ブラジルからチュニジアへのフライトのトランジットでモロッコに入国できた
フライトのトランジット(一時寄港)の時には搭乗口で大人しくしているものだと思っていました。空港の外に出ていいなんて、誰も教えてくれません。ですが、情報を集めてみたところ、時間とビザ(査証)の問題がなければ経由地にも入国してもよさそう……。百聞は一見にしかずと、ブラジルからモロッコ経由でチュニジアに向かう便で、13時間50分の待機時間があったので街に繰り出してみました。
こんにちは、自転車世界一周の周藤卓也@チャリダーマンです。南米脱出はロイヤルエアーモロッコが安く、5万9797円で済みました。ただし、トランジットで長時間待機しないといけないいつものフライトパターン。でも、今回は下調べをして、経由地のカサブランカで1泊してきました。ずっと気になっていた疑問が解決したので、まとめてみます。
◆航空券入手
アルゼンチンの首都ブエノスアイレスに滞在していた3月13日に、南米脱出のためのフライトチケットを押さえました。ブラジルのサンパウロまでは自転車で走る予定だったので、通常なら到着の目処をつけて手配をするのですが、安い航空券がなくなるのも困るので、4月29日の便を早めに予約。その結果、時間が足りなくてクリティバからサンパウロまではバスを使うことになりました。
2014年夏はイギリスからフランス、スイス、イタリア、チュニジアと走る予定だったので、ロンドンに飛ぶつもりでしたが、イギリスは不法滞在者が後を絶たないため入国審査が厳しく、日本人でも多数の入国拒否の事例があって意気消沈。第三国への航空券があるわけではなく、スタンプだらけで増補までしたパスポートでイギリスへ入国するのは危険だと判断し、終点の予定だったチュニジアへ移動してイギリスまで走ることにしました。
航空券はスカイスキャナーを使って、出発地「サンパウロ」・目的地「チュニス」・日時「4月29日」で検索。
一番安いのがロイヤルエアーモロッコの570ドル(約5万8000円)で、次はトルコ航空の1084ドル(約11万円)と2倍近い価格差です。時間を見つけてはフライトを探していたのですが、南米脱出はモロッコのカサブランカ経由が安いようで、ロンドンやミラノといったヨーロッパの都市へのフライトも同じような値段でした。
旅程を確認すると、乗り継ぎに13時間50分の待機時間が必要。
日本からカナダ・バンクーバーへのフライトを探すときにも使ったebookers.comを選択。以前にアカウントを保存していたので、入力がスムーズでした。
オンライン決済に進みます。こちらはポンドで引落されるので、為替手数料によってはexpedia.co.jpなど日本円で決済されるサイトがお得な気もするこの頃……。
カードの決済が通ると予約は完了。
Eメールでも、予約完了の確認が送られてきます。
◆ブラジル脱出
早朝のフライトだったので、前日にサンパウロ市内から30kmほど走って、郊外のグアルーリョス国際空港に到着。
アメリカ大陸縦断で自転車の旅も一区切りついたので、ブラジルでフロントキャリアを外して不要な荷物を送っています。
今回はプチプチの梱包材や黒のビニールシートといった資材を事前に準備出来ていたので、いつになく綺麗に梱包できました。
チェックインでチュニジア出国のチケットを要求されるアクシデントが発生しながらも、中東を回るフライトを予約していたので搭乗拒否は回避。同じ便でロンドンに飛ぶ日本人旅行者もいて、その人も同じことを言われていたのですが、並びなおすと別の係員がスムーズにチェックインを受け付けていました。その人はロンドンからミラノの航空券は予約していたものの、最初はEU圏を出る航空券を提示と言われたということ。搭乗者が入国拒否に遭うと航空会社が責任を負うらしいので、慎重になるのも分かりますが、自分はチュニジアの入国に何も言われませんでしたし、旅行者にとっても必要ない航空券の入手は負担は大きいですので、もっと何とかならないものかと思います。
◆モロッコ滞在
順調なフライトでモロッコのカサブランカにあるムハンマド5世国際空港に到着。首都はラバトですが、カサブランカがモロッコの最大都市なため、フラッグキャリアであるロイヤルエアーモロッコのハブ空港となっています。空港内ではトランジットエリアを案内されるのですが、空港の外に出られるか確認すると大丈夫のような感じ。これも空港の人には何がしたいかイマイチ伝わってなく、話を聞いていた外国人のバックパッカーが「私もトランジットでモロッコ入国する」と話してくれたので決断。モロッコのイミグレーションに向かいます。
これがまた長蛇の列で、一時間以上待たされました。
入国カードに必要事項を記入。
急いで両替を済ませて、かろうじて21時の列車に乗車。
40モロッコ・ディルハム(約500円)の乗車券。乗車中に車掌が切符を切ります。
「カサ・ボヤージュ(Casa Voyage)」の駅に到着。翌朝の列車を確認すると、6時7分に便があって事前に切符を購入。ここはカサブランカの中央駅で、事前に調べた情報でも朝の便があり、この近くで宿を探すことにしていました。
駅の周りで安宿を探したのですが約20ドル(約2000円)が最安値だったので、このような部屋に。
イスラム圏の宿には、お祈り際に手足を清めることもあって、トイレ・シャワー共同でも部屋に洗面台がついてたりします。
久しぶりに目にしたモロッコ通貨。
食堂でタジンを注文したのですが、尖った蓋のイメージと違いました。しかも味がしない。
明け方のカサ・ボヤージュ駅。
6時7分の列車に乗って、6時42分に空港駅に到着。
すでに搭乗券は持っているので、チェックイン窓口に行く必要はなく、出国審査とセキュリティチェックを済ませて搭乗口へ。
今回のトランジットで、パスポートに残ったモロッコ入出国のスタンプ。
いつもなら、この待合室でトランジットの時間を過ごしていました。
空港には多数のロイヤルエアーモロッコの飛行機が停留中。
イスラム国だけあって待合室に礼拝所が設けられています。
この飛行機に乗って、チュニジアへ。
このような感じでモロッコに滞在はできたものの、入国審査に時間を取られたので、夜10時前に着いた駅前は人気が少なく、そこから宿を探したので、残念ながら何も見ていません。ただ、やはりイスラム国は穏やかだなとは感じました。ブラジルのサンパウロは発展していますが、得体の知れない暴力的な落書きがあり、街には悪意を感じていました。モロッコの街が綺麗かと言われると、決してそうでもないですが、安心できる雰囲気はあります。これはチュニジアでも同様です。ただ、2011年始めにスペインからモロッコに入った時は、うろたえてばかりでしたが、旅を続けることによって見えてくることが変わってきたりと、そんなことを考えたモロッコでした。
今回の経由地となったカサブランカの空港は、鉄道のアクセスがあって計画が立てやすかったです。鉄道の時刻表もインターネットで調べることができました。もしもの時はタクシーを使うつもりでしたが、計画通りに進みました。
ムハマンド5世国際空港へのアクセスがあるモロッコ国鉄(ONCF)のページはこんな感じ。
カサ・ボヤージュから空港までの時刻表。ただし、現地では朝3時と4時の便は聞かなかったので、インターネットでは全てを把握することはできないかもしれません。
◆チュニジア到着
記念すべき100カ国目がチュニジアになりました。
チュニジアはアフリカに間違いはないのですが、それよりはアラブの世界を感じています。チュニジアを挟むアルジェリアとリビアは観光ビザの取得が困難で、開かれている国境がイタリアとの航路のみと、旅行者にとって陸の孤島と化しているのもアフリカを感じない一因。旧植民地の関係もあってフランス語も通用するのですが、かつて西アフリカのフランス語圏に半年以上いたはずなのに、「これいくら」を意味する「コンビエン(Combien)」すら言えない始末。「15がキャーンズ(quinze)」というのに首を傾げるなど、あまりのフランス語能力に落ち込みましたが、徐々に慣らしていきます。スペイン語からも切り替えて、イエスは「シー(Si)」ではなく「ウィー(Oui)」、数字の8は「オーチョ(ocho)」ではなくて「ウイット(huit)」なのです。
空港で荷物をピックアップ。
自転車を組み立てて、チュニス市街地まで走ります。
チュニス・カルタゴ空港。
街中に残る立派な門。
繁華街に巨大広告。
路地裏の雑踏。
チュニスには街の至るところに猫さんがいるのです。
事前にインターネットでも情報を集めていたのですが、トランジットの時間を利用してモロッコに入国するのは可能でした。サンパウロで預けた荷物はチュニスで受取で、機内持ち込みの荷物だけ持って移動します。宿が一緒になった香港の旅行者も、トルコのイスタンブールに飛ぶまでの時間を利用して滞在と、旅慣れた方には当たり前かもしれませんが、何も知らない自分にとっては新鮮でした。このことを知っていたら、福岡からカナダに飛んだ際にも、経由地の台湾で外に出ていたかもしれません。
事前にビザ(査証)がいる国には注意が必要ですが、1回の移動で2つの国を楽しめるので、またどこかで機会があれば挑戦したいと思います。くれぐれも時間には余裕を持って、乗り継ぎの便に遅れないように。
(文・写真:周藤卓也@チャリダーマン
自転車世界一周取材中 http://shuutak.com
Twitter @shuutak)
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