自分で横スクロールゲームを作れる「Pixel Press Floors」でゲームを自作してみたらこうなったレビュー
画面を左右に移動してクリアして行く「横スクロールゲーム」はテレビゲームの定番ジャンルの一つと言え、任天堂のマリオシリーズやSEGAのソニックシリーズなど数々の名作ゲームがこれまでに登場しています。そんな横スクロールゲームを、自分で紙に書いた手書きの状態からiPadやiPad miniで遊べるゲームとして作れてしまう無料アプリが「Pixel Press Floors」です。
Pixel Press | Draw your own video game.
http://projectpixelpress.com/
Pixel Press Floors on the App Store on iTunes
https://itunes.apple.com/us/app/pixel-press-floors/id847758409
◆Pixel Press Floorsってどんなゲーム?
Pixel Press Floorsでは横スクロール型のゲームで遊ぶことができるのですが、さらにそのゲームをゼロから自分で作り上げられることが大きな特徴です。
ゲームを作るのに必要なものは、紙とエンピツとiPad/iPad miniのみ。ネットからダウンロードできる専用の方眼用紙にエンピツなどを使って手書きでステージをデザインし、それをiPadなどのカメラで取り込むだけでゲームのステージができてしまいます。プログラミングの知識は一切必要なく、iPadに取り込んだステージはデザインや色、キャラクターの種類などを何回でも自由に変更することが可能です。
Pixel Press Floorsの起源となる「Pixel Press」は、2013年5月にクラウドファンディングサイトのKickstarterで出資の募集を開始し、約11万ドル(約1100万円)の資金を得て製品化が決定したゲーム作成ツールです。
誰でも手軽に無料でゲームを作ることができるようになっているPixel Press Floorsですが、その前にまずはどんなゲームを遊ぶことができるのかを見てみたいと思います。Pixel Press Floorsでは他のユーザーが作ったゲームをオンラインでダウンロードして遊ぶことができるので、どのような雰囲気なのかを探ってみました。
◆まずは遊んでみた
まずはApp StoreからPixel Press Floorsをインストール。対応している端末はiOS 7以上を搭載しているiPad Air、iPad(第3世代、第4世代)、iPad mini(Retinaディスプレイモデル)となっています。iPad 2とiPad mini(非Retinaモデル)でもプレイは可能ですが、カメラを使った取り込みは不可となっています。なお、iPhoneシリーズ版とiPod touchシリーズ版は近日リリース予定とのこと。
アプリを起動して、まずは「Play」をタップしてゲームをスタートしてみます。
端末がネットに繋がっている状態であれば、他のユーザーが作ってシェアしているステージのリストが表示されます。サムネイルの下に書かれている「Plays」は、そのゲームが遊ばれた回数を示しているので、一番多そうなステージをタップして遊んでみましました。
ステージをタップすると、ゲームの詳細が表示されました。作成日やプレイされた回数、ハイスコアなどが表示されています。
画面左上のイラストをタップすると、拡大して手書きの図面を表示することが可能。
もとは手書きの状態だった図面がゲームのステージとして完成し、この中でプレイすることができるようになっています。
ではさっそくプレイしてみます。一つ前の画面に戻り、「Play」をタップ。
実際にプレイしてみたのが以下のムービー。よくできた一般的な横スクロール系ゲームといった感じですが、これが全て一般ユーザーの自作によるものというのがポイントです。
「Pixel Press Floors」で遊んでみました - YouTube
ゲームスタート。主人公の目的は、コインを集めながら3つあるフロアを最後まで進むことです。キャラクターの操作は画面の左下に表示されている十字キーと右下にある「A」「B」ボタンを使います。
Aボタンでジャンプ。Bボタンで攻撃するあたりは、一般的な横スクロールゲームとも似た操作方法。ジャンプ中にもう一度Aボタンを押すと、2段階でジャンプできるようになっています。なお、Bダッシュはなく、方向ボタンを押し続けることでダッシュします。
