映画

パトレイバー新作は押井守監督の完全オリジナル「THE NEXT GENERATION -PATLABOR-」


東京国際アニメフェア2013でプロジェクト開始が明らかになっていた機動警察パトレイバーの実写版プロジェクト「THE NEXT GENERATION -PATLABOR-」。2014年公開のこのプロジェクトの製作発表記者会見が、9月25日11時30分から行われました。このプロジェクトはマンガやアニメをリメイクしたのではない完全オリジナルの新作で、押井守監督が脚本も担当します。

THE NEXT GENERATION - PATLABOR -
http://patlabor-nextgeneration.com/



『機動警察パトレイバー』実写版プロジェクト『THE NEXT GENERATION -PATLABOR-』製作発表記者会見 - 2013/09/25 11:30開始 - ニコニコ生放送
http://live.nicovideo.jp/watch/lv152987420



会見会場に警報が鳴り響き……


「特車二課第二小隊、出動」の声と共に明るくなりました


そして走ってくるキャスト陣


レイバーの足元に勢揃い


左から、シバシゲオ役の千葉繁さん、カーシャ役の太田莉菜さん、塩原佑馬役の福士誠治さん、泉野明役の真野恵里菜さん、後藤田継次役の筧利夫さん。「泉野明」は以前の作品だと「いずみ のあ」でしたが、本作は「いずみの あきら」と読みます。


監督・脚本を担当するのは押井守さん(左)、右は「特車二課広報班」東北新社のコクボさん。


広報班からは以下の5点が発表されました。

◆製作経緯
「機動警察パトレイバー」シリーズは1988年以降、コミックやビデオ、映画、小説などメディアミックス展開を実施。世代を超えて多くのファンを獲得し、アニメ史に残るヒットを記録した作品。誕生から25年を経て、テレビ版や劇場版を監督した押井守さんを迎えて、世代交代した完全オリジナル新作で実写化することが決定。

20年前にも実写化構想はあったものの、当時は映像技術が追いつかず実現しなかった。現在はCGやVFX技術が進歩したので、実写化が可能になった。

◆設定とレイバーについて
登場人物が世代交代した3代目のオリジナル新作で、旧アニメのリメイクではない。時代設定は2013年。詳細はのちほど押井監督から。

レイバーについては、すでに多数の目撃情報がネットに上がっているように、全長8mの98式イングラム2体を製作した。1体はこの会場に立っているもので、もう1体はトランスポーターに載せられるレイバー。

◆作品フォーマットと公開方法
約48分のシリーズ全12話+0話と、約100分の長編作品1本を組み合わせる。公開は、まずシリーズ12話+0話を劇場上映用に全7章に構成し、2014年4月から新宿ピカデリーほか全国で順次イベント上映。2015年に長編作品の全国拡大ロードショーを予定。

◆総製作費
宣伝費を含めて20億円。

◆撮影期間
2013年6月27日クランクイン、撮影中。12月末クランクアップ予定。

発表されたスタッフは以下の通り。
監督・脚本:押井守
製作:東北新社、オムニバス・ジャパン
配給:松竹

スタッフ・キャストからのコメントと質疑応答は以下のような感じでした。

押井守:
おはようございます。ネットなどで取りざたされていたと思いますが、僕が例によって名前だけ出して逃げちゃうんじゃないかって、実は何にもしてないんじゃないかって。マジメに監督しております。労働時間も一番長いと思っています。総監督ということで、シリーズの監督と映画版の監督をやらせてもらっています。話すと長くなるのでこのぐらいにして、どうかよろしくお願いします。


真野恵里菜:
本日は足元の悪い中、ご足労いただきありがとうございます。泉野明(いずみのあきら)を演じさせていただく真野恵里菜です。パトレイバーは私が生まれる前に誕生していて、多くの方に愛されている作品ということで、今回、泉野明役をいただき、最初は不安でいっぱいだったんですけれど、こうしてこの役に出会えたのも何かのご縁だと思います。一生懸命頑張りますので、よろしくお願いします。


福士誠治:
塩原佑馬役の福士誠治です。役者として、警察の役もいろいろやってきましたが、こんなに勤務中にだらけた警察をやるのは初めてで、こんなにスケールの大きな作品に出会うのも初めてなので、監督と話し合いながらとても面白く作品を作っております。公開はまだ先ですが、皆さん応援していただけると嬉しいです。


太田莉菜:
カーシャ役の太田莉菜です。ロシアから特車二課にやってきた留学生で、陰険なロシア女という役どころです。現場でいつも特車二課をバカにして、整備員をたぶらかしたり、常にタバコを吸っていたりする、そういった楽しい役です。まだこれから先、撮影も続きますし、公開までは時間が空きますが、みなさん応援をよろしくお願いします。


千葉繁:
整備班長に昇格しました、シバシゲオ役の千葉繁です。……引きましたね?日々、まったく使えない部下たちと、理不尽極まりない上司と組織に翻弄されつつ、熱中症限界のところでハンガー内をかけずり回っております。この熱気がみなさんに伝わることを願って日々頑張っておりますので、ぜひ応援のほうをよろしくお願いします。


筧利夫:
私が言いたいことはただ一つ。私が隊長です、誰にも文句は言わせません!ニコ動を見ているみんな!!いっぱい呟いてくれたまえ!(一人ずつ紹介するように)泉野、佑馬、カーシャ、シゲさん、そして私が隊長です!どうぞよろしく御礼申し上げます!


Q:
今回のプロジェクトは3代目に世代交代した完全オリジナル新作とのことだが、「3代目」についてお伺いできますか?

