サイエンス

NASAが作成した月面人工物の地図「Human Artifacts on the Moon」

By Jason Major

地球から遠く離れた月の調査・開発には、1969年7月に「アポロ11号計画」でアームストロング船長が人類初の足跡をつけてから44年、さかのぼって1959年2月に当時のソビエト連邦の「ルナ2号」を表面に衝突させることで史上初の人工物を送り込んでからだと54年の歴史があります。アメリカ・NASAは、これまでに人類が月へと送り込んだ人工物が現存する位置を示した地図を作成してウェブサイト上で公開しています。

Human Artifacts on the Moon
http://history.nasa.gov/humanartifacts.html

月面に存在する人工物を図示したマップがこちら。マップ上下の「極」部分にはあまり多くが存在せず、低緯度でより平坦度の高い月の海に多くが分布している様子がわかります。(クリックで元ページを表示:約3MB)

Map All Artifacts


拡大してみると、1959年に衝突に成功したソビエトの「ルナ2号(LUNA 2)」の衝突地点、1969年に人類の着陸に成功した「アポロ11号(APOLLO 11)」の着陸地点、そして日本が打ち上げて「2重月スイングバイ」など高度な技術を実験した宇宙工学実験探査機の「ひてん」が1993年に衝突して最期を遂げた場所などが示されています。


それぞれの地点の円は、アメリカ、ソビエト、中国、日本、ESA(欧州宇宙機関)、インドなどの国や機関によって色分けされています。


宇宙開発をめぐっては、国家・民間の両面からのアプローチが進められており、月面へのアクセスも今後はさらに身近になってくるものと予想されています。NASAでは「月へのアクセス性が高まる状況において、現存する人工物を保護することは歴史的、科学的価値の面において重要さを増してきています」とし、その最初のステップとして、物体の詳細な所在位置とその内容をまとめたマップを作成しています。

上記のマップ以外にも、アメリカによる人工物だけのマップも公開。
Map U.S. Artifacts


アポロ計画にまつわるものだけを集めたマップや……
Map Apollo Artifacts Only


ソビエトだけのマップも公開されています。
Map Soviet Artifacts


また、より詳細に内訳を示したリストも公開。単に「衛星」や「ロケットエンジン」だけでなく、「生命維持装置(PLSS)」や「カメラ」「酸素用バクテリアフィルター」といった細かいアイテムまでもが網羅されているのが驚き。なかにはアポロ11号の「旗のセット」というものも含まれています。

(PDFファイル)FINAL Catalogue of Manmade Material on the Moon - FINAL Catalogue of Manmade Material on the Moon.pdf


このように、人類の月面開発の歴史にまつわる貴重な遺産物をまとめたマップと地図となっていました。アポロの月面着陸をめぐっては陰謀・ねつ造論も存在していますが、これらの資料を見る限り月面へ人類が到達したのは間違いのないことと言えそうです。

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in サイエンス, Posted by darkhorse_log

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