各フロアには次のフロアに進むためのゲートのようなものが配置されています。このゲートに飛び込むと……
2つめのフロアに進みました。
こちらのドアは、同じフロア内をワープするドア。三角形の表示をヒントに十字ボタンの上を押すと……
右下のドアにワープしました。
このように、行く手が阻まれている時もあります。キャラクターの目の前にあるバクダンをゲットして……
画面右下に表示された水色のボタンを押すと、バクダンに点火されました。そして数秒後……
「ボボボボ」という音とともに、行く手を阻んでいたブロックが破壊されていきます。
ブロックがなくなって通路が完成。このようにして次々にステージを進めていく、というゲームになっています。
そして3つめのフロアの最後まで来ました。このゲートをくぐると……
「WIN」と表示され、無事にステージを全てクリアということになりました。
ゲームスタートからゴールまで早いものだと3分程度、工夫が凝らされているものだと10分ぐらいかかることもあり、いろいろな人が凝らした工夫を楽しむことができる仕組みになっています。
◆ステージを作ってみる
そしてもちろん、Pixel Press Floorsは自分でもステージを作ることができるのが面白いところ。さっそく自作のオリジナルステージを作ってみることにします。用意するのは、ステージ設計用の方眼用紙と筆記用具、そしてPixel Press FloorsがインストールされたiPadだけ。
方眼用紙はサイト内からPDFファイルをダウンロードできるので、自宅のプリンターで印刷するだけでOKです。
基本的に、ステージは左から右へ、下から上へと進むようになっています。方眼用紙の左下にはスタート位置を示す「FLOOR 1 START」と記載されており……
一番右上には「FLOOR 3 END」と書かれています。
ステージ設計のスケッチガイドをここからダウンロードしておけば、実際に書き入れていく際の参考になります。
方眼用紙の1マスがキャラクターの大きさとなっており、3マス以上歩くと自動的にダッシュ状態に入ります。Aボタンを1回押すと3マスの高さまでジャンプし、ジャンプ中にもう一度Aボタンを押すことでさらに3マス分ジャンプすることが可能。ダッシュ中のジャンプ距離は4マス分となっています。
ステージ内にブロックやコイン、障害物などの「エレメント」を配置するのも、以下の記号を方眼用紙に記入するだけ。
エレメントの種類は全部で14個。左列には「地面・ブロック」「はしご」「ぶらさがり棒」「コイン」「落とし床」「爆破できるブロック」「わな・火の玉」、右列には「動く床」「ワープドア」「パワーupアイテム」「スーパーコイン」「スパイク(接触するとダメージ)」「フロアスタート・ゴール位置」「鍵」が並んでおり、これらを組み合わせてステージを作って行きます。スタート・ゴール地点とスーパーコインは各フロアに1個ずつしか配置できませんが、それ以外のエレメントはいくつでも配置が可能です。
14個のエレメントを全て盛り込んだサンプルステージがこちら。実際に作ってみたときのイメージをつかみやすそうです。
というわけで、エンピツ片手にステージ設計の開始です。普段はプレイする側のゲームも、いざ自分で設計するとなると意外と難しいものですが、なんだかワクワク。
ウンウンと唸りながら、なんとか3フロアとも記入完了。
こんな感じででき上がった方眼用紙を、iPadのカメラで取り込んでいきます。
取り込みを開始するためには、ホーム画面で「Create」をタップ。
iPadの背面カメラが起動されるので、方眼用紙を画面いっぱいに写るように調節して取り込みます。用紙に6か所設けられている識別用のマークが目印になります。このとき、iPadと用紙の角度を水平にするのがポイント。
実際に取り込んで処理が完了するまでの流れはこんな感じ。手書きのステージが解析されてデータに変換されていく様子には、妙な感動すら覚えるほどでした。
Pixel Press Floorsで自作したステージを取り込んでみた - YouTube
ほどなくして、読み込みが完了。
ところどころ線が途切れるなど、この段階ではまだうまく認識されていない部分があるので、今度はiPadの画面上で修正作業を行います。
画面下にあるペンツールをタップし、指で画面をなぞって、線を追加したい場所に書き込んでいきます。
エレメント用のボタンをタップして画面を触ると、その場所にエレメントが追加されます。
ある程度修正ができたら、画面上の「Design」ボタンをタップし、完成時のイメージを確認してみます。
まずは画面左下のアイコンをタップして、デザインのテーマを選択します。プリセット時に入っているのは「Save the Parents」と「Fiddleheads」の2つ。今回は「Fiddleheads」を選択してみます。
斜線の描かれたアイコン「Background」をタップすると、ゲームの背景画像を選択することが可能。
その右側にある「Terrain」では、画面のブロックなどの配色を変えることができます。
「Hazards」は、ウォーターハザードなどの色を変えることができ……
「Collectibles」は、コインのデザイン。
「Portals」はワープドアの形状。
「Music」ではBGMを選択することもできます。
そして「Heroes」では、自分が操るキャラクターのデザインが選択できます。
デザインをいろいろ変更してみたのがこちらのムービー。変更が即座に反映されるので、思い通りのデザインを作ることができます。
Pixel Press Floorsでステージのデザインを自由に変更 - YouTube
さらに、画面右下に表示されている「Define Portals」では、ワープドアの種類を変更して一方通行・相互通行などの設定が可能。
残る2つのゲーム作り込みアイテム「Define Enemies」「Define Power-Ups」は、それぞれ「Enemy Pack 1(税込100円)」、「Power-Up Pack(税込200円)」のアプリ内課金アイテムとなってるので、アプリ内で決済するか、Kickstarterで出資していた人はログインすることで各種アイテムをアンロックすることができます。
「Define Enemies」から敵キャラクターを選び、画面上に配置。
「Define Power-Ups」では、パワーupアイテムの種類を変更可能。初期状態ではバクダンしか選べないのですが、アイテムをアンロックしておけば「ジェットパック」や「時間ストップ」など、さまざまなアイテムを配置してゲームを作り込んでいくことができるようになります。
◆ステージ完成、そしてプレイしてみます
そんなこんなでiPadと格闘すること約30分、初めてのPixel Press Floorsのステージが完成しました!
さっそくプレイしてみた様子が以下のムービー。最初は手書きだったゲームがこうなるとは、しかもこれが基本的に無料で遊べるとは、正直に言ってビックリの仕上がりです。操作のレスポンスもよく、ストレスなくゲームを楽しむことができます。
Pixel Press Floorsの自作ステージをプレイしてみた - YouTube
自分で作ったステージは、サーバーにアップロードして世界中に公開することも可能です。
自分のステージが「Arcade」画面に表示され、他のプレイヤーのゲームと一緒に公開されていることがわかります。ここでは実際にプレイされた回数も表示されるので、自分のステージがどの程度人気があるのかを確認することもできます。
このように、Pixel Press Floorsはあらかじめ誰かが作ったステージをクリアしていくだけでなく、自分で思い通りのステージを作って世界に向けて公開するという、インターネットのメリットを生かしまくったゲームということができそうです。
古くはファミコン世代の人なら覚えている人も多い名作ゲームロードランナーの「オリジナルステージモード」や、近年ではリトルビッグプラネットに登場する「クリエイティブモード」などもオリジナルステージを作って公開することが可能ですが、Pixel Press Floorsはそんな機能をほぼ無料で実現できてしまうというアプリになっていました。
なお、今後はこのPixel Press Floorsのベースになっている「Pixel Pressプラットフォーム」を利用して「Pixel Press Quest」や「Pixel Press Tracks」といったゲームが2014年から2015年にかけてリリース予定となっているとのこと。気になる人はウェブサイトをチェックするか、アカウントを作成してメールアドレスと登録しておくとお知らせをもらえるようです。
The Pixel Press Platform - Pixel Press | Draw your own video game.
http://projectpixelpress.com/the-pixel-press-platform/
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