サッカーでスタジアムに誰もいないのに声援を響かせてチームを勝利に導くアプリ「The 12th Man」の威力とは?
サッカーにおいてチームを応援してくれるサポーターはとても重要な存在ですが、観客同士のトラブルなどが起きた際には制裁処置として無観客試合が行われることもあり、チュニジアではアラブの春という大規模反政府運動の影響で、政府はサポーターがスタジアムでサッカーを観戦することを禁止し、全ての試合が無観客試合で行われることになってしまいました。チームを勝利に導くためにはサポーターの力が必要だと考えたCS Hammam-Lifというサッカークラブは、サポーターがスタジアムに居なくても、声援を届けられるように「The 12th Man」というアプリを開発、このアプリが実際に使用されている様子を「Mobilizing The 12th Man」というムービーに収めて公開しています。
Mobilizing The 12th Man - Case Study - YouTube
約2年前にアラブ世界ではアラブの春という大規模反政府運動が起きました。
この影響で政府は公共の場で市民が集うことを制限します。
そして、サッカーにおいてもスタジアムでの試合観戦を禁止してしまいました。
サッカークラブの関係者は「私たちは試合中死んだような静寂を感じているよ……我々のモチベーションの半分はサポーターからくるものなのに」と訴えます。
サポーターからの応援を選手に届けるために「The 12th Man」というアプリを作成したのはCS Hammam-Lifというサッカークラブ。
このチームはチュニジア・プロリーグの1部に所属していましたが降格の危機に直面、勝利が絶対に必要な状況であったので、なんとしても勝利をたぐり寄せるためにサポーターの応援が必要と考えたようです。
実際に「The 12th Man」を使って応援が行われた試合の中継画面に移り、解説者の「たくさんのサポーターの応援が聞こえます」という言葉とともに大きな声援が聞こえてきます。
しかしスタジアムは空っぽ。
そうこうする内に試合がスタート、試合開始前から聞こえている声援がひときわ大きくなります。
スタジアムから聞こえてきた応援の正体は「The 12th Man」アプリと……
スタジアム内に設置された40個のスピーカーたち。
例えば家のテレビを見ながらチームを応援しているサポーターがアプリのアイコンをタップします。
するとスタジアム内に設置されたスピーカーから、各アイコンに合わせた声援が流れるという仕組み。
多くのサポーターが試合を見ながらアプリアイコンをタップしてチームを応援します。
そうすることで、サポーターのいないスタジアムにより大きな応援の声が響くことに。
この応援が選手を後押し。
スタジアムに居なくても、サポーターが12人目の選手となってチームと一緒に戦っています。
そして……
CS Hammam-Lifが先制点をゲット!
大喜びのサポーターたち。
その喜びをアプリの「GOAL」というアイコンにぶつけます。
打つべし!打つべし!打つべし!とにかく連打すればOK!
この1点で見事試合に勝利したCS Hammam-Lif。
チームの後ろには勝利の立役者であるスピーカーたち。
サポーターたちは大喜び。
その日スタジアムは空っぽでしたが9万3100人もの歓声が響き渡っていた、とのことです。
スタジアムに行けないサポーターたちにもチームを支えることができるようになるすばらしいアイディアなので、さまざまな不測の事態に備えて各チームがこういう種類のアプリを事前に開発し、サポーターたちのために用意していくようになるのが今後のトレンドとしてかなり「アリ」な方向になっていきそうです。
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