取材

ファイルDL速度がLTEの1.5倍超になる国内最速225Mbpsの「PREMIUM 4G」をドコモが3月27日から開始


現在使われているLTE技術は厳密には3.9Gと呼ばれるものですが、第4世代(4G)携帯電話の標準規格LTE-Advancedサービス「PREMIUM 4G」をいよいよドコモが3月からスタートさせます。LTEの帯域を複数に重ねて同時利用することで速度の向上を図るというLTE-Advancedの記者説明会がドコモラウンジで行われたので、どんなサービスなのか、行って確かめてきました。

LTE-Advanced | 企業情報 | NTTドコモ
https://www.nttdocomo.co.jp/corporate/technology/rd/tech/4g/

記者向け説明会&体験会が行われるのは新有楽町ビル1階にあるドコモラウンジ。


開始時間前に向かうと、ドコモラウンジの前は既に報道関係者でいっぱいでした。


開場して入ってみると、中はこんな感じ。


2月18日に発売されたLTE-Advanced対応のルーター「Wi-Fi STATION HW-02G」と3月に発売される「Wi-Fi STATION L-01G」が並べてありました。


どんどん会場内に人が増えていって……


説明会の開始。


NTTドコモ 取締役常務執行役員の大松澤清博さんが登場。


ドコモが3月から新しく開始するLTE-Advancedのサービス名は「PREMIUM 4G」


さらなる「速さ」と「快適さ」を追求するため、ドコモは複数の周波数帯を重ねる「キャリアアグリゲーション」という技術とマイクロセル基地局の中にスモールセル基地局を設置する「アドオンセル」という技術を使った「高度化C-RAN」により、LTE-Advancedを可能にしました。


ドコモが実施するキャリアアグリゲーションには2タイプあり、1つは112.5Mbpsの1.5GHz帯と2GHz帯を重ねて225Mbpsを実現するもの、もう一方は75Mbpsの800MHz帯と150Mbpsの1.7GHz帯を重ねて225Mbpsを実現するもの。


PREMIUM 4GはLTEに比べファイルダウンロード時間が60%にまで短縮されます。これまで約400MBの動画をダウンロードすると34秒かかっていたものが20秒で完了する計算です。


また、アドオンセルの活用で、トラフィックが集中するエリアでの無線容量を増大。


都市部でトラフィックが集中する場所での実行速度はLTE比で70%アップします。


2014年11月から商用環境でのフィールドテストを実施していたとのこと。


サービスの開始は3月27日から。サービス開始の約1カ月前のタイミングかつ225Mbpsにちなんだ2月25日に説明会&体験会が開催されるようになったというわけです。全国22都道府県38都市の都市部から重点的にエリア展開がなされる予定となっています。


アドオンセルを活用することでトラフィック集中場所での快適さが増す、ということで、東京ではJR山手線主要駅より順次展開していくとのこと。


現在LTE-Advancedに対応しているのは2月18日に発売されたルーター「Wi-Fi STATION HW-02G」と3月に発売される「Wi-Fi STATION L-01G」ですが、2015年の早期にPREMIUM 4G対応のスマートフォンも発表する予定。


LTE-Advancedの法人向け体験イベントが開催されるほか……


東京・名古屋・大阪で超高速262.5Mbpsの体験スポットがオープンする予定。


現在は225Mbpsですが、2016年度には300Mbps超を実現する予定であり、2020年頃には5Gのサービス開始を目指してます。


ということでドコモが目指しているのは速さだけではなく「技術革新を先導する最新のネットワーク」「サービスを進化させるシンプルなネットワーク」「バランスのよい効率的なネットワーク」の3つを実現させること。


プレゼンが終わり、ここで質疑応答へ。

質問:
現在はLTE-Advanced対応のスマートスマートフォンがない状況です。競合他社もLTE-Advancedに取り組んでいますが、あまり話題になっていないおらず、高速化を訴求しても今のタイミングでは響かない気がします。なぜ今、PREMIUM 4Gをスタートさせたのでしょうか。

回答:
フルLTEでは20MHzのバンド幅で150Mbpsをを実現していますが、LTE-Advancedはそれを超える速度です。LTE-Advancedは「高速」というだけではなく、LTEのカテゴリー6規格の端末の登場と併せてリリースされる、これまでにない「快適さ」を実現する最新技術ですので、今後、ネットワークを進化させていくと考えられています。いよいよサービス開始の日が近づき、実際に直に体験して頂ける機会を提供できるようになったので、このような説明会を行った次第です。

