世界最高データ伝送速度255Tbpsを実現したファイバーケーブルは1TBのデータをわずか31ミリ秒で転送可能
オランダのアイントホーフェン工科大学、アメリカのセントラルフロリダ大学および中国の天津大学の技術者たちで構成された研究チームが1本の光ファイバーケーブルで世界最速となる毎秒255テラビットを達成し、既存の光ファイバーケーブルに取って代わる可能性を秘めています。
Ultra-high-density spatial division multiplexing with a few-mode multicore fibre : Nature Photonics : Nature Publishing Group
http://www.nature.com/nphoton/journal/vaop/ncurrent/full/nphoton.2014.243.html
255Tbps: World’s fastest network could carry all of the internet’s traffic on a single fiber | ExtremeTech
http://www.extremetech.com/extreme/192929-255tbps-worlds-fastest-network-could-carry-all-the-internet-traffic-single-fiber
毎秒255テラビットというのは毎秒32テラバイトと同等であり、1GBのファイルを31.25マイクロ秒で、1TBのハードディスクに保存されているデータなら31ミリ秒で転送することが可能です。また、毎秒255テラビットは大西洋に敷き詰められた100本以上のケーブルの総伝送容量よりも優れているそうです。
更に言えば、ピーク時におけるインターネットのトラフィックの総計と同等、もしくはそれ以上を1本の光ファイバーでまかなえるのが毎秒255テラビットという速度で、既存のものと比べてすさまじく速いということが分かります。どのようにしてぶっちぎりで世界最速のファイバーケーブルを開発したのかというと、その秘密はマルチコアファイバーにありました。
By Joe Penniston
普及している光ファイバーには、光の通り道となるコアが1つしかないシングルコアファイバーが使用されています。1本の光ファイバーケーブルに異なった複数の波長の光信号を発信する「光波長多重通信(WDM)」を使用すれば伝送容量を大幅に増加させられますが、それでも限界があるとのこと。
マルチコアファイバーは複数のコアから構成されていて、シングルコアより伝送容量を大きくすることができるというもの。合同研究チームが使用したのはケーブルに7つのコアをまとめたFew-modeのマルチコアファイバー。合同研究チームは50のキャリアで構成されたマルチコアファイバーを用いて、空間分割多重化技術使い1キャリア当たり5.1テラビットを達成し、マルチコアファイバー1本で毎秒255テラビットを実現しました。
毎秒255テラビットを可能にしたマルチコアファイバーの長さは約1km。世界最速を実現したものの、普及しているシングルコアファイバーと置き換えるには想像できないくらいの労力と時間が伴うことや、マルチコア接続に対応した新しいハードウェア・ルーティングが必要になることを考慮すると、255Tbpsが実現するのはまだまだ先ということになります。
・関連記事
世界中に張り巡らされている海底ケーブルの詳細な図 - GIGAZINE
インターネットを支える海底ケーブルを巡る知られざる盗聴戦争とは? - GIGAZINE
総工費360億円、23Tbpsで通信が可能な全長9000kmの光海底ケーブル「SJC」の製造工場&敷設船見学レポート - GIGAZINE
海底ケーブルを流れる情報が傍受されて諜報機関に売られていることが判明 - GIGAZINE
インターネットを支える光ファイバーケーブルを海岸から陸揚げする現場潜入レポート、これが日本と東南アジアを結ぶ巨大海底光ファイバー網「SJC」だ! - GIGAZINE
KDDIやGoogleなどが日米間の光海底ケーブルを敷設、YouTubeの転送量増大の影響も - GIGAZINE
北極海を横断する海底光ファイバーケーブル敷設で東京ロンドン間の通信速度改善へ - GIGAZINE
・関連コンテンツ