史上初のチューリングテスト合格者「Eugene」はテストに合格していないと著名な専門家たちが指摘

By Constantine Belias

チューリングテストの考案者であるアラン・チューリング博士の没後60周年にあたる2014年6月8日にレディング大学で開催された「Turing Test 2014」においてコンピュータ「Eugene(ユージーン)」が史上初めてチューリングテストに合格したと話題になりましたが、この快挙に対して「チューリングテストに合格したとは認めがたい」という反論が、著名なコンピュータ専門家たちから噴出しています。

Response by Ray Kurzweil to the announcement of chatbot Eugene Goostman passing the Turing test | KurzweilAI
http://www.kurzweilai.net/response-by-ray-kurzweil-to-the-announcement-of-chatbot-eugene-goostman-passing-the-turing-test

What Comes After the Turing Test? : The New Yorker
http://www.newyorker.com/online/blogs/elements/2014/06/failing-the-turing-test.html

文章音声読み上げマシン「カーツワイル朗読機」を発明したことで知られる人工知能研究の権威・レイ・カーツワイル博士は、Eugeneを「コンピュータではなくボットに過ぎない」と一蹴しています。まず、カーツワイル博士は、今回行われたチューリングテストの試験の方法について疑問を呈しています。Turing Test 2014を主催したレディング大学のケビン・ワーウィック副学長が「今回の試験は、テーマや質問に制限を加えていない非常に厳格なもの」と述べている点について、カーツワイル博士は「まず、Eugeneが想定していた『ウクライナ在住の13歳のユージーン・グーツマン少年で、英語を母語としていないためネイティブな英語を使えない』という設定自体が判定者の問答における『制限』以外の何物でもない」と指摘しています。


さらに、試験時間が5分間という短い時間に限定されていた点について、「このような短い時間なら、素朴で騙されやすい判定者を欺くことは十分に可能です」と述べています。実際に、カーツワイル博士はEugeneとオンラインで会話をしたところ、「まったく感銘を受けませんでした。それは、ユージーン君が会話をまったく追従していないからです。彼は、自分の言葉を繰り返すだけで、これは無関係な発言を繰り返すという典型的なチャットボットの特徴です」と話しています。

また、ニューヨーク大学で認知科学を教えるゲイリー・マーカス教授は、Eugeneを「革新的なハードウェアではなく巧妙にコーディングされた単なるソフトウェア」という評価を与えています。マーカス博士は、「チャットボットには、自分が理解できない質問に対してユーモアで返すことで巧妙に人を煙に巻くという特徴がある」と指摘した上で、Eugeneによる応答はまさしくこの種の技術であると指摘しています。マーカス博士は、「訓練されていない判定者はEugeneのユーモラスなwit(機転)をリアリティ(現実の人間)と勘違いしても仕方のないことですが、このようなチャットボットの傾向を理解していれば見抜くことはたやすいものです」と述べています。

By Thomas Hawk

カーツワイル博士とマーカス博士は、チューリングテストの存在によって人工知能の研究が発展してきており試験自体の意義はともに認めつつも、現時点において、一切の制限を取り除いた条件下においてチューリングテストに合格する人工知能は存在しないという点で意見が一致しているようです。

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