5000円スマートフォンの投入を示唆するMotorola+Googleが見据えるのはスマホの低価格戦争なのか?
179ドル(約1万9000円)のスマートフォン「Moto G」は、その低価格に見合わない高い性能もあって発売以来、販売が非常に好調です。そのMoto GをリリースしたMotorolaのCEOが、価格50ドル(約5200円)のスマートフォンの投入をほのめかしています。Motorolaとその親会社であるGoogleは低価格スマートフォン市場を重要視していく模様ですが、低価格市場開拓の裏にはどのような戦略があるのでしょうか?
Motorola confirms plans to launch £30 smartphone - News - Trusted Reviews
http://www.trustedreviews.com/news/motorola-confirms-plans-to-launch-30-smartphone
Motorola CEO criticises Apple over iPhone price - News - Trusted Reviews
http://www.trustedreviews.com/news/motorola-ceo-criticises-apple-over-iphone-price
The Official Motorola Blog: Goodbye Sticky. Hello Ara.
http://motorola-blog.blogspot.jp/2013/10/goodbye-sticky-hello-ara.html
Motorolaのデニス・ウッドサイドCEOは、Trusted Reviewsの取材に対して「Appleが初めてiPhoneを発売したときの価格は650ドル(約6万8000円)でしたが、現在もiPhoneの価格は650ドルのままです。スマートフォンの普及によって部品価格が大きく下落したにも関わらずです」とiPhoneを販売するAppleを批判しました。ウッドサイドCEOは、スマートフォンの部品価格は今後も下落すると予想しており、高性能・高品質なスマートフォンの価格も大きく変わるとの見解を明らかにしました。
◆低価格スマートフォン市場
このウッドサイドCEOの発言を体現するようにMotorolaはスマートフォンの販売戦略として「高性能かつ低価格」の路線を推し進めていくようです。Moto Gは、ハイスペックには届かない性能とはいえ性能低下を最小限に抑えつつ179ドル(約1万9000円)という価格を実現することで、低価格スマートフォン市場を切り拓く勢いで売れ続けています。
さらに、ウッドサイドCEOはTrusted Reviewsに対して、「Moto Gの成功によって179ドル(約1万9000円)以下のスマートフォン市場が巨大であることが分かりました。Motorolaは、今後、より低価格市場を重視していきます。スマートフォン価格を50ドル(約5200円)にできない理由はまったくありません」と話し、価格50ドルのスマートフォンのリリースをほのめかしたとのことです。
ウッドサイドCEOはどのような手法で激安スマートフォンをリリースするかの詳細については明らかにしませんでしたが、これまでのスマートフォンの最安価格はサムスン製Galaxy Pocketの75ドル(約7800円)であるため、実現すればスマートフォンの低価格記録を更新することになります。
◆高価格帯での戦略
Motorolaは、低価格路線とともに高価格機市場の開拓にも力を入れる予定であり、そこでは「カスタマイズ性」をウリにしていく方針です。ウッドサイドCEOは、「スマートフォンのカスタマイズといっても、ユーザーは外装の色と素材を選べるくらいにとどまっているのが現状で、画面サイズや性能まで細かくカスタマイズできません。せいぜい次のモデルを期待して待つくらいしか手段がありません」と話しており、ユーザーが自分好みにスマートフォンをより細かくカスタマイズできるよう豊富な選択肢を与えることで、高価格モデルを売り込む考えです。
Motorolaは、昨年、「Phonebloks」プロジェクトとタッグを組んで、スマートフォンにハードウェア・オープンプラットフォームを持ち込むプロジェクト「Project Ara」をスタートさせています。ウッドサイドCEOの強調する高いカスタマイズ性は、もしかするとこのProject Araによって実現されるのかもしれません。
Project Araの提唱する「オープンプラットフォームなハードウェアカスタマイズ」の様子は以下のムービーで確認できます。
Phonebloks - The next step - YouTube
◆Motorola+Googleが目指すもの
ウッドサイドCEOは、Motorolaがどのような手法で50ドル(約5200円)のスマートフォンを売り出せるのかについては詳細を語りませんでしたが、Project Araのカスタマイズ性の高さは大きなヒントかもしれません。なぜなら、Project Araが目指すのは自分好みのスマートフォン・カスタマイズであり高性能モデルだけを対象にしているわけではないからです。例えば、カメラもなし、音楽も聴けなくてよい、画面が小さいことも我慢する、ネット閲覧だけできればよい、というような割り切ったスタイルのスマートフォンもProject Araならカスタマイズ可能であり50ドル(約5200円)のモデルもあながち不可能ではないように思われます。
Project Araの理念には、ハードウェアにもオープンプラットフォームを持ち込むことでハードウェア開発のエコシステムを構築し、開発スピードや生産性を高めることで、より高性能で低価格なスマートフォンを実現することが挙げられています。いわば、スマートフォンのソフトウェア(OS)におけるAndroidプラットフォームと同じ事をハードウェアでも実現しようという試みだと言えます。
Motorolaの親会社はAndroid OSを生み出したGoogleであることから、GoogleはAndroid OSとProject Araによってスマートフォンをソフト・ハード両面でオープンプラットフォーム化することを目指しているとも考えられます。オープンプラットフォーム化によって、より高性能かつ低価格のスマートフォンを生み出すことは、発展途上国のスマートフォンの普及を促進し、インターネットアクセスへの敷居を下げデジタルデバイドを解消させることにつながり得ます。
インターネット広告による収入を主として成り立つGoogleとしては、世界中のすべての人にインターネットを利用してもらうことが会社の利益につながるのは明らか。そうであれば、スマートフォンの価格が下がり、より多くの人がスマートフォンを使えるような未来は願ってもないことであり、この世界をGoogleが目指すことは理にかなっていると言えます。
By JD Hancock
ハードウェアでの利益を度外視して、モバイル端末を時には赤字になるぐらいの低価格で販売する手法には、Google以外にもAmazonがKindleシリーズで参入しています。スマートフォンをネット世界の入り口と考え、その間口を広げようとする動きが今後加速するならば、ますますスマートフォン端末の価格競争は激しさを増していくのかもしれません。
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in メモ, モバイル, ハードウェア, Posted by darkhorse_log
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