質問:
ここまでネットワークが高速化するとスマートフォンやタブレットではもてあますのではないでしょうか。また現在ではIOTなどもありますが、通信モジュールが多様化したりなど、ネットワークの整備はどういかされていくのでしょうか。また5Gに向けた技術開発の展望はどういったものでしょうか。

回答:
まずは高速化についてです。LTE-Advancedには「国内最高速度」と、その能力を生かしてトラフィックが集中する場所のキャパシティを大きくするというの2つの側面があります。これからは「高速で通信を行いたい」というニーズの他に、トラフィックが集中する場所でも限られた技術を駆使して通信をより快適なものにしたい、というニーズに応えることが大切であると考えています。「最高速度」の通信を上手に利用しつつ、いつでもどこでも快適な通信とバランスのよいネットワークをお客様に提供していけるようにネットワークの整備に取り組んでいく予定です。

5Gに関しては、実は今回PREMIUM 4Gとして利用する技術の中に5Gにつながる重要な技術があります。キャリアアグリケーションがその1つです。いろんな周波数をさらにいかにまとめるか、重ねていくか、ということが5Gのポイントとなります。またキャパシティを上げていくのはMIMOも高度な利用の仕方にも必要。異なるトラフィックの混み具合に合わせてセル間の干渉を整備することも行っていきます。

質問:
プレゼンの中に法人向けのデモなどを予定しているとありましたが、法人用とを想定しているのでしょうか。また基地局数の目安は?

回答:
今回PREMIUM 4Gのポイントは225Mbpsにあり、Wi-Fiステーションとしてルータータイプのものあるので、PCとの親和性も高いと考えています。いろんな利用法があるので、法人ユーザーにも先行して使ってもらい進化させていきたいと考えているところです。

基地局数については現在検討中です。ネットワーク・トラフィックは生き物なので、トラフィックが集中する状況は変化しています。PREMIUM 4Gはトラフィックが集中するエリアの快適さを追求するため、そのへんのトラフィック状況を見据えて15年度の積極的な計画を立てたいと考えています。

質問:
開始時点での人口カバー率は出していますか。どこにいけば使えるのでしょうか。

回答:
PREMIUM 4Gのは「人口カバー率」的な見方はしていません。提供予定のサービス対応エリアはNTTドコモウェブサイトで公開予定です。

質問:
アドオンセルが使われていますが、ネットワークを組み替えているのでしょうか。

回答:
ネットワークの組み替えは行っていません。従来よりC-RANとして集中制御の仕組みを利用していますが、今回は高度化C-RANとして、フルLTEの1.7GHz帯にアドオンセルの技術を活用し、その配下にスモールセルを追加するものです。

質問:
もともとLTE-Advancedは下り最大1Gbpsの予定でしたが、予定としては1Gbpsは目指さずに5G向かうのでしょうか。

回答:
そちらも現在検討中というか、未定です。1Gbpsを実現するには20Mのコンポーネントキャリアをだいたい100M分寄せ集めなけれならなないので、いろんな取り組みをしつつ、2020年に向かう途中で準備ができればいいかな、と考えております。

質問:
エリア展開についてです。都市部を中心にとのことですが、トラフィックが混雑していない都市には展開しないのでしょうか。

回答:
必要なところにきちんと展開していく予定です。今の技術でも150Mbpsが出せますし、まずはフルLTEを展開し、その中でLTE-Advancedを導入した方がいいと思う部分には提供していきたいです。ネットワークの能力は高まり、従来のフルLTEで十分な性能・スピード・快適さを提供できているところもあるため、様子を見ながら。高度化C-RANがあれば必要な場所にすぐ対応できる考えています。

会場では実際に最大速度225Mbpsが実現されており、速度を体感するためのデモが行われていました。


左のスクリーンがPREMIUM 4G、右のスクリーンがdocomo LTEの速度を測定した画面。


まずはPREMIUM 4G。


画面右下を見ていると、現在の速度が224.7Mbps、平均速度が223.3Mbps、最大速度が235Mbpsと、「最大速度225Mbps」という触れ込み以上の速度が出ています。


一方これがdocomo LTEの測定画面。


現在の速度が96.8Mbps、平均速度が48.0Mbps、最大速度が101.4Mbpsとなっており、PREMIUM 4Gが倍以上の最大速度を記録していることが分かります。


続いて、フルハイビジョンの4倍のデータ量がある4Kストリーミング動画の再生デモ。


ドコモの「PREMIUM 4G」で4K動画を84インチディスプレイに表示させるとこんな感じ - YouTube


84インチの巨大ディスプレイの横にはHW-02Gが置いてあり、コレで再生しているわけです。


少しカクツキはありますが、84インチの大画面でも止まることなくストリーミング動画を再生していました。

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in 取材, Posted by darkhorse_log

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