押井:
企画の最初に考えたことは、どうやってアニメと違うことをやろうかということと同時に、アニメーションで25年付き合ってくれたファンとどう付き合っていこうかという、矛盾したことでした。その解決法、回答が3代目をやってみようということです。アニメーションで2代目までは出てるんですけれど……誰も覚えてないと思うけれど一瞬出たんです、顔も覚えてないかもしれませんが……3代目は、いろんな意味で、今の時代的なテーマをやれるのではないかと。

個性的な人が初代、無個性な2代目、そして3代目は「無能な3代目」といいますよね。自分の物語を持っていない、そういう連中の話を描くことで、同時代的なテーマにたどり着くのではないかと。隊員は3代目、隊長は2代目ですが、後藤田さんは後藤というやっかいな先輩を抱えて特車二課を引き受けたわけですが、隊長には隊長のテーマがあるんだと思います。隊員にはそれぞれのテーマがあり、今という時代をどのような物語で背負っていくのかがシリーズのテーマになると思います。映画の方はまた別のテーマがありますけど。


「3代目」という設定は、パトレイバー実写版を成立させるために必要だったと思っています。

Q:
「パトレイバー」シリーズはアニメ史に残るヒット作品で多くのファンがいる作品。今回、実写化にあたってかなり注目されたわけだが、ヒロインに抜擢された真野さん、選ばれた気持ちは?

真野:
今も緊張で汗がすごいですが(笑)、正直、台本をいただいて開いたとき、キャスト名の最初に私の名前があって、涙が出そうになりました。だけど、この役をこれからどうしていくか、せっかく明という役をいただいたので、真野恵里菜にしか出来ない泉野明にしたいなと思っています。体当たりで、キャストの皆さんを頼らせていただきながら頑張ります。

Q:
福士さんの役は指揮担当。指揮車に乗ると聞いたが、乗り心地は?

福士:
乗り心地ですか?(会場に指揮車両が置かれているので)見ていただけるとわかると思いますが、乗り心地自体はよくないですね。中も狭いので、レイバーの中とどっちが狭いかな……というぐらい狭いと思います。指揮担当として指揮車に乗れるということで、正直、レイバーに乗りたいなとは思っていたんですが、すごくいい経験で、なかなかできない経験でもあるので、心地よくお芝居させていただいております。

Q:
カーシャにはアクションシーンがあるとのことですが?

太田:
楽しいです。ドラマの重要な部分は撮り終えていて、アクション部分に関して準備期間をいただき、アクション監督についていただきながら……ホント、最初はひどくて心配していたんですが、ちょっとは褒めていただけるような場面になっているみたいなので良かったです。

Q:
最後までケガをしないように頑張って下さい。続いて、千葉さんはアニメ版で声優として演じた役を実写でも演じることになりましたが、いかが?

千葉:
シバシゲオは僕だと思っています。アニメをやっているころから実写感覚でやっていました。絵柄も僕の顔に似せていたので、そのまんま、実写の顔に声を当てる感覚で演じていました。今回、実写版になって位が上がりましたので、以前は厳しい班長がいてその下についていましたが、僕が整備班を仕切ることになり、重圧を感じながら、日々、叫びまくっています、吠えまくっています。吠えまくって、脳圧が上がってたまにセリフを忘れるぐらいに吠えまくっています。それぐらいやらないと動かない部下がいますので、彼らに少しでも技術と心を伝えるために、愛の鞭でしばき倒して、特車二課整備班を守っていきたいという思いで頑張っております。役作りは一切していません。「好きにやって」と言われているので、好きにやっています。

Q:
筧さんは隊長役。演じるにあたって、理想のリーダー像は?

筧:
その前に一つ。私は後藤田継次であり、後藤喜一ではありません!私なりの「昼行灯で実は切れ者」という役どころを演じさせていただきます。損はさせないぞぉ!(会場拍手)……質問はなんでしたっけ、ああ、理想のリーダー像。私は、一つ指示を出すたびに日本の経済が良くなり、国民の皆さんが喜んで消費税を払いたくなる、そういう隊長像を望んでおります。以上。

Q:
もう一つ、押井監督に質問。後方にある実物大レイバーの製作は押井総監督のアイデアだと聞いています。なぜ実物大レイバーを製作したいと思われたのでしょうか。

押井:
作ってみたかった。

Q:
「作ってみたかった」?

押井:
一回、どのぐらいのものなのか見てみたかった。そこから映画を始めるべきだと思ったんです。CGで全部やっちゃうという話もあったんですけれど、かなり強引にお願いして、実寸大で作ってもらいました。お金も時間も掛かりましたし、説得の時間もかかりまして「どうして作らなきゃいけないの」って言われたので「これ作らないとやんない」って。


作ってみてわかったのは、このパトレイバーというギミックを実寸で作ると、それに付随する全てがでかくなった。ハンガーもでかくなったし、でかいハンガーを埋めなければいけなくなった。当たり前なんですけれど。言ってみれば、主役であると同時にセットでもあり、特車二課という空間を象徴するものなので、必要だったと思います。

モノが現場にあるというのはいいことで、思いもしないアングルを見つけたり、役者さんたちもモノが現場にあることで安心感がある、実際触れるしそこにあるし立っている。演技する上でも重要なことだと思うので、作って良かったと思っています。想像以上に良くできているので、これはスタッフの力だと思います。

ただ、心配なのは、撮影が終わった後にどうするのかということぐらいですね。

以上で会見の中継は終了となりました。

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in 映画, Posted by logc_nt

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