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最高裁が下級審を支持するか覆すかを高精度で予想できるアルゴリズムが開発される


日本を含む多くの国では三審制が採られており、下級審の判断の是非は終局的には最高裁判所が決定する権限を持っています。このため最高裁の判断には訴訟当事者のみならず多くの関係者の注目が集まるものなのですが、最高裁が下級審の判断を支持するのか覆すのかを高確率で予測できるアルゴリズムの開発が進んでいます。

The Next Evolution of SCOTUS Predictions: Predicting 7,000 Cases Over 60 Years with 71% Accuracy | Josh Blackman's Blog
http://joshblackman.com/blog/2014/07/29/the-next-evolution-of-scotus-predictions-predicting-7000-cases-over-60-years-with-71-accuracy/

アメリカでは、メジャーリーグ(MLB)の好きな選手を選んで架空のチームを作り、選んだ選手の成績をポイント化してその得点数を競い合うという「Fantasy Sport(ファンタジースポーツ)」が盛んで、オンラインで得点を競い合う大会などが開催され、多くのファンが日々、その鑑識眼を競っています。なお、かつて日本でもブームになった競馬のペーパーオーナーゲームなどもファンタジースポーツの一種です。

MLBやNFLなどを題材にしたファンタジースポーツが人気となり、オンラインで世界中の対戦相手と競い合うことのできるサイトが数多く運営されている中で、「FantasySCOTUS」は、アメリカ合衆国最高裁判所の下す判決結果をファンタジースポーツのネタにするという異色のサイトで根強いファンがいることで知られています。

そのFantasySCOTUSを運営するジョシュ・ブラックマン氏が自身のブログで、過去60年間に出された最高裁判所裁判官の判断を、71%の高精度で予測出来るアルゴリズムの開発に成功したことを発表しています。


ブラックマン氏がダニエル・マーティン・カッツ氏、マイケル・J・ボマーリート氏と共同で開発したこのアルゴリズムでは、たくさんの選択肢(決定木)を生成して多数決をとる「Random Forest」という機械学習アルゴリズムの一種である「Extremely Randomized Trees」と呼ばれるアルゴリズムを採用しているとのこと。なお、このアルゴリズムのソースコードはここで公開されています。

mjbommar/scotus-predict · GitHub
https://github.com/mjbommar/scotus-predict


このアルゴリズムは最高裁判事がどのような判断を下すのかについて、その判決以前の下級審や最高裁の判例および裁判官の投票データを分析することで1953年以降の2623の最高裁判例の結果を予測したところ、判決内容については69.7%、各最高裁判事の投票結果については70.9%という精度で的中させることに成功したとのこと。

これは、各年ごとの判決内容に関する予測的中率を表したグラフ。年によって多少のばらつきはあるものの、およそ7割という的中率を維持しています。


また、最高裁判事ごとの予測的中率をヒートマップ形式で示したグラフがこれ。ドットは緑色に近いほど正解率が高いことを示しています。ブラックマン氏によると、Harlan判事、Frankfurter判事、Burton判事の判断は比較的、予測するのが難しいとのこと。


なお、過去の最高裁判事の行動を高い精度で予測出来るアルゴリズムを開発したブラックマン氏は、当然のようにこれから先の将来に下される最高裁判決への予測に強い関心を持っているとのこと。そこで、ブラックマン氏は自身のブログで、近々、最高裁の判決結果を予測するアルゴリズムによる選手権大会(トーナメント)の開催をぶち上げており、自身が作成したアルゴリズムへの挑戦者を絶賛募集中です。

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in メモ,   ソフトウェア, Posted by darkhorse_log

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