生き物

孵化するウミガメがメスばかりになってきている原因とは?

By deeje

ウミガメに関する最新の調査でオスに比べてメスの割合が高まっているという報告がされています。この傾向は今後も強まり、ウミガメの生存に大きな影響を与えかねないと予想されています。

Effects of rising temperature on the viability of an important sea turtle rookery : Nature Climate Change : Nature Publishing Group
http://www.nature.com/nclimate/journal/vaop/ncurrent/full/nclimate2236.html

Climate Change Is Turning All Sea Turtles Female | VICE United States
http://www.vice.com/read/climate-change-will-make-all-sea-turtles-female

科学誌Natureに掲載された論文で、生まれてくるウミガメはメスの比率が高まっていることが報告されています。研究者たちがウミガメの繁殖地である大西洋のカーボベルデ共和国の島々で卵からかえるウミガメを調査したところ、いずれの浜でも孵化したウミガメの多くがメスであることが確認され、最もオス・メスの割合の偏ったところでは全体の93.46%がメスであったとのこと。

研究調査によると、近年、ウミガメの個体数自体は増加傾向にあることが確認されていますが、このように生まれてくるメスの割合がオスの割合を圧倒的に上回っているという状態が続けば、約30年後からウミガメの個体数は減少し始め、100年後には危機的な状況を迎えかねないと考えられています。

By uccsbiology

「なぜメスのウミガメばかり生まれているのか?」という原因は地球温暖化にあると推察されています。人間のように性染色体によって性別が決まる遺伝性決定(GSD)の生き物と違って、カメは孵化時の環境温度によって性別が決まる温度依存性決定(TSD)という性決定を持っており、孵化するときの外界の温度が高いほどメスの割合が高まるという性質があるとのこと。カ氏84.2度(約29℃)がオス・メスが50:50で生まれてくる分岐ラインで、それよりも温度が高まるとメスが生まれる割合が増えるとされています。つまり、近年の地球温暖化によって砂浜の温度が上昇した結果、メスのウミガメが生まれる割合が高まっているというわけです。

By U.S. Fish and Wildlife Service Southeast Region

ウミガメなどのハ虫類の性決定がTSDである理由については、種全体のバランスを適正に保つため、近親交配を避けるため、など諸説ありますがまだ解明されていません。しかし、長い進化の過程で生き残ってきたウミガメも、気温の上昇が今後も続けば「生まれてくるのはメスばかり」という状況になり、あっという間に絶滅しかねないと危惧されています。

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in サイエンス,   生き物, Posted by darkhorse_log

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