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自転車専用レーンを設けると、交通事故が減り車の交通状況も改善される

By John St John

自転車は小回りが利くのでちょっとした移動にはとても便利な乗り物ですが、道路交通法の改正により日本では自転車を自由に乗り回せるのは道路左側路側だけになっています。ルールを守って走っていても、狭い道路だと横を通りすぎる車との距離感が近すぎてどうにも落ち着かなかったりと、安全安心に走ることができる場所というのは意外と少ないもの。そんな中、自転車が快適に走れるようにと「自転車専用レーン」を設けたニューヨークでは、自転車に乗りやすくなっただけでなく、自転車関連の交通事故が減少したり車の交通状況も改善されたりと良いことずくめであったことが調査により判明しています。

Bike lanes have actually sped up car traffic in New York City - Vox
http://www.vox.com/2014/9/8/6121129/bike-lanes-traffic-new-york


2007年以来、ニューヨークでは31マイル(約50キロメートル)分の自転車専用レーンが整備されています。ニューヨークが自転車専用レーンを設置した理由は単純で、都市部でもより快適に自転車に乗ることができるようにするためです。この専用レーンは駐停車車両や縁石によって物理的に自動車から隔離されているため、市民はより快適に自転車に乗れるようになりました。

ニューヨーク市の運輸局がこの物理的に保護された自転車専用レーンについての調査を行ったところ、「都市部でも快適に自転車に乗ってもらう」という当初の目的以外に、多くの利点を専用レーンが生み出していることに気づいたそうです。例えば、マンハッタンにあるいくつかの道路では、自転車専用レーンを設置したおかげで、車の平均走行速度が上昇したことが判明していたり、自転車乗りが交通事故でケガをする割合も減少していたりするわけですが、自転車専用レーンがどのようにニューヨーク内の交通状況を改善したのでしょうか。

◆自動車専用レーンを設置すると車の交通事情はどう変わるのか?
2010年と2011年に、実際に自転車専用レーンを設置した長い直線道路での車のスピード調査が行われました。調査によると、8番通りで11ブロック分の距離を移動するのにかかる平均時間は、自転車専用レーン設置後に14%も減少したそうで、さらに細かい時間帯ごとの平均移動時間を比較してみると以下の図のようになります。緑色と青色のバーは8番通りで11ブロック分の距離を移動する際にかかる平均移動時間を表しており、緑は設置前の平均移動時間、青は設置後の平均移動時間です。どの時間帯でも交通状況が改善されて車がよりスムーズに走れるようになったことが分かります。


同じように、自転車専用レーンを設置した他の比較的長い直線道路でも車の平均走行速度が速くなっていることが分かりました。しかし、その他の自転車専用レーンが設置された道路では、専用レーン設置前後で車の平均走行速度にほとんど変化がないことも分かっています。つまり、広範囲に自転車専用レーンを設けても車の走行速度に大きな影響を与えないことが分かり、特定の道路ではむしろ車の平均走行速度を上げることも可能であることが判明した、というわけです。

◆自転車専用レーンが設置されるとなぜ一部の道路で車の平均速度が上がるのか?
ニューヨーク運輸局がコロンブス通りの交通量調査をしたところ、自転車専用レーン設置前後で車の交通量に大きな変化はありませんでした。しかし、この通りを通行するのにかかる時間は、専用レーン設置後に35%も減少しています。

自転車専用レーンがコロンブス通りの交通事情を改善できた理由のひとつは、専用レーンを設置する際に「自動車走行車線をひとつなくす」ということをしなかったためです。専用レーンを作るためのスペースを生むため、通常ならば車線をひとつ削るところですが、ここでは各車線を少しずつ狭くすることで自転車専用レーンを作るためのスペースを確保したので、車が通行可能な量は変わらなかったわけです。


さらに、交差点付近では駐車用レーンを左折用のレーンにすることで、左折したい車が直進する車の交通の妨げにならないようになり、より効率的に車が道路を流れる様になったそうです。


◆自転車専用レーンによる交通事故数の変化
ニューヨークでは、直進する自転車と左折する車による接触事故はほとんどありません。これは、自転車と車にそれぞれ別々の方向指示信号が用意されているから、とのこと。

以下のグラフは自転車専用レーン設置前(緑)と設置後(青)の事故件数を、事故の種類別にわけてまとめたものです。左から「衝突事故による怪我」「自動車の乗員の怪我」「歩行者の怪我」「自転車利用者の怪我」「全ての怪我」を表しており、グラフ上部の%が専用レーン設置前後で何%事故数が減少したのかを表しています。交通事故数のトータルで見ると、専用レーンの設置で事故件数は約20%も減少しており、これだけみても専用レーンを設置する意義は十分あるように感じます。


以下の図はニューヨーク運輸局の算出した「ニューヨーク市における自転車利用のリスク」です。これは自転車乗りが死亡もしくは大けがをする可能性がどれだけ変化したのかを表したグラフで、道路によってはリスクが半分以下になっているところもあります。


調査結果は自転車専用レーンの設置で車の運転が不便になったりすることはなく、むしろ一部の道路では交通状況が改善されるであろうことを示唆しています。

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in メモ, Posted by logu_ii

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