「WebKit」と「Blink」の開発が分岐する前後の状況をまとめたグラフ
Google ChromeはかつてAppleのウェブブラウザ・Safariと同じHTMLレンダリングエンジンのWebKitを使用していましたが、Chrome 28からエンジンを「Blink」に変更しました。WebKitはオープンソースでしたが、AppleとGoogleの開発方針が対立したことからBlinkがフォーク(分岐)したもの。このフォークはそれぞれのエンジンにどのような影響を与えたのか、まとめたグラフが制作されています。
One year of Blink and WebKit
http://browserg.nom.es/
HTMLレンダリングエンジンは、HTMLやCSS、JavaScriptなど、ウェブページを表示するための記述用言語を解釈して、実際に画面に文字や画像を表示するためのプログラムであり、ウェブブラウザの心臓部分といえる部分。1998年に開発された「KHTML」というHTMLレンダリングエンジンをAppleがSafari向けにフォークしたのがWebKitで、このWebKitを用いて作られたオープンソースのウェブブラウザが「Chromium」であり、Google ChromeはChromiumをもとにして誕生しています。
以下のグラフは、両ブラウザのコミット数を積み上げグラフで表したもの。2013年4月のところに縦の破線が入っていますが、これは4月3日にBlinkが分かれた点を示しています。以後のコミット数はBlinkの方が多め。AppleとGoogleはWebKitを“共同開発”していたと言えますが、Google陣営の方がコミット数が多かったのでフォーク後もその傾向が続いています。なお、「core」の部分はSource/WebCoreやSource/WTFのように共通でシェアされているコードのことを指します。
フォーク前後のApple・Google両陣営のコミット数を比較したグラフがこちら。Google陣営は常にApple陣営よりもコミット数が多いのが特徴的。
プログラムコードの行数を比較したグラフがこちら。破線で示されるフォーク時には、AppleとGoogleの両陣営が互いに自身には関係ないコードを大幅に削除したためにグラフの減少が見られますが、それ以降はごく緩やかに増加の傾向を示していることも見てとれます。
フォーク後のコミット数をコントリビューター(貢献者)ごとにグラフにするとこんな感じ。最も左のGoogleと、正反対に位置するAppleの貢献度が突出している様子が見てとれます。両者の次に大きなコントリビューターであるSamsungは、ややGoogle寄りながらも両方に貢献している様子。2013年7月からBlinkを採用しているOperaは突出してBlinkへの貢献が目立っています。
また、フォーク後に両エンジンに施された主な修正点の件数を分類して面積で表したのが以下のグラフ。
ソース元でのグラフはsvg形式で描かれたものとなっているので、このキーワードにビビッときた人は見にいっても面白いかも。
なお、Googleは6月3日に64ビット版Google Chromeのcanary(カナリアビルド)版とdev(開発チャンネル)版がダウンロード可能になったことを発表しました。安定版とは異なり開発途中のバージョンのために動作が不安定な場合があるので、ダウンロードと利用はその点を理解した上で自己責任において実行してください。
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