試食

そばのルーツ「そばがき」などを奈良の山奥の手打ちそば店「黄色いのれん」で食べてきました


日本の国民食の一つに数えられる「そば」が大好物という人は多いと思いますが、そのルーツとされる「そばがき」を食べたことがある人は意外と少ないもの。奈良県の山間部にあるという手打ちそば店「黄色いのれん」ではそんな「そばがき」をはじめとするこだわりのそばメニューが食べられるということだったので、食べに行ってみることにしました。

黄色いのれん - 基本情報 - Google+
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手打ちそばが食べられる「新宅本店:通称黄色いのれん」に到着。古い民家がそのままお店として使われており、昔懐かしい見た目の煙突からはモクモクと煙が立ち上っていました。


地図で見るとお店の位置はこのあたり。近隣に電車の駅はないので、主な交通手段は自動車になりそうです。大阪方面からの場合だと西名阪自動車道・天理IC、名古屋方面からの場合は名阪国道・上野ICからそれぞれ約50分の距離です。


「車もないよ!」という場合には、バスを利用するという手段も残されています。お店の前には、三重交通のバス停「新宅本店前」があります。


バスは三重交通の20・21系統路線を利用すればOKで、取材時点のダイヤは以下のようになっていました。2時間に1本程度の本数ですが、お店でゆっくりそばを食べるにはちょうどよいのかもしれません。


玄関前に掲げられた「手打ちそば」の鮮やかな黄色い幕と「のれん」が目印です。


古き善き日本の原風景そのままの店構えとなっています。


「ガラガラ」と懐かしい音のする引き戸を開けて入店。すぐ脇には薪ストーブが置かれており、玄関の土間はやわらかな温かさになっていました。入店前に見えた煙はこのストーブから出たものだったようです。


土間から小上がりの障子を開けると、その向こうが畳敷きの客室になっていました。2~4名がけの座卓が3台置かれています。


窓際の明るい卓に座ってみました。なお、冬期は1室のみの3卓となっていますが、夏期は隣の部屋も使って客室は倍の広さになります。


部屋の隅に置かれた火鉢と灯油ファンヒーター。もちろん火鉢には火はくべられていません。室内はファンヒーターでよく温められているので、冬の寒い日でも問題ありません。


ほどなくしてお茶が運ばれてきました。いい香りのする「そば茶」で、香ばしい風味が鼻に心地よく抜けていきます。


一部がガラスになった雪見障子からは、店の向かいの田んぼがよく見えます。秋の借り入れ時にはこの田んぼが黄金色になるそうです。


今回は、そばを2品と「そばがき」を注文してみました。まず運ばれてきたのは「田舎そば」(税込700円)。


福井産のそばを使ったという田舎そばは、黒い外観が特徴的な一品。


つゆに浸けずにまずはそのままひと口。そばの香りがよく感じられ、ややザラっとした食感からも「田舎そば」の風合いをよく感じることができます。ごろりとした歯触りと、のどごしが心地よいそばでした。


続いて、添えられていたそばつゆに浸けてズズッと二口め。そばつゆは大根おろしの絞り汁で割ったものだということで、ピリリとした大根の風味で味が引き締まります。わさびは添えられておらず、刻みねぎとつゆだけでいただく一品となっていました。このつゆは田舎そば専用だそうで、2種類のしょう油をブレンドしてあるというこだわりの一品だそうです。


田舎そばを食べている間に、「せいろそば」と「そば豆腐」、「そばデザート」がセットになった「せいろそば三昧」(税込1300円)が運ばれてきました。


こちらのそばには信州のそばを挽いた一番粉が使われているということで、見た目は少し緑色がかったやわらかな白さの「更科そば」となっています。ひと口食べてみると、田舎そばとは全く違う上品で柔らかい口当たりが心地よいそばになっています。すこしヌルリとした食感も更科そば独特のものといえそう。


続いてはこちらも、つゆに浸けてズズズと二口め。まず、つゆの味付けが田舎そばと違うことに驚き。田舎そばは大根おろしの風味を感じる味付けでしたが、せいろそばには生じょうゆを「だし」で割ったものが使われているとのこと。上品な食感の更科そばと、かつおだし風味のつゆがピッタリとマッチして、なんだか非常によいそばを食べている実感に包まれる瞬間でした。


2種類のそばを並べてみると、全く違う見た目がよくわかります。左が一番粉を使った「せいろそば」、右が「田舎そば」です。


セットに添えられている「そば豆腐」を食べてみます。


箸で「スッ」と小さくカットし、わさびを添えてパクリ。ややしっかりした食感で、そばの舌触りが心地よいそば豆腐になっており、食べているとそばの香りがフワッと感じられてきます。


2種類のそばに舌鼓を打っていると、本日のお目当てである「そばがき」(税込900円)が運ばれてきました。お盆には甘めのしょうゆと、わさびが添えられています。


フタをパカリ。器の中には「そばがき」のかたまりがドスンと鎮座し、湯気が漂っています。湯気からはそば湯の甘い匂いを感じます。


そばがきは「そばの先祖」と呼ばれることもある料理で、そば粉に水やお湯を加え、加熱しながらかき混ぜて粘り気を出して塊状にしたもの。このお店のそばがきは、つなぎなどを一切加えないそば100%のものだということでした。


箸を入れてそばがきをカット。お餅のような手応えがありますが、そのままスルスルとカンタンにカットすることができました。


箸で持つと「ズシリ」と詰まった重さを感じます。甘口のしょうゆにつけ、わさびを乗せてパクリと食べると、モッチリとした食感でありながら、そばらしいザラリとした食感が新鮮。こちらも、そばらしい風味がふわりと感じられつつ、麺のそばにはないボリューム感が印象的な一品でした。わかりやすくいうと「もうこれだけでお腹いっぱいです」というぐらいのボリューム感。それでもやはり「そば」なのか、まったく重さは感じられないのが印象的でした。


そば三昧を楽しんだラストに、「そばデザート」でお口をリフレッシュ。白いムースのようなクリームの上に、パイナップルが二切れ載せられていました。


まずはクリームをパクリ。思わず顔を上げて「!?」と声にならない表情を浮かべてしまいました。スイートなデザートでありながら、その風味はほのかにそば仕立て。これはもちろんそば粉を入れてミックスした生地によるもので、ミルキーで優しい甘さの中に感じる、少しザラリとした舌触りも、そばそのものです。


パイナップルと一緒に食べても乙なもの。酸味とミルクの甘さでシアワセを感じる瞬間でした。


締めには、そばつゆをそば湯で割って最後までそばを堪能。食べている時に感じた「つゆ」の味の違いですが、そば湯で割ることでさらにその風味が増したように感じられます。これは機会があったらぜひ試してみるべきレベル。


そばを味わい尽くしてお店を出ようとすると、おみやげ用にそば茶やしょうゆ、そば粉を使ったお菓子などが売られているのに気がつきました。また、新宅本店ではこの地域の地酒を扱っており、店内でそばと一緒に飲むこともできるようになっていました。


「新宅本店・黄色いのれん」の営業時間は11時から売り切れまで。12月から3月の期間は開店時間が12時と少し遅くなるので注意が必要です。定休日は不定で、さらに冬期は雪のために臨時休業することもあるとのことなので、お店を訪れる前には一度電話で確認してもらったほうがよいとのことでした。

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in 試食, Posted by darkhorse_log

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