開発を課題として採用しました。一見すると大学で培ったエンジニア技術はさほど関係ないように思えるかもしれませんが、パーカー氏は化学作用・熱伝達率・材料工学・プロトタイピング・問題解決力を評価できる的確な課題であると話しています。

課題の制作には高級キッチン用品メーカーのウイリアムズソノマが協力し、チームのエプロン・調理器具・大量の牛バラ肉が提供されています。課題を課せられた16人の生徒チームは「バーチャルブリスケ」によるコンピューターシミュレーションを実施し、220ポンド(約100kg)もの牛バラ肉を消費して試作を重ねました。生徒の1人であるMichel Maaloulyさんは「とても楽しそうな課題に聞こえますが、課題が与えられた当初はストレスでいっぱいでした」と話しており、16人の生徒は数カ月にわたって平均で週に40~50時間をBBQ燻製器の開発にあてていたとのこと。

生徒たちはBBQ燻製器の内部に温度プローブやモニター類を取り付け、時には氷点下の寒空の下、肉を加熱してはどのような変化が起きているのかをモニターしました。最終的に彼らは「燻製中の煙をコントロールして、低温で時間をかけて燻製すること」が完ぺきなBBQブリスケットを作る秘密であると結論づけました。生徒たちは肉の温度を長時間120度未満に抑えることで、肉の酵素内に含まれるコラーゲンを分離して肉を柔らかくできることを突き止め、15時間かけて徐々に肉の温度を190度まで上昇させるというBBQ燻製器を完成させました。


以下が完成版のBBQ燻製器で、センサーによって内部の状況をスマートフォンのアプリでモニター可能。材質にはセラミック製を採用し、砂時計型の形状は肉の周りにサイクロン気流を生み出すため、スモークの循環や効率的な熱伝導率を実現しました。この設計によって、肉を加熱し過ぎてしまうホットスポット(過熱部)を除去することができ、商用BBQ燻製器の大きな問題点を解決しています。


卒業試験の合否の判定は、カンザスシティー・バーベキュー協会の審査によって行われたとのこと。完成品で調理したBBQブリスケットはスライスした時に「スモーク・リング」と呼ばれるピンク色の切断面が見え、肉は柔らかいものの崩れてはおらず、味も良い「完ぺきなBBQブリスケット」だったことが証明済み。ハーバード大学は燻製器の設計に関する特許を出願する予定で、ウイリアムズソノマの最高戦略責任者であるパトリック・コナリー氏および同僚も「最高のBBQブリスケット」と評価しており、今回のプロダクトモデルはウイリアムズソノマによる製品化が計画されています。

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in ハードウェア,   , Posted by darkhorse_log

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