人間の脳のある部分は60歳後半まで成長し続けている
By Emilio Garcia
年を重ねると新しい携帯の使い方を覚えるのに苦労したり、昨日食べた夕飯を思い出すのに時間がかかるなど、自分の脳が衰えてきていると感じることがあるそうです。特に中高年の人は、若い人が新しいPCの操作やシステムなどをすぐに学習するのをみて自分の脳の衰えを心配することがありますが、ニューヨークタイムズの医療科学部門編集長であるバーバラ・ストラウフさんが最近の脳科学研究によって、中高年になっても脳は成長していることが判明したと述べています。
Brain Functions That Improve with Age - Barbara Strauch - Harvard Business Review
http://blogs.hbr.org/cs/2010/02/brain_functions_that_improve_w.html
中高年になるといくつかの脳の機能が後退するというのは事実で、新しい作業を覚えようと思っても若い年代の人と同じスピードでこなすことは難しく、さっき会った人の名前や週末に見た映画のタイトルを忘れてしまうことがあるなど、学習力や短い時間の記憶力低下も認められています。
By Dave King
しかしながら、脳の知性をつかさどる部分は40~60歳後半にかけても成長し続けていることが神経科学者たちによって行われた研究からわかりました。中高年の脳は20歳代の人のものより、使用可能な言語の数や個別的な例から規則や法則を見いだす帰納推理力が優れており、また、人や情報の信頼性を見抜いたり、状況を見極める判断力も20歳のときから比べると上昇しているようです。
By Marchoween
ストラウフさんの知り合いである企業の役員の話によれば、年齢を重ねてから若手社員に対するコミュニケーションの方法を変えたと言います。特に若手社員と仕事の問題などについて話すとき、役員は全く話さずに、若手社員の意見にウンウンうなずきながら話を聞いて、若手社員が話し終わりしばらくたってから、自分の意見を伝えると、若手社員は納得しやすく、さらに学習力や問題解決力も向上しているとのこと。実は、この役員がとったコミュニケーション方法には、中高年の脳の落ち着きや経験から培った能力が発揮されています。
By Greg Peverill-Conti
さらに、中高年の人は若い人と比べると問題解決においてとても優れているという研究結果がでています。若い脳は、こうするとこんな問題が起こるなど、起こりうる問題に焦点を置いて考えるようにできていて、一方中高年の脳は、発生したトラブルの解決法を素早く考えることができるとのこと。中高年の脳は、今までに経験した何百万もの帰納パターンが蓄積されている中から問題解決にベストな方法を選んできてくれるので、若い人より高い問題解決力を備えていることが研究から判明しています。
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