Googleが新レンダリングエンジン「Blink」発表、Mozillaはモバイル向けエンジン「Servo」発表
By Steven Laurie
Googleが新しいレンダリングエンジン「Blink」の開発を発表しました。GoogleのブラウザGoogle ChromeではHTMLのレンダリングエンジンとしてWebKitを使用していますが、BlinkはこのWebKitからフォークするものとなります。
また、同日発表となりましたが、Firefoxを開発しているMozillaも新レンダリングエンジン「Servo」を発表しています。
Blink - The Chromium Projects
http://www.chromium.org/blink
Chromium Blog: Blink: A rendering engine for the Chromium project
http://blog.chromium.org/2013/04/blink-rendering-engine-for-chromium.html
Chromium プロジェクトの新しいレンダリングエンジン Blink のご紹介 - Google Japan Developer Relations Blog
http://googledevjp.blogspot.jp/2013/04/chromium-blink.html
HTMLレンダリングエンジンは、HTMLやCSS、JavaScriptなど、ウェブページを表示するための記述用言語を解釈して、実際に画面に文字や画像を表示するためのプログラムであり、ウェブブラウザの心臓部分といえます。
たとえばInternetExplorerの場合はTrident、Mozilla FirefoxはGeckoが用いられていて、SleipnirのようにWebKitとTridentの2つを搭載して切り替えることができるというものもあります。
Google Chromeが採用しているのはWebkitというレンダリングエンジンで、これはもともと1998年に開発されたKHTMLというエンジンを、AppleがSafari向けにフォークして開発したもの。「フォーク」とは、既存のソフトウェアのソースコードから分岐して新しく独立したソフトウェアを開発することで、LinuxのディストリビューションでいえばほとんどのものがDebian・Red Hat・Slackwareのどれかを起源としてフォークし広がっていったものです。
このWebKitを用いて作られたオープンソースのウェブブラウザが「Chromium」。Google ChromeはChromiumをもとにして誕生しています。
Googleによれば、ChromiumはほかのWebKitベースのブラウザとは違ってマルチプロセスアーキテクチャを採用しているためにプロジェクトが複雑化し、ここ数年で開発の速度が低下していました。そのために、新しくWebKitベースの新しいオープンソースレンダリングエンジンを開発することにしたというわけです。
「新しいレンダリングエンジンの登場はウェブに多大な影響を与えるであろうことは明白」としながらも、Googleは、複数のレンダリングエンジンが存在することでイノベーションが促進されて、長期的な“オープンウェブ生態系”の健全化につながると確信しているとのこと。
Google Chromeは今後、このBlinkエンジンを搭載する形になりますが、このほかに独自エンジン開発をやめてWebKit+V8エンジン以降を発表したOperaもBlinkに移行する模様です。
mozilla/servo · GitHub
https://github.com/mozilla/servo
一方、Mozillaが発表したServoはAndroid・ARM端末向けのレンダリングエンジンで、Samsung電子との提携で開発されたもの。現在、FirefoxのレンダリングエンジンはGeckoを採用していますが、今後のモバイル版FirefoxがServoを採用するかどうかは明らかになっていません。
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