スマートフォンのカメラを使って病気を診断する技術の開発が進行中
By Simon Yeo
道に迷ったときには地図代わりになり、暇な時にはゲームをしたり、ネットサーフィンしたりすることが可能なスマートフォンは便利な代物です。アメリカのヒューストン大学の研究チームは、スマートフォンでできる事をさらに増やそうと、スマートフォンのレンズを使って病気を診断できるシステムを開発中であることを発表しました。
Diagnosing Diseases With Smart Phones | UH Cullen College of Engineering
http://www.egr.uh.edu/news/201403/diagnosing-diseases-smart-phones
ヒューストン大学の研究チームが開発しているのは、スマートフォンと特製のレンズを使用して病気を診断するというもの。現在開発中であるレンズにはスライド・ガラスが搭載されていて、このスライド・ガラスを使って病原体の引き起こす科学的相互作用を検知可能になっています。
By Christopher
スライド・ガラスは光に対して敏感に反応する物質によってコーティングされていて、その上から何千もの小さな穴の空いた極薄の金色フィルターで包まれています。金色のフィルターのガラス側の表面には、特定のタンパク質などの分子を認識して結合する働きをもつ抗体が含まれていて、例えば、外部から細菌やウイルスなどの微生物が侵入してきた場合、抗体は侵入者を抗原と認識して結合します。
抗体が抗原と結合することで、フィルターの穴はほとんどふさがりますが、少しだけ隙間が残ります。そこで、今度は穴の中に含まれている抗体と、銀粒子を生成する酵素が抗原と反応して隙間を完全に閉鎖。穴がブロックされることで光はスライド・ガラスに届かず、病気に感染しているかどうかの診断が可能になるというわけです。
現在開発中であるレンズは価格が20ドル(約2040円)で、他の診断器具と比べると圧倒的に低価格。また、研究チームを率いるRichard Willson助教授によると、実現には多くの課題があるものの、実現すれば医療の現場で働く人の負担をかなり減らせるとのこと。例えば、工場などで重大な事故が発生した場合、医療チームはレンズを使って素早く診断を行い迅速な対応をできるようになり、その後の治療にも役立てることができます